ドル円 再び103円割れ、ようやくレンジ放れか
〇ドル円、一時103円を割り込むなどドルが弱含みの展開、103円台回復するも上値は重い
〇年末年始、新型コロナ感染拡大や米中対立関連の報道相次ぐ
〇明日実施予定の米ジョージア州における決選投票、金融関係者の関心も高い
〇本日発表の11月建設支出、講演など要人発言にも注意
〇欧米時間のドル円予想レンジ102.40-103.40
<< 東京市場の動き >>
週明け4日の東京市場は、ドルが弱含み。昨年12月30日に続く103円割れを示現する局面も観測されていた。
年末年始を含めた先週末、暗号資産(仮想通貨)ビットコインが史上初めて3万ドル台に乗せただけでなく、その勢いを借りて34700ドル台まで急騰。また、新型コロナに関しては、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計結果で、米国の感染者が2000万人を超えたと発表されている。
そうした状況を踏まえて取引が始まったドル/円は103.20円前後でオープン後、しばらくは底堅く推移。しかし底割れすると、そのまま103円を割り込み、日中安値である102.90-95円まで下落している。その後は小反発に転じ、辛うじて103円台は回復するも上値はすでに重い。16時現在では103.00円前後で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「米中の対立」について。
前者は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計結果で、米国の感染者が前述したように「2000万人を超えた」と発表されただけでなく、全世界の感染者も「8483万人」となり、8500万人に迫るところまで広がっていることが明らかになった。そうしたなか、英国では感染者の高止まりを受けて、ジョンソン首相が「規制強化の可能性」を示唆し物議を醸していたほか、日本でも週末に1都3県知事が西村担当相と会談し「緊急事態宣言を検討するよう要請した」と報じられている。
対して後者は、年末年始の慌ただしいなか、米中によるバチバチとしたやりあいが引き続き観測されていた。たとえば、NY証券取引所はトランプ氏が署名した大統領令にもとづき「中国の通信大手3社の上場廃止手続きを開始」したことを発表したほか、米国務長官からは中国非難のコメントが聞かれたうえ、「香港活動家らの無条件釈放を要求」し思惑を呼ぶ。それに対し中国サイドは、王外相が「米新政権が理性を取り戻して対話を再開し、再び両国関係が正しい軌道に戻って協力することを望む」などと発言したとされている。
<< 欧米市場の見通し >>
暗号資産ビットコインが史上はじめて2万ドルを突破したのは、12月16日のこと。それからわずか半月で34000ドル台まで上昇していることになる。さすがに上昇スピードは早く、上げ過ぎの感も否めないが、これだけアクティブに動くというのも、為替市場の関係者からすると羨ましいかぎり。ようやく動意づいていた感もあるが、それでも出遅れているドル/円について、レンジ放れなど次なる動きをぜひとも期待している。
そうしたなか、目先のマーケットでもっとも関心を集めているものは、明日実施予定の「米南部ジョージア州における連邦議会上院の2議席をめぐる決選投票」だ。すでに有権者280万人超が郵便投票を含む期日前投票を済ませたとされるなど、地元住民らの関心が高いだけでなく、金融に携わる人間の関心も極めて高い。なお、ブルームバーグが「結果判明まで数日から数週間かかる可能性もある」と報じるなど、昨年11月の米大統領選同様、しばらくはモヤモヤ感の残る展開をたどる可能性もありそうだ。
テクニカルに見た場合、時間足など短期のチャートを見ても2度下げ止まっている102.90-05円が目先のサポートか。これは過去2週間程度推移するレンジ下限102.88円にも極めて近い。仮に下回ると、その下はしばらく明確なサポートがないこともあり、一種のフリーフォール懸念も。101円台突入を警戒する声も聞かれる一方で、本邦政府筋などによる「口先介入」が下値を支えるといった声もあるようだ。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発・接種」、「就任確実のバイデン新米大統領による政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、11月の建設支出といった米経済指標が発表されるほか、エバンス・シカゴ連銀総裁などによる講演が相次ぐ見込みだ。要人発言も波乱要因として一応注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは102.40-103.40円。本日のドル高値を含めた103.30-40円が最初の抵抗。超えれば103.70円割れまでレベルを切り下げてきた移動平均の21日線がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値などにあたる102.90-95円が目先のサポート。そのスグ下、102.88円はレンジ下限になる。それらを下回ると、明確な下値メドは見当たらず、なし崩し的なドル安が進行する危険性もあるだろう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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