ユーロ 材料的にもテクニカルにも下げやすい(週報12月第4週)

先週のユーロは、金融政策イベントが終わりクリスマス休暇を控えということで積極的な取引は手控えられました。

ユーロ 材料的にもテクニカルにも下げやすい(週報12月第4週)

材料的にもテクニカルにも下げやすい

〇先週のユーロ、週前半は株価上昇と共にリスクオンの円売りからユーロ円上昇、ユーロドルも底堅い動き
〇週末はロシアとウクライナ間の緊張が高まったことでユーロ売りとなって引ける
〇地政学リスクと景気減速懸念を抱えユーロは上値が重たくなりやすいが、先週は株価上昇で堅調推移
〇最終週も株価次第だが、過去年末年始にユーロ円が下げることが多く、ユーロドルも反落の可能性も
〇今週は1.1245レベルをサポートに1.1340レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、金融政策イベントが終わりクリスマス休暇を控えということで積極的な取引は手控えられました。週前半は株価指数が底を打って上昇に転じる動きとともにリスクオンの円売りからドル円だけでなくユーロ円も上昇したことでユーロドルは底堅い動きとなっていました。週後半はクリスマス直前で実需とポジション調整によるユーロの動きがユーロクロスでも見られ上下しましたが、週末はロシアとウクライナ間の緊張が高まったことでユーロ売りとなって引けました。

今週は経済指標も特にありませんし、ロンドン市場は火曜まで休場ということもあって、まだクリスマス休暇から抜けきらないスタートです。ただ、ロシア・ウクライナ問題は今後も緊張が続き一部では衝突は避けられないという見方も出ているため注意が必要でしょう。またオミクロン株は感染力が強く、フランスやイタリアでは過去最大の感染者数となり、オランダに続いてロックダウンといった事態になるかもしれません。ロックダウンとまで行かない場合でも何らかの行動制限が実施される可能性が高く、今後の景気回復に悪影響が出てくることは必至です。

地政学的なリスクと景気減速懸念を抱えていることからユーロは上値が重たくなりやすいというのが本来です。ただ、先週は月曜に株価指数が底打ちして以降上昇に転じ、円売りがユーロ円の買いにもつながったことでユーロドルの底上げにつながっていたと見られます。年内最終週も株式市場が強いかどうかでユーロ円の動きも決まってくるでしょうが、株高の場合でも底堅い程度、逆に株が下げる時にはユーロ円、ユーロドルと売りが波及していくイメージです。

また過去10年程度で見ると年末年始にユーロ円が下げることが比較的多いため、アノマリー的には株安によるユーロ円の下げが、ユーロドルも反転させるのではないかといった見方も可能でしょう。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

材料的にもテクニカルにも下げやすい

先週示したペナント(ピンク)の中での動きを継続しています。さらに値幅を狭めていますが上値は一層限定的です。材料的にもユーロにとっての悪材料の方が多いことから、レジスタンスラインは1.1340レベルと先週高値を超えられない流れが考えられます。サポートラインも1.1245レベルにあり、今週はもみあいを抜け切れず、新年に下抜けという動きがテクニカルにはありそうな動きと言えるでしょう。

今週は上述の通り、1.1245レベルをサポートに1.1340レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロスイスの月足を見てみましょう。

材料的にもテクニカルにも下げやすい 2枚目の画像

スイスフランの対ユーロでの強さが目立ち今年の高値1.1151レベルから1.0366レベルまで水準を切り下げてきました。2015年スイスフランショック時の最安値0.8500レベル(大暴落のため、安値は業者ごとに異なる)とその後の高値1.2004レベルとの半値押しが1.0252となります。

ピンクの平行線で示した下降チャンネルの中でのユーロスイスの下げのターゲットとして、1.02台半ばは妥当な水準と思えます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月27日(月)
**:** 英国市場休場

12月28日(火)
**:**  英国市場休場

12月29日(水)
(特になし)

12月30日(木)
16:00 英国12月住宅価格

12月31日(金)
**:** ドイツ、スイス市場休場

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月20日(月)
ユーロドルは金曜の海外市場での下げに対して買い戻しが目立ち、NY前場には金曜NY市場で下げる前の水準へと戻していました。ユーロが他通貨全般に対して強かったこともありましたが、いっぽうで戻りも鈍く引けにかけてはやや水準を下げました。

12月21日(火)
ユーロドルは東京市場では買いが先行したものの前日高値は超えられず、NY市場ではドル買いの動きとともに下げ日中安値は更新したものの下げきれず、と狭いレンジでもみあいのまま1日を終えました。クリスマスを控えて欧州通貨の動きは徐々に鈍くなりそうな感じでした。

12月22日(水)
ユーロドルは東京市場ではドル円同様にドル買い・ユーロ売りが先行していましたが欧州市場に入ると実需と思われるユーロ買いが入り、週間高値を上抜けるとテクニカルな買いも加わって一段高となりました。NY昼前には1.1342レベルの高値をつけ、そのまま高値圏でもみあいのまま引けました。

12月23日(木)
ユーロドルは東京市場から欧州市場にかけてはドル高の動きから緩やかな下げとなっていましたが、欧州市場ではユーロポンドの売りが目立ち、NY市場でもユーロドル、ユーロ円とユーロが主要通貨に対して売られる動きが目立ちました。しかし、ユーロポンドの買い戻しとともにユーロドルは下げる前の水準へと戻し、ユーロ円は日中高値を更新する動きで引けました。

12月24日(金)
ユーロドルは欧州時間前場までは底堅くじり高の展開となり週間高値をわずかに上回る1.1344レベルの高値をつけました。しかし、ロシア外相がウクライナのロシア大使館が攻撃されたと発言したことを受け、地政学的リスクからユーロが売られ1.1307レベルの安値をつけ安値圏での週末クローズとなりました。

ディスクレーマー

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注:ポイント要約は編集部
ユーロ週報は年内は本日が最終、年明けの週報は4日更新となります。今年も一年間ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。

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