ドル安進行せず、新レンジ形成の動きも
〇本日のドル円、112.75-95の狭いレンジで取引、上値重く下値も下げ渋り
〇昨日9日は112.73まで下落、ドル安再燃か、113円中心とした新レンジ形成か動静に注目
〇米株の動きを注視、「株安継続=リスク回避の円高」の流れとなるか
〇本日は米10月消費者物価指数、サマーズ元米財務長官講演を予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは112.60-113.50
<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場は小動き。結局一度も113円を超えることなく上値は重かったが、下値も堅く下げ渋りの感も。
ドル/円は112.85円レベルで寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。ゴトー日ということで一時仲値不足観測なども台頭したが、実際の値動きには繋がらず。112.75-95円といった20ポイント程度の狭いレンジ取引をたどると、16時現在では112.90-95円で推移し、欧米市場を迎えていた。
そうしたなか、豪ドルなどオセアニア通貨がやや売られたが、こちらも大きな動意に結び付かず。対円やドルで前日安値をわずかに更新しただけにとどまっている。
一方、材料的に注視されていたものは、「FRB議長人事」と「米中関係」について。
前者は、ブルームバーグが「ブレイナード理事は先週ホワイトハウスを訪れた際に、FRB議長の職について聞き取りを受けた」と報じたことが引き続き話題に。次期議長候補として公に名前が取り沙汰されているのは現議長のパウエル氏と、前述したブレイナード氏のみ。もはや2氏に絞られたとみて間違いなさそうだ。なお、政治サイトのポリティコは「バイデン米大統領、25日までにFRB議長人事を決定」と報じている。
対して後者は、ブルームバーグが、関係筋の話として「バイデン大統領と中国の習国家主席のオンライン形式の会談が来週にも行われる予定」と報じ思惑を呼ぶ。関係改善への期待も聞かれたものの、反面で「中国国防省、米議員団の訪台を『断固反対』などと非難」、「バイデン氏、『中国軍関連』企業への投資の禁止継続を発表」−−などと指摘されており、前途は依然として多難なようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日東京時間の夕方に掛けて113円を割り込み、112.73円まで下落。過去2週間程度のレンジ下限を大きく下回ったことで、欧米時間帯でのドル続落が期待されたものの、結局不発に終わっている。先の安値112.73円を下回ることは出来なかった。本日ドルは再び下落に転じるのか、それとも従来のレンジを1円程度下方修正した113円を中心とした新レンジを形成するのかを見極める正念場を迎えそうだ。動静をしっかりと見極めたい。
日米英欧などの金融政策が引き続き注目されており、単純な金利差という点では円を買い進めにくい状況だ。ただ新型コロナの感染再拡大懸念や、原油を中心としたエネルギー価格の高騰が不確定要素となっており、この先波乱あってもまったく不思議はない。目先的には発表される米経済指標とともに、若干風向きの変わってきた感もある米株の動きがとくに要注意。「株安継続=リスク回避の円高」の流れも注視しておきたいところだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円はドル高の「時間調整」から「価格調整」へと色彩が若干変化した感があるものの、予想以上に底堅く値は走らず。フィボナッチでは、9月ドル安値109.12円を起点とした上げ幅の38.2%戻しあたる112.55円を前に下げ渋っている感を否めないようだ。個人的には、ドル安再燃を見ているが、113円レベルを中心とした新レンジ形成シナリオを見込む声も少なくない。
材料的に見た場合、中長期的には、来週実施される米国との首脳会談が俄かに脚光を浴びている「中国情勢」、日本でも3回目のワクチン接種が実施される方向となった「新型コロナ問題」、「日米欧英などの金融政策」−−が注視されている。
一方、本日は米経済指標として、10月の消費者物価指数や週間ベースの新規失業保険申請件数が発表されるほか、米財務省による30年債の入札も実施される見込みだ。対して、欧米中国関係者などによる講演やイベント参加はこれまでのように多くないが、それでもサマーズ元米財務長官の講演には一応要注意か。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは112.60-113.50円。昨日高値113.29円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ113.70-80円を目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、昨日安値であり本日東京でも近いレベルで下げ止まった112.73円が下値メドとして意識されている。底堅いイメージもあるが、割り込むようだと112.55円や112円前後がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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