トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円、安値6.09レベル高値11.07レベル、政権の預金保護措置受けリラ暴騰
〇ドルトルコリラ、安値から高値まで変動幅8.0556と44%のリラ高に
〇トルコ中銀、30億ドル規模のリラ買い直接介入実施、外資準備60億ドル減少から裏口介入の指摘も
〇政府による補填、トルコリラ安の動きとなる場合は政府債務増大、政策継続について疑問視する声も
〇今週は9.20レベルをサポートに10.90レベルをレジスタンスとする週とみる
今週はトルコリラ円です。
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、「ペースは鈍るもののトルコリラ続落の流れを考え、大台6.00円をサポートに大台7.00レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が6.09レベル、高値が11.07レベルとなり、エルドアン大統領が想定外の政策を打ち出したことでトルコリラが暴騰する結果となりました。
前回執筆日の20日のNY市場でエルドアン大統領が急落するトルコリラについて、利下げは継続すると述べたことで6.09レベルと6円の大台目前まで続落しましたが、直後にトルコリラ預金の保護措置を発表しました。これは満期が3〜12か月のリラ建て預金を対象に預金口座の開設日と満期日の外貨換算の為替レートと預金利回りを比較し、高い方の利回りを口座に適用され源泉税は無い、というものです。
つまりトルコリラ急落による今後の損失は政府によって補填されることとなり、この発表をきっかけにしてトルコリラは暴騰することとなりました。ドルトルコリラは18.2583からNY大引け前に13.0920までトルコリラ高となり、その後も週を通してトルコリラ高の地合いが続きました。ドルトルコリラのトルコリラ安値から高値までの変動幅は8.0556と44%ものリラ高となりました。
トルコリラ円も6.09から11.07へとトルコリラが5.09円、率にして83.6%も暴騰することとなりました(※変動後の数字をベースにした場合46%とドルトルコリラと同程度です)。
もちろん、ここまでの変動には発表と同時にトルコ中銀が30億ドル規模のトルコリラ買いの直接介入をおこなったとされていることが大きいのですが、この2日間で外貨準備は60億ドル減少していることから、裏口介入が行われたとも指摘されています。
今後の政府による補填金額がどの程度になるのかはわかりませんが、改めてトルコリラ安の動きとなる場合には介入とともに着実にトルコ政府の債務は増えていきますので、果たして今回の政策がいつまで続けられるのかについては多くのアナリストは疑問を持っています。
最終的には1998年のアジア通貨危機でマレーシアが行ったような為替市場閉鎖と鎖国政策で固定相場に戻すといったこともあり得るかもしれませんが、これで現在のトルコリラ危機が終わったとはとても思えません。
今回のトルコリラ暴騰の動きをテクニカルな観点から見てみます。トルコリラ円の週足チャートをご覧ください。
昨年安値12.01レベルは大きなポイントでしたが、2018年以降の大きな下降ウェッジの下側のラインを急落で下抜け、今回の暴騰でちょうどそのラインに戻してきていることがわかります。12.01よりはこの下側のラインと重なる10円台半ばは当面の間は戻り売りが出やすく、その後次の展開を考えることとなりそうです。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)もご覧ください。
高値11.07レベルと高値をつけた後の安値9.17レベルにピンクの点線を引いてありますが、テクニカルにはこれら両水準の間での取引を継続しやすいと見てよいでしょう。
今週はこれら両水準を参考にして、9.20レベルをサポートに10.90レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
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