パウエル指名公聴会注視、発言に一喜一憂か
〇本日のドル円、115円前半、20ポイント強のレンジ取引、新規材料難で目立った動意なし
〇昨日欧米時間に一時115.04まで下落、続落なら21日移動平均線の114円台後半まで下げる可能性も
〇パウエルFRB議長・ブレイナードFRB副議長の指名公聴会に注目集まる、発言内容次第で波乱の可能性
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.70-115.60、115.40前後が目先の抵抗
〇ドル安・円高方向は115円前後の攻防にまずは注目、年初来安値114.94を更新すれば下げ加速か
<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場は小動き。新規材料難のなか115円前半、20ポイント強のレンジ取引で方向性も欠いていた。
ドル/円は寄り付いた115.15円前後が日中安値となるなど底堅かったものの、上値は重くドル高進行も115.40円手前まで。25ポイントにもとどかず、基本的にはレンジ取引の様相だった。先物を含めた日米株価の動きなどを注視しつつも、手掛かりに欠けたようで目立った動意はほぼうかがえず。16時現在では115.20-25円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、市場への影響は限られたが、本日も早朝の7時半ごろに「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射された」と伝えられていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「FRB人事」について。
前者は、ロイターの集計で「米国の10日の新規感染者は、少なくとも113万人で過去最多を更新の公算」と伝えられるなど、とどまるところのない感染拡大が依然として市場の危機感を醸す結果に。そうしたなか、英ITVテレビが2020年5月と1年半ほども前の話だが、「英首相官邸の庭でロックダウン中に100人規模の『飲み会』開催が発覚」などと報じ、思惑を呼んでいた。さらに、後者には「ジョンソン首相と婚約者のキャリーさん(現夫人)も集まりに参加していたという証言もある」という。真偽を含めた続報や、英政権の支持率への影響なども注目だ。
対して後者は、11日と12日に上院銀行委員会で行われるパウエルFRB議長と、ブレイナードFRB副議長の指名公聴会を注視している向きがあるが、前者、パウエル氏による証言テキストが昨日事前に公表されている。ちなみに、「金融当局としてインフレ高進が定着するのを阻止する方針を表明する」などと伝えられていたが、マーケットの反応はいまひとつ。やはり実際の公聴会を見極めたいということなのだろう。また、それとは別にクラリダFRB副議長が任期満了の2週間前、「14日付で退任」することが改めて発表されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
今後当面のドル/円相場について、「ドル再上昇」か「新レンジ形成」の二択を考えていたのだが、昨日欧米時間は第3の選択を示唆する「ドル続落」をたどっている。一時115.04円まで下落していた。個人的には、いまだ第3の選択肢はあまりイメージが湧かないのだが、115円を割り込み、移動平均の21日線などが位置する114円台後半までは下落しても不思議はないといった声もある。
日米を中心とした各国金融政策への関心が高いなか、まずは前述したパウエルFRB議長と、ブレイナードFRB副議長の指名公聴会に注目。パウエル氏の証言テキストが昨日事前に公表されたとはいえ、実際の急激な物価高への対応や、政策金利を引き上げる時期や回数など金融政策の見通しなど、議会サイドからの質問にどう回答するのかを実際に見極めたいとする向きも多い。いずれにしても、発言内容次第で波乱もありそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は4日に高値116.35円を示現後、調整と思しきドル安が進行している。昨日は115.04円まで値を下げている。ドルは底堅く推移すると予想はしているものの、仮に続落するとなると、下値メドはフィボナッチ・リトレースメントを参考にした114.90円レベル、移動平均の21日線が位置する114.70円前後など。1月3日以来の115円割れ、「年初来安値」を更新する局面もあるか。
材料的に見た場合、中長期的には昨日「経費削減」を目的とする本社移転を突然発表した恒大集団を中心とした「中国情勢」に引き続き注目。また8時間にも及ぶ米露高官協議実施も成果は乏しかった「ウクライナ情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米国のみならず欧州などでも、主要な経済指標の発表は予定されていない。ただ、要人の発言機会は先で取り上げた「パウエルFRB議長の指名公聴会」のほか、カンザスシティ連銀総裁の講演など複数予定されており、注意を払いたい。またロシアの動きに危機感を抱く向きも多いなか、NATO会合に関しても一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.70-115.60円。本日東京で超えられなかった115.40円前後が目先の抵抗。抜けると115円後半が視界内に。
対するドル安・円高方向は、昨日安値を含めた115円前後の攻防にまずは注目。底堅いイメージはあるものの、年初来安値114.94円を更新すれば、下げが加速する可能性も。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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