トルコリラ円見通し トルコ中銀の連続利上げ期待で高値圏を維持(20/12/24)

23日夕刻には13.45円まで下げたものの早々に持ち直して13.50ドル台前半を回復し、24日午前序盤も13.54円近辺での推移となっている。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の連続利上げ期待で高値圏を維持(20/12/24)

トルコ中銀の連続利上げ期待で高値圏を維持

〇トルコリラ円、23日夕刻に13.45まで下げるも持ち直し、24日午前も13.54近辺での推移
〇本日トルコ中銀の金融政策決定会合が開かれ、連続的な利上げとなるか注目
〇イスタンブール100株価指数が7週連続で上昇、22日、23日と連騰して過去最高値を更新
〇13.45以上で推移中は上昇余地あり、13.56超えから13.60台への上昇を想定
〇13.45割れから下げに入るとみて13.40前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は12月22日深夜に13.56円を付けて11月24日安値以降の高値を更新し、その後も13.50円を挟んだ高値圏持ち合いを維持している。23日夕刻には13.45円まで下げたものの早々に持ち直して13.50ドル台前半を回復し、24日午前序盤も13.54円近辺での推移となっている。
12月21日には英国で発生したコロナ変異種による感染急拡大報道から為替市場全般が乱高下に入り、21日夜