来週の為替相場見通し:『ドル高基調の継続を想定。週後半は米感謝祭で小動きか』(11/20朝)

ドル円は週央にかけて約4年8ヵ月ぶり高値114.97まで上値を伸ばすも、週末にかけて113.60まで反落しました。

来週の為替相場見通し:『ドル高基調の継続を想定。週後半は米感謝祭で小動きか』(11/20朝)

『ドル高基調の継続を想定。週後半は米感謝祭で小動きか』

〇今週のドル円、週央にかけて約4年8ヵ月ぶり高値となる114.97まで急伸
〇しかし、心理的節目115.00をバックに伸び悩み、週末にかけ一時113.60まで反落
〇前半の上昇は米経済指標の好調や米中関係緩和期待等によるもの
〇後半の反落要因は次期FRB議長人事を巡る思惑、各市場のポジション調整等
〇ユーロドル、週末にかけ約1年4ヵ月ぶり安値となる1.1250まで急落
〇米欧金融政策の方向性の違い、ロシア、東欧での地政学リスクの高まり等が重石に
〇ドル円テクニカルの地合い強く、ファンダメンタルズもドル円上昇材料増える
〇来週は米感謝祭で週後半の市場参加者の激減が見込まれることから、値動きは週前半に集中か
〇来週の予想レンジ(USDJPY):113.00ー115.50、(EURUSD):1.1125−1.1425

今週のレビュー(11/15−11/19)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初113.90で寄り付いた後、@米11月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果30.9、予想22.0)の力強い結果や、Aバイデン米大統領と習近平国家主席の「両国は対話を強化し、平和的に共存すべきだ」との見解発表(米中対立懸念の後退)、B株式市場の底堅い動き(リスク選好の円売り圧力)、C米10月小売売上高(結果1.7%、予想1.2%)および、D米10月鉱工業生産(結果1.6%、予想0.7%)の市場予想を上回る結果、E米10月輸出入物価指数の伸び率高進、Fセントルイス連銀ブラード総裁によるタカ派的な発言(FRBはテーパーを加速すべき。2022年に2回の利上げを予想している)、G米長期金利の急上昇(米10年債利回りは10/26以来となる1.65%へ急上昇)、Hテクニカル的な地合いの強さ(強い買いシグナルが複数点灯→10/20に記録した直近高値114.71を上方ブレイク→短期筋のロスカット発動)が支援材料となり、週央にかけて、2017年3月以来、約4年8ヵ月ぶり高値となる114.97まで急伸しました。

しかし、心理的節目115.00をバックに伸び悩むと(利食い売りが活発化すると)、I次期FRB議長人事を巡る不透明感(バイデン米大統領は、次期FRB議長を感謝祭前に指名する方針発表→ハト派の急先鋒とみなされているブレイナードFRB理事が指名されるとの思惑→米ドル売り)や、J短期間で上昇した反動(ポジション調整)、K米主要株価指数の急反落(リスク回避の円買い再燃)、L米長期金利の急低下(米10年債利回りは1.65%→1.51%へ急低下)が重石となり、週末にかけて、一時113.60まで反落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/20午前4時00分現在)では、113.93前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1452で寄り付いた後、早々に週間高値1.1464まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@欧米金融政策の方向性の違いや、A欧州当局者によるハト派的な発言(シュナーベルECB専務理事やデギンドスECB副総裁によるハト派的な発言)、B英EU間における北アイルランド議定書を巡る警戒感、C欧州経済を巡る先行き不透明感(資源価格の高騰や新型コロナウイルスの感染再拡大懸念)、D地政学的リスクの高まり(ロシア軍によるウクライナ侵攻リスクやポーランドとベラルーシの軍事衝突リスク)、Eテクニカル的な地合いの弱さ(強い売りシグナルが複数点灯→心理的節目1.1400や1.1300を下方ブレイク→短期筋のロスカット発動)、F米経済指標の力強い結果(米金利上昇に伴うドル高圧力)、G欧米株の軟調推移、H欧州債利回りの低下が重石となり、週末にかけて、昨年7/6以来、約1年4ヵ月ぶり安値となる1.1250まで急落しました。引けにかけて持ち直す(自律反発する)も戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/20午前4時00分現在)では、1.1290前後で推移しております。

