ドル円 アノマリー的にはリスクオフの円高か(週報12月第4週)

先週のドル円は、週前半は株高と米長期金利上昇とがドル買いの材料となり、クロス円も含めて円安の流れとなりました。

ドル円 アノマリー的にはリスクオフの円高か(週報12月第4週)

アノマリー的にはリスクオフの円高か

〇先週のドル円、週前半は株高と米長期金利上昇で円安の流れ、週末は114円台前半の狭い値幅で膠着
〇リスクオフ材料多い中での株買い債券売り目立つ、ドル円は株式市場に左右されやすい状況続く
〇年末年始の流動性低下で動きにくい時期ながら、年始フラッシュクラッシュの円高は要警戒
〇2016年以降のドル高局面で月末終値が114円より円安のケース少なく、アノマリー的にも下押し警戒か
〇今週は113.70レベルをサポートに114.60レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、週前半は株高と米長期金利上昇とがドル買いの材料となり、クロス円も含めて円安の流れとなりました。週半ば以降は金曜がクリスマスで海外の主要市場が休場となること、週明けも英連邦を中心として連休となることもあって114円台前半の狭い値幅で膠着状態のまま一週間を終えました。

今週もロンドン市場は火曜まで休みとなりますし、本邦勢は年末年始を控え積極的な取引を手控えると考えられ、ニュースが出て来ない限りは本来は動きにくい一週間です。ただ参加者が減り流動性が低下気味となることや年始にしばしば発生するフラッシュクラッシュで円高に振れる動きなどを警戒して114円台での買い仕掛けはしにくくなってくると考えられます。

ニュース関係ではオミクロン株の感染拡大で一部の国では過去最大の感染者となっていることや、ロシアとウクライナ間の緊張など、どちらかというとリスクオフの材料のほうが多いように思えます。しかし、資金の動きとしてはリスクオンで米国債を売り(長期金利は上昇)、株を買う動きが先週は目立っていました。年末を控えて環境的にはリスクオフ要因がある中で一段のリスクオンの動きとなるのか、あるいはポジション調整でリスクオンの動きが弱まるのか、円相場は株式市場の動きに左右されやすい地合いが続きそうです。

現状ではどちらもあり得るものの、個人的には年末前のポジション調整に警戒したいと考えています。以前、コラムで取り上げたことがありますが、2016年以降のドル高局面で月末終値が114円よりも円安だったのは2016年1月のトランプラリーの時だけで、それ以降は114円台、115円台を見ても月末には113円台に押しているという動きばかりです。今月も残すところ5日しかありませんが、113円台までの距離も遠くないため、アノマリー的にも下押しに警戒したいところです。

テクニカルにはいつもの日足チャートを見てみましょう。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

チャートの形状としては先週示した12月初めの安値からの上昇チャンネル(ピンク)内での動きが続いています。このチャンネルは今週サポートラインが113円台後半を上昇し、上側のラインは114円台後半を上昇しています。アノマリー的に週後半月末に114円割れを見ると仮定すると、週初に上がりきらずに失速して下げるという展開が考えられますが、株式市場次第ではあります。

今週は113.70レベルをサポートに114.60レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月27日(月)
**:** NZ、豪州、香港、英国、カナダ、南ア市場休場
08:50 日銀会合主な意見公表

12月28日(火)
**:**  NZ、豪州、英国、カナダ市場休場
08:30 本邦11月失業率・有効求人倍率
23:00 米国10月住宅価格
23:00 米国10月ケースシラー住宅価格
24:00 米国12月リッチモンド連銀製造業景況指数

12月29日(水)
22:30 米国11月卸売在庫
24:00 米国11月住宅販売保留件数
24:30 週間原油在庫統計

12月30日(木)
16:00 英国12月住宅価格
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:45 米国12月シカゴ購買部協会景況指数

12月31日(金)
**:** 東京、ドイツ、スイス市場休場
10:00 中国12月製造業PMI
16:00 トルコ11月貿易収支
21:00 南ア11月貿易収支

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月20日(月)
ドル円は日経平均株価の下げとともにリスクオフの円買いが先行しましたが、海外市場に移ってからは日経先物が上昇し水準的にはほぼ1日かけての行って来い。海外市場では上下ともに限定的な動きとなり、1日の値幅も40銭に留まりました。

12月21日(火)
ドル円はNY市場まで113.65レベルを中心としたもみあいが続き動意が見られませんでした。既にじり高となっていたダウ先物に続いてNYダウが続伸したこと、また米金利も欧州市場に入り上昇していましたが、それもドル買い材料とされました。NY昼過ぎには114.22レベルの高値をつけ若干押しての引けとなりました。

12月22日(水)
ドル円は東京市場から底堅い動きとなり、欧州市場序盤に前日高値を上抜けると114.33レベルと前週高値を更新しました。その後は利食い売りと押し目買いとが続きましたが、NY前場には114.37レベルと11月26日以来の高値をつけ、引けにかけては114円に近づいての引けとなりました。

12月23日(木)
ドル円は底堅い動きを続ける株式市場と米金利上昇を材料に終日じり高の展開をたどりました。NY市場ではユーロドルの売りに引っ張られて前日高値を上抜け114.47レベルの高値をつけた後に若干押して引けました。

12月24日(金)
24日はクリスマスで東京以外の主要市場が休みということもあって、ドル円は終日全く動意薄の展開が続きました。レンジも21銭に留まりました。

ディスクレーマー

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ドル円の週報はカレンダー通りで、年内は本日まで年明けは4日(火)から再開となります。今年も一年間ありがとうございました。良い年をお迎えください。

注:ポイント要約は編集部

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