トルコリラ円レポート月曜版(18/7/17)

週初に高値圏をつけたあとは大きくトルコリラが売り込まれ、5月につけた史上最安値(22.31)に迫る荒れ相場となりました。

トルコリラ円レポート月曜版(18/7/17)

トルコリラ円レポート月曜版

先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は直近の動きからテクニカルに押し目買いが出やすい一週間になると考え「23.85レベルをサポートに24.45レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が22.42レベル、高値が24.47 レベルと、週初に高値圏をつけたあとは大きくトルコリラが売り込まれ、5月につけた史上最安値(22.31)に迫る荒れ相場となりました。

先週のトルコリラは、エルドアン大統領就任以降いったんは落ち着いていたトルコに対する悪材料が改めて噴出する一週間となりました。週初こそリラ買いが先行したものの、強権を行使できる新憲法下の大統領にエルドアン氏が就任したことに対する懸念から格付け会社が一斉にウォッチリストに加えたことから売りに転換しました。

さらには以前から中銀の引き締め姿勢に批判的だったエルドアン大統領が利下げに言及したことから大幅安となり、冒頭の通り史上最安値に10銭程度まで迫る急落相場となりました。また、この時のトルコリラの下げは対ドルでのリラ売りの影響が大きかったのですが、ドルトルコリラは史上最安値となる4.9768と5.0の大台に近づくリラ安となっていました。

前週までの人事で前副首相を閣僚に入れず、身内の娘婿を財務相にと明らかに海外の目からすればトルコにとって悪い方向に進むリスクがあると考えざるを得ません。さすがに新財務相はトルコ中銀の独立性を維持すると述べてはいますが、フィッチはBB+からBBへと1ノッチ格付けを引き下げ、見通しをネガティブとしました。さらにIMFもトルコに対して中銀の独立性について懸念を示すなど、週を通して悪材料のオンパレードとなりました。

ただ、トルコリラの値動きとしては、ドルトルコを見るとわかりやすいのが、週初と週半ばに2段ロケット上昇を見た後はドル高値圏でいったん止まっています。ただ、トルコの政治、金融政策など世界中から懸念を示す声が高まっている状況には何ら変化は無く、FTの記事で書かれているように「自身と取り巻きの権力基盤を固め、特異で見当違いなことも多い経済手法を無理強いする」という流れが今後も懸念されます。

とりあえず、新財務相も今のところは妙な動きはしていませんが、法改正で大統領は中銀総裁への介入も可能ですし、いい手を打って当然、悪い手を打とうものならアルゼンチンの二の前となり通貨危機がすぐにでもやってくる可能性もあるでしょう。

今週のトルコではいくつか経済指標も出てきますが、最大の注目は来週24日のトルコ中銀による政策金利発表です。足元では一段の引き締めも必要と見られる中で、政権に後ろ盾のいなくなった中銀が利上げを行うことは困難かもしれません。一部ではエルドアン大統領の圧力で利下げの可能性も指摘されていますが、そんなことをしたら間違いなくアルゼンチンの道を歩むこととなるでしょう。

今週は来週の中銀の動きに向けエルドアン大統領の発言などに気にしつつも、直前までは積極的に取引をしにくい流れが継続すると思われます。

トルコリラ円レポート月曜版

4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)

ピンクの水平線が対円での史上最安値ですが、まだいつトライしてもおかしくない状況ですし、先週の悪材料オンパレード後の状況に変化が無いにもかかわらず、横方向へのもみあいの動きが続いているということは、警戒感の表れと取ってもよいでしょう。

少なくともドル円は円安が進行していますので、その中で上がらないということは今週も上値の重たい動きを考えざるを得ません。23.50レベルをレジスタンスに、先週安値圏のやや上22.50レベルをサポートとする週を見ておきます。ただし、先週安値を抜ける動きが出てきたら、史上最安値を一気に下抜けに行く動きが出て来る可能性は常に考えておくべきです。

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