来週の見通し(11/22−11/26)

<ドル円相場>
ドル円は週央にかけて約4年8ヵ月ぶり高値114.97まで上値を伸ばすも、週末にかけて113.60まで反落しました。サンクスギビングデー(米感謝祭)を翌週に控え急ピッチで上昇したドル高・円安の反動が見られる形となっております。但し、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や、移動平均線のパーフェクトオーダー、ダウ理論で見た上昇トレンドの継続を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(下値余地は限定的。一巡後の反発リスクに要警戒)と判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(利上げ前倒し観測が高まる米国と、金融緩和の長期化が織り込まれる日本との金融政策格差)や、A黒田日銀総裁による円安容認観測(黒田総裁は10/28、「現時点で若干の円安だが、これが悪い円安とか日本経済にとってマイナスになるということはない」「日本経済に総合的にプラスであることは確実」と発言)、B世界的なインフレ懸念(新興国から米国への資金還流が促され、米ドル高の動きが一段と強まる恐れ。事実今週はトルコリラや南アランドなどの新興国通貨でドル高が加速)、

C米当局者によるタカ派的な発言(ウォーラーFRB理事は週末に「持続的な高インフレや堅調な雇用の伸びを踏まえて、FRBはテーパリングのペースを加速させ、予想よりも早期に利上げを実施する用意を整える必要がある」との見解を発表。質疑応答でもテーパリングペースを1月に倍増させ、4月にテーパリングを完了すると共に、第2四半期に利上げに着手する案を支持すると発言。また、クラリダFRB副議長も「12月のFOMCでテーパリングの加速について議論することが適切となる可能性がある」と発言)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は米経済指標(米10月中古住宅販売件数、米10月耐久財受注、米第3四半期GDP改定値、米10月新築住宅販売件数、米10月PCEデフレータ、米FOMC議事要旨)に注目が集まります。市場予想を上回る結果となった場合には、米利上げ観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高の経路でドル円には再び強い上昇圧力が加わると予想されます(心理的節目115.00を再トライするシナリオを想定)。但し、来週は米当局者発言が予定されておらず、また週後半にはサンクスギビングデー(米感謝祭)で市場参加者の激減が見込まれることから、値動きは週前半に集中すると考えられます(米感謝祭前のポジション調整も相俟って週前半はボラティリティの急拡大に要注意。一方、週後半は市場参加者減少でボラティリティが急低下する可能性あり)。

来週の予想レンジ(USDJPY):113.00ー115.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は9/3に記録した直近高値1.1910をトップに反落に転じると、今週末にかけて、昨年7月以来、約1年4ヵ月ぶり安値となる1.1250まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や、移動平均線のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを決定づけるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策の方向性の違い(米利上げの前倒し観測が高まる米国と、金融緩和の長期化が見込まれる欧州との金融政策格差)や、A欧州圏を巡る新型コロナウイルスの感染再拡大懸念(オーストリア政府は11/22から全土でのロックダウン再導入を決定。ドイツは全土でのロックダウン再導入をひとまず否定するも懸念は拭えず)、B上記Aを背景とした欧州経済の先行き不透明感、C北アイルランド議定書を巡る英国・欧州連合間の確執懸念、Dロシア・ウクライナ・ポーランド・ベラルーシを巡る地政学的リスクなど、ユーロドル相場の上値を抑制する材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/23に予定されているユーロ圏11月消費者信頼感指数や、ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値、11/24のドイツ11月ifo景況感指数に加えて、複数の欧州当局者発言(オーストリア中銀ホルツマン総裁、ラトビア中銀カザークス総裁、スロバキア中銀カジミール総裁、フランス中銀ビルロワドガロー総裁、エルダーソンECB専務理事、ラガルドECB総裁、シュナーベルECB専務理事、パネッタECB専務理事、レーンECB専務理事など)に注目が集まります。欧州経済指標が冴えない結果となる場合や、欧州当局者よりハト派的な発言が相次ぐ場合などには、欧州経済の先行き不透明感を背景としたユーロ売りと、欧米金融政策格差を背景としたユーロ売りが重なることから、来週もダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(昨年6/22に記録した直近安値1.1168を試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1125−1.1425

注:ポイント要約は編集部

『ドル高基調の継続を想定。週後半は米感謝祭で小動きか』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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