ドル円、インフレ加速で急上昇。市場予想を大幅に上回るCPIがドル買いを誘発
〇ドル円、米国時間午後にかけて一時高値114.01まで急上昇
〇米長期金利上昇、予想を上回る数字となったCPI等が上げを主導、短期筋のショートカバー巻き込む
〇ユーロドル、米CPIと米長期金利上昇に約1年4ヵ月ぶり安値となる1.1481まで急落
〇ドル円、基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜け地合い強い
〇ファンダメンタルズもドル円相場の上昇を連想させる材料が複数残る
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想、本日北米休場
〇本日の予想レンジ:113.50ー114.30
海外時間のレビュー
10日(水)のドル円相場は急上昇。アジア時間午後にかけて安値112.78まで下げ幅を広げるも、前日安値112.71をバックに下げ渋ると、@米金利上昇に伴うドル高圧力や、A心理的節目113.00突破に伴う短期筋のショートカバー、B株式市場の底堅い動き(時間外の日経平均先物も反発→リスク回避の円買い後退)、C岸田首相による「来週中に数十兆円規模の経済対策取りまとめる」との前向きな発言、D米10月消費者物価指数(結果6.2%、予想5.8%、※前年同月比)および、E米10月消費者物価コア指数(結果4.6%、予想4.3%、※前年同月比)の市場予想を上回る結果、F上記DEを背景とした米利上げ前倒し観測(米10年債利回りは前日に記録した1.41%から1.57%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値114.01まで反発しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/11午前5時10分現在)では、113.80前後で推移しております。
10日(水)のユーロドル相場は急反落。アジア時間早朝に高値1.1599まで上値を伸ばすも、レジスタンスポイントが密集する1.1600前後の壁に続伸を阻まれると、@米金利上昇に伴うドル高圧力や、A米インフレ指標の大幅加速、B上記Aを背景とした米利上げ前倒し観測、C欧米金融政策の方向性の違い、D米ドルショートの巻き戻しや心理的節目1.1500を割り込んだことに伴う短期筋のロスカットが重石となり、米国時間午後にかけて、昨年7月以来、約1年4ヵ月ぶり安値となる1.1481まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/11午前5時10分現在)では、1.1483前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前日11/9に記録した約1ヵ月ぶり安値112.72をボトムに反発に転じると、昨日は一時114.01まで急騰しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や移動平均線のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となりつつあります(ポジション調整一巡後の本格反発局面スタート)。ファンダメンタルズ的に見ても、@世界的なインフレ懸念(米CPIが1990年11月以来の大幅な伸びを記録した他、同コア指数も1991年8月以来の伸びを記録。また、アジア時間に発表された中国のインフレ指標も急上昇。中国PPIについては1995年以降で最も高い伸びを記録)や、A上記@を背景とした新興国から米ドルへの資金流入観測、B日米金融政策の方向性の違い(インフレ加速で利上げ時期の前倒しが意識される米国と、金融緩和継続で実質金利低下→円売りの波及経路が意識される日本との金融政策格差)、C黒田総裁による円安容認観測など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が複数残っております。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は北米市場(カナダと米国)休場で海外時間帯は流動性の低下に注意が必要でしょう(米経済指標の発表もなし)。
本日の予想レンジ:113.50ー114.30
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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