基本はレンジ継続の公算、FRB議長人事注目
〇本日のドル円、114.20-25で寄り付き一時ドルが買い進められるも114.40前後まで、上値重く上げ渋り
〇昨日から本日に掛けて114円挟み、1円にも満たない狭いレンジでの一進一退、次の方向性注視される
〇FRB議長人事に注目集まる、現議長よりハト派のブレイナード氏が有力候補として急浮上
〇目先は113.80-114.50レンジをめぐる動きに注目、上抜ければ114.97や115円を再トライする展開か
〇本日の欧米時間ドル/円予想レンジは113.80-114.80、114円半ばが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、昨日安値113.88が強く意識される、割り込んでも底堅いか
<< 東京市場の動き >>
19日の東京市場はややドル買い優勢。114円前半でドルは底堅かったが、上値も重く上げ渋りの様相も。
ドル/円は114.20-25円で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。週末を前にした実質的なゴトー日ということもあり、需給がタイトとの見方からややドルが一時買い進められたものの上値は114.40円前後まで。その後は頭の重い値動きをたどるなか、16時現在では114.30-35円で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、ここ最近弱含みが続くトルコリラだが、本日は小反発。とは言え戻りも限られており、対円では10.40円レベルでは上値を抑えられている。
一方、材料的に注視されていたものは、「日本の経済対策と防衛費」と「米国情勢」について。
前者は、本日岸田首相が政府与党政策懇談会であいさつし、政府の新たな経済対策について財政支出は56兆円程度、事業規模は79兆円程度になるとの見通しを示した。また、それとは別に日経新聞は「21年度補正予算案で防衛費7000億円超を計上する見通し」と指摘したほか、前日に産経新聞が報じていた「政府、米国からの『思いやり予算』増額を受け入れへ」について、同じく日経新聞は「共同訓練など同盟強化につながる支出に充てるよう米側に求める」と、使い道について言及している。
対して後者は、バイデン大統領の看板政策のひとつである1兆7500億ドル規模の大型歳出法案について、様々な情報が飛び交う。米財務長官から「大型歳出法案でコストは十分にカバーできる」などとしたフォローコメントも聞かれるなか、肝心の採決にはもう少し時間が掛かる見通しだ。「米下院、案採決を今夜実施せず」といった報道も観測されており、市場で台頭していた期待感が再び萎んだ感も否めない。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は17日に一時114.97円まで続伸したものの、結果としてドル高トライに失敗。そののちは価格調整と思しき値動きだ。実際、昨日から本日に掛けては114円挟み、1円にも満たない比較的狭いレンジでの一進一退をたどっている。そんな調整の動きが続くのか否か、まずは次なる方向性が注視されていることは間違いない。
日米欧英など各国の金融政策が引き続き注目されるなか、今週発表された米経済指標はこぞってなかなかの好数字。昨日の新規失業保険申請件数も、ほぼ予想程度の内容にはとどまっていた。そうしたなか、目先の波乱要因として注目を集めているのがFRB議長人事。早ければこの週末にも次期議長が決定すると目されるなか、パウエル現議長よりもハト派と言われるブレイナード理事が有力候補として急浮上し脚光を浴びているようだ。ブレイナード氏が次期FRB議長として内定すれば、市場は一時にせよ「失望」で反応する可能性もある。
テクニカルに見た場合、今週のドル/円はなかなか大きな変動をたどったイメージだが、上下に大きく振れる往来相場だっただけで、肝心のレンジはわずか1.2円強。次の方向性が明確に示されたわけでもなく、足もとも気迷いだ。いずれにしても、ごく目先的には113.80-114.50円といったレンジをめぐる動きに注目で、上抜ければ直近高値の114.97円や115円を再トライする展開が予想されている。
材料的に見た場合、中長期的には、再び傘下企業の売却が伝えられるなど資金繰りにいまだ苦しんでいる感のある「恒大リスク」にも注意を払いたい「中国情勢」、飲み薬をめぐる争奪戦の様相も垣間見える「新型コロナ問題」、「日米欧英などの金融政策」−−が注視されている。
一方、本日はこれといった米経済指標の発表が予定されていないものの、ウォラーFRB理事やクラリダFRB副議長による講演が実施される見込みで、そちらは一応要注意。また日程は流動的だが、前述したFRB議長人事についても、リスク要因として頭の片隅にとどめておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは113.80-114.80円。ここ数日ドル上値を抑制している114円半ばが最初の抵抗。抜ければ114.97円が意識されそうだが、上値は引き続き重そうだ。
対するドル安・円高方向は、114円レベルが弱いサポートになりつつあるなか、強く意識されそうなのは昨日安値の113.88円か。ただ割り込んでも底堅そうなイメージだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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