引き続きウクライナ情勢に一喜一憂か
〇本日のドル円、一時114.80前後へ値を崩すが後にドル買い優勢に、115円台を回復
〇当初のドル売り優勢の流れ、「米露外相会談受け入れ」報道で一変
〇テクニカルには、114.90台に位置する21日線がサポートとして寄与している感
〇ウクライナ情勢めぐり、米大統領が英仏独加などの首脳との電話協議開催、関連情報に要注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.50-115.50、本日東京高値115.25レベルが最初の強い抵抗
〇ドル安・円高方向は、本日東京安値の114.75-80レベルの攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
18日の東京市場はドルが強含み。一時114.80円前後へと値を崩す局面も見られたが、安値を示現後はドル買戻しが優勢に。
ドル/円は114.90-95円で寄り付いたのち、しばらくは低位揉み合い。そのなかで、前日安値を下回る114.75-80円へと小幅に値を下げた。しかしウクライナ情勢をにらみつつ、時間外で取引されていたNYダウが200ドルを超える上昇をたどったことなどを材料にドル買いが優勢に。115円台を回復するなか、16時現在では115.15-20円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ウクライナ情勢」と「日米金融政策」について。
前者は、日露首脳が電話会談を行い、岸田首相はプーチン氏に「外交努力を要請した」とされるが、とくに影響なし。そうしたなか引き続き、米国務長官から「ロシア軍が数日中にウクライナに対する攻撃を開始する用意を整えている」、同国防長官も「ロシアが軍部隊をウクライナ国境近くに移動させ、輸血用血液を備蓄している」と述べるなど、以前伝えられた「ロシア軍の一部がウクライナから撤収」報道を否定するコメントが相次いでいた。しかし、本日東京時間に突然「米国が来週のロシアのラブロフ外相とブリンケン米国務長官会談を受け入れた」などと伝えられたことが好感され、前述したような米株高、ドル買戻しの支援要因に。
対して後者は、米国についてクリーブランド連銀総裁が、3月の利上げならびに「インフレ抑制が必要な場合の政策引き締め加速」を支持する考えを示したほか、セントルイス連銀総裁も「7月1日までの3会合で合計1%の利上げを実施すべき」とした強気発言を繰り返していたようだ。その一方、日本サイドは鈴木財務相が「足もとの物価上昇に関し、消費に影響を与えかねず、しっかりした対応が必要」と述べたものの、内田日銀理事は「現在の金融緩和を修正する状況にはない」と指摘するなど、やはり日本の金利引き上げは見込みにくい環境にあると言えそうだ。
<< 欧米市場の見通し >>
為替に限らず、金融市場全般がウクライナ情勢をめぐり右往左往。前述したように、昨日欧米時間の流れを継ぎ、本日東京時間も当初はドル売り優勢だったものが、途中で「米露外相会談受け入れ」報道が伝えられると流れが一変している。ただ、さらなるドル高の進行を疑問視する向きもあり、上値は重そうとの見方が取り敢えずは有力か。116円はやや遠のいた感も否めない。
相場変動の根底には日米を中心とした金融政策があり、それからすると円はやはり積極的に買いにくい。しかし、「ウクライナ情勢」がリスク要因として大きく鎮座しており、引き続き予断は許さない状態だ。なお、カナダ首相府の発表によると、ウクライナ情勢をめぐり、バイデン米大統領がカナダ、英、仏、独、EU、北大西洋条約機構(NATO)などの首脳と電話協議を開催するという。相場の波乱要因となりかねないだけに、関連情報にはこのあとも一応要注意。
テクニカルに見た場合、ドル/円はここ最近のレンジ下限である115円を昨日欧米そして本日東京時間にも一時割り込んでいたが、足もとは辛うじて115円台前半へと回帰している。ドルの下値トライが失敗したとまでは言えないものの、一旦は仕切り直しか。移動平均では、114.90円台に位置する21日線が今回もサポートとして寄与している感があり、このあともドルの強い下支えとして意識されるだろう。
材料的に見た場合、中長期的にはこの週末に北京五輪が終了し、その後の動きへの警戒感も強まってきた「中国情勢」、東京でオミクロン株の新変異種「BA.2」が初めて確認された「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、1月の中古住宅販売件数や同景気先行指数が発表されるほか、引き続き欧米通貨当局者らによる講演など発言機会も少なくない。また、前記したウクライナ情勢をめぐる「バイデン米大統領が英仏独加などの首脳との電話協議開催」も、場合によっては波乱要因となる可能性もある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.50-115.50円。本日東京高値115.25円レベルが最初の強い抵抗。抜けると、115円半ばを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の114.75-80円レベルの攻防に注目。また、その少し上に位置する移動平均の21日線をめぐる動き、ザラ場ももちろん、クローズベースで維持出来るか否かをしっかりと見極めたい。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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