欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表(22/3/11)

2022年3月9日・10日会合分

欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表(22/3/11)

欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表

昨日ECB金融政策会合後に要旨の記者発表がありました。政策金利に関しては事前の予想通り据え置きになりました。また、ウクライナ問題に関しては経済等の分水嶺に差し掛かり、今後の物価へ悪影響を与える可能性ありとし、第2四半期中に前回会合よりもAPP債の購入増としました。また各国中銀に対する流動性確保についても示唆しています。ユーロドル相場はインフレ懸念高まりに1.1120付近までユーロは買われましたが、ウクライナ問題で成長見通しリスクありとの思惑に1.0976付近まで反落し1.10割れで引けています。
以下は昨日の金融政策に関する記者発表要旨です。

(記者発表要旨)

ウクライナへのロシア侵攻は欧州に対し分水嶺となっている。運営審議会はウクライナの人々に全面的な支援を表明する。円滑な流動性状況を確保し、EUや欧州政府により決定した制裁を実施する。運営審議会はECBの物価安定を遂行する使命や金融安定を守るために必要とされるあらゆる行動を行うつもりである。

資産購入プログラム(APP)

直近の査定に基づき、不確実な環境を考慮に入れて、本日、運営審議会は今後数ヶ月間のAPP購入スケジュールを改訂した。APPの毎月の純購入額は4月400億ユーロ、5月300億ユーロ、6月は200億ユーロとする(注:前回は2022年の第2四半期で400億ユーロ、第3四半期で300億ユーロになる)。第3四半期の純購入額の目安はデータに基づき、査定する見通しの進化を反映したものとなる。もし入手するデータが、中期インフレ見通しが純資産購入後も弱くならないとの予想を支持するようなら、運営審議会は第3四半期にはAPP下での純購入を終了する。もし中期インフレ見通しが変わり、金融情勢が2%目標に向けた更なる進展と一致しないようなら、運営審議会は、純債券購入の規模や期間に関するスケジュールを改訂する用意はある。

また、運営審議会は、APP下で購入され、満期到来した債券の元本全額の再投資を継続していく意向である。これは主要なECB金利の引き上げ開始した日を過ぎてまで伸ばし、いずれの場合でも、好ましい流動性条件と十分な程度の金融緩和状況を維持するに必要な限りである。

主要なECB金利

主要な借り換え業務に関する金利や限界貸付金利、あるいは中銀への預金金利はそれぞれ0.00%、0.25%、▼0.50%で据え置いた。

主要金利のいかなる調整はAPP下で運営審議会の債券購入終了後暫くしてから行われ、かつ緩やかなものになる。主要ECB金利の道のりは運営審議会のフォワードガイダンスや、中期インフレを2%で安定させるという戦略的コミットメント(約束)により引き続き決定される。従って、運営審議会は主要ECB金利が現状水準で維持されると予想している。それは予測期間の終わりや残りの予測期間中にインフレが十分2%に達し、実勢インフレの進展具合が中期的に2%で安定していくインフレと一致するように十分進んでいると判断されるまでである。

PEPP(パンデミック緊急債券購入プログラム)

2022年第1・四半期に、運営審議会はPEPP下での純債券購入を、前四半期よりも低いペースで行っている。2022年3月末でPEPP下での純債券購入を終了するつもりである。

運営審議会は、PEPP下で購入され、満期来た債券の再投資は少なくとも2024年の終わり迄行う意向である。いかなる場合でも、PEPPポートフォリオの将来的な保有解消は適切な金融政策スタンスに支障がない様に管理される。

パンデミックは、ストレスある環境下で、資産購入の設計と実施の柔軟性が金融政策の伝達に障害をもたらすものに対抗でき、より効果的に運営審議会の目標達成を行うのに役立つことを示した。我々の使命の中で、ストレスある環境下、金融政策の伝達に対する脅威が物価安定を危険に晒す場合はいつの時でも、柔軟性は金融政策の必要な要素である。
(中略)
PEPP下での純購入は、パンデミックに関連してネガティブな衝撃に出会った場合、必要とあればいつでも再開できるだろう。

(借り換え業務TLTROVに関する項目は略)

ユーロ圏以外の中銀との流動性

ウクライナへのロシア侵攻により引き起こされた非常に不確実性の高い環境やユーロ圏金融市場に悪影響を及ぼす地域波及へのリスクにより、運営審議会は2023年1月15日まで各中銀に対するユーロシステムレポ機能(EUREP)を延長することを決定した。従って、EUREPは非ユーロ圏中銀に対する通常のユーロ流動性供給取り決めを補完し続けることになる。加えて、これらはECBの金融政策をスムーズに伝達することに悪影響を及ぼす可能性のあるユーロ圏外の市場機能障害の際に、可能な限りユーロ流動性ニーズに対処するための包括的な補強機能を形成する。個別のユーロ流動性ラインに対し、非ユーロ圏中銀からの要請あればケースバイケースで運営審議会によって査定される。

運営審議会は、インフレが中期に亘り2%目標で安定出来ると確信するため、あらゆる手段を適切に調整する用意がある。
(以上)


(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

下図はユーロドルの日足チャートで、期間は1月中旬からになっています。流れは抵抗線A(=1.1210)でユーロ安となっており、そこから平行に下したB(=1.0960)とC(=1.0710)でトレンドを形成しています。先週金曜日にBを下抜いてから底値模索をしていましたが、Cまで落ちずに反発し、現在はAとB間にいます。ここ4日間はユーロ反発でD(=1.0930)のサポートが出来ています。昨日は反落陰線引けで目先のユーロが弱くなっているので、今日の海外含めてBとDの底値を試す流れにいます。上値は1.1090と昨日の高値1.1120に抵抗線があり、後者を越えて終わればAまでのトライは見られそうです。

欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表

(3月11日13:30、1ユーロ=1.1003ドル)

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