NY原油アップデート
OPEC「減産」合意するも産油量はほぼ現状維持の水準か
昨日のNY市場でOPECの非公式会合がありましたが、大方の予想に反して減産合意とのヘッドラインが流れNY原油(WTI期近)は45ドル台後半から47ドル台前半へと急騰しました。
合意内容は日量3250万バレルへと減産するというものでしたが、減産のあとに出てきたこの数字を見ておやっと思ったのは私だけではないはずです。というのも、これまでOPECではサウジアラビア主導で何度も減産の協議が行われてきましたが、2016年前半の平均産油量がだいたい3250バレルで、8月の3324万バレルというのは過去最高の水準と言って差し支えありません。8年ぶりの減産合意とは言っても、直近の勝手な増産を控えようという程度の恐ろしく消極的な合意です。
非OPECの減産合意なしでは実効性に疑問、OPEC内足並みの乱れも懸念材料
しかも、非OPECの産油量は5650万バレルに達していて、OPECが減産する分程度では現在の余剰分を吸収できるかも疑問ですし、逆に非OPECからの産油量が増える可能性もあります。OPECと非OPECと双方での減産合意に達しなければ実効性は薄いでしょうし、実際に決めるのはOPEC総会(11月30日)ですからまだ2か月あります。これまでのイランの態度を考えると、足並みが揃ったまま総会を迎えられるのかにも疑問符が付きます。
チャートを見てみましょう。WTI期近つなぎの日足チャートです。
WTI日足
WTI48ドル台半ば以降にレジスタンス、超えられなければ下げに転じる
チャートを見るとわかりますが、昨日NY市場から本日東京市場にかけての高値圏47ドル台前半は、ちょうど6月高値と8月高値を結んだレジスタンスラインの直下に位置していて、ここからの一段高を考えるにはこのレジスタンスラインを明確に上抜ける必要があります。少なくとも8月高値(48.92)を抜けてはじめて上値追いの展開の可能性が出て来ると考えてよいでしょう。
ただ、その場合でも8月安値から8月高値への上げ、その後の9月安値への押し、これらをベースにN波動から計算されるフィボナッチ・エクスパンションの61.8%ターゲットが48.56となっています。仮に同水準さえ試すことが出来ない場合には、需給自体が改善していない現状の原油市場の環境を考えると、再び下げに転じる可能性のほうが高いと考えた方がよさそうです。
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