一気に調整色強まる、ドルの続落にも要注意
〇ドル円、維持してきた105円を再び割り込む展開となるなど、ドルが弱含みの展開
〇ビットコイン、米テスラの投資が好感され本日続伸し一時48000ドル台、史上最高値を更新
〇米企業運営の「クラブハウス」、中国で突然使用できなくなる、規制の対象となった可能性も
〇引き続き米株価の動きに注目、ドル/円調整色の強い値動きになるとの見方も
〇本日、要人発言に注意、「トランプ氏弾劾裁判」米上院で始まる予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ104.30-105.30
<< 東京市場の動き >>
9日の東京市場はドルが弱含み。4日に「しっかり」上回って以来、維持し続けてきた105円を再び割り込む展開となっている。
ドル/円は105.20円レベルで寄り付いたのち、しばらくレンジ取引。105.10円前後をボトムに底堅く推移したが、一度下回るとそのままドル安・円高が進行し、105円も意外にアッサリと割り込んできた。日中安値である104.80-85円へと達したのちは低位揉み合いに。逆に105円台へと戻すこともなく、16時現在でも104.85-90円のドル安値圏を維持、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「暗号資産」と「国際的な対立関係」について。
前者は、先週末5日にイーサリアムが史上最高値を更新したと話題になるなか、今度はビットコインが同じく史上最高値を更新している。米テスラが15億ドルものビットコイン投資を行ったことが明らかになり、それが好感されると、昨日NY時間には一気に45000ドルをうかがう様相。また、本日さらに続伸すると、一時48000ドル台も。ちなみに、今年の1月1日段階ではまだギリギリ3万ドル以下で推移していることから、年初来わずか1ヵ月強で60%近い「暴騰」をたどっている計算だ。
対して後者は、典型的であるのは「米中関係」で、昨日も米企業が運営する音声SNS「クラブハウス」が中国で突然使用できなくなり、規制の対象になったのではと話題に。そんな中国は、日本が中国海警局の船が2日連続領海侵入したことを抗議した問題について、「尖閣諸島は中国固有の領土」としたうえで行動を正当化するコメントを発していた。一方、それとは別に、先日ロシアがドイツなど3ヵ国の外交官を追放したことの報復措置として、ドイツ、ポーランド、スウェーデンの3ヵ国がロシア外交官を国外追放したことが明らかとなっている。また、ロイターは「英政府、EUとの信頼性損ねたとして対EU関係の見直しを提案」などと報じていた。
<< 欧米市場の見通し >>
前述したように、ビットコインを中心に暗号資産の売買が活況。またNYダウなど米株も昨日再び史上最高値を更新するなど、金融市場全般の値動きがかまびすしい。為替市場はそれらと比べると、やや出遅れている感を否めないが、豪ドルやNZドルのほかポンドなどを中心に期待の一端をうかがわせる値動きだ。ドル/円についても、目先はともかく、再度ドル買いが優勢となり110円方向に向けた値動きを期待する声もある。
このあとの欧米時間は、引き続き米株価の動きにまず注目。ただし、ここ最近の相場を見ると「株高=ドル高」という構図は完全に崩れている。仮に株価がさらに続伸しても、ドル/円が上方向に動くかどうかは微妙な情勢だ。市場では、次の材料模索の様相をたどるなか、ドル/円も調整色の強い値動きになるとの見方が取り沙汰されていた。
テクニカルに見た場合、ドルは先週末105.76円まで上昇するなど、ザラ場ベースでは一時上回る局面も見られたが、NYクローズベースでは、105.60円前後に位置する移動平均の200日線を結局超えられず。そして本日東京時間にドルは続落すると、105円割れへと達してきた。ドル高基調そのものに変化はなさそうだが、上値トライは一旦仕切り直しか。21日線や90日線が位置する104.30円前後を目指し、いま一段の下押しが入るとの指摘も聞かれている。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、12月のJOLT雇用動態調査という米経済指標が発表されるものの、市場の注目度は正直さほど高くない。ただ、米財務省による3年債の入札やブラード・セントルイス連銀総裁による講演などが予定されており、そちらには一応要注意。また、金融市場への影響は読み切れないが米上院で始まる「トランプ氏弾劾裁判」の行方も気掛かりだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは104.30-105.30円。本日東京高値の105.25-30円が最初の抵抗。抜ければ、移動平均の200日線をめぐる攻防が再び注視されそうだ。
対するドル安・円高方向は、移動平均の21日線や90日線、あるいは一目均衡表の先行帯の雲の上限なども近く、テクニカルサポートの集中する104.30円前後はかなり強いサポートか。ただ、逆に割り込むようだとなし崩し的なドル安進行も。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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