「地域主義」「中国」

4回目の今回は、大統領選挙の争点の一つである「地域主義」、これを「中国」という視点で見た場合の事を考えてみたいと思います。

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「地域主義」「中国」

「地域主義」「中国」

4回目の今回は、大統領選挙の争点の一つである「地域主義」、これを「中国」という視点で見た場合の事を考えてみたいと思います。
地域主義というのは、これまで米国が、他の国々に対して、その採用と実施をすすめてきた、グローバリズムに対比する考え方です。

今回の米大統領選挙では、この地域主義は貿易という名前、しかもTPPという事項で論じられています。
ただ図らずも、クリントン候補、トランプ候補、どちらともTPPには反対の立場をとっています。
違うのはその徹底さです。
クリントン候補の場合は、個別の案件を精査して、是々非々で対応するとしているのに対して、
トランプ候補の方は、主任式の直後に脱退をするとまで言い切っています。

今回の米大統領選挙は、あくまでも、民主党候補のクリントン候補と、共和党候補のトランプ候補との一騎打ち、つまりいずれの候補が当選したとしても、米国は現行のTPPより脱退もしくは大幅な見直しをすることになり、
その後の米国の基準は、今までのグローバリズムから、「地域主義」へと変わると想定されます。

さて、ここで興味深い数字をご紹介します。
トランプ候補は、選挙期間の当初から中国との貿易不均衡を述べていますが
この一番右の19.90%の事を言っているのです。

中国の輸出先:    中国の輸入先:    米国の輸出先;     米国の輸入先:
1.米国 16.9%   1.EU28  12.5%   1.カナダ 19.3%   1.中国 19.9%
2. EU28  15.8%  2.ASEAN 10.6%  2.メキシコ 14.8%  2.カナダ 14.8%
3. 香港 15.5%   3.韓国 9.7%    3.中国 7.6%    3.メキシコ 12.5%
4.日本 8.3%
5.米国 8.1%

これはJETRO(2016.1.28)記載の金額ベースでの資料を、%表示に直したものです。
これを見てわかるのは、先のポイントだけでなく、

1. 中国にとって最大の輸出先、つまり最大のお客様は、米国の16.9%。

2. 米国にとって中国は3番目の関係で、つまりお客様優先度はそれほどは高くない。

3. つまり中国が生産者で、米国が消費者の関係で
消費者としての米国の立場の方が大きく優位に立っています。

4. 結論として
中国が崩壊しても、米国は困らない、困るのはEU28 やASEAN、なのですが逆に
米国が崩壊すると、中国は困ります。
というポイントが浮き彫りになって来ます。

ですので、中国が、米国に挑んだとしても、中国は勝てないと想定されます。
今後、クリントン候補、トランプ候補の、いずれが当選しても、今のままであれば米国と中国の覇権争いは
米国の勝ちと想定されます。
ですので、「今のままであれば」という部分を、なんとか中国は変えようと、
一帯一路という政策をとってみたり、AIIBを設立して見たり、しています。

米国の方は、先述の、一番右の19.90%を圧縮させようと、トランプ候補は中国に批判をしているのです。
貿易の形が、今までのグローバリズムから、「地域主義」へと変わってゆくのであれば、中国はより苦しい立場に立たされると想定され、あの中国が何もせずにその立場に甘んじて、米国からの批判にさらされたままでいる訳はなく、何かしらの策、先手の行動を取ってくるであろうと予想され、要警戒です。

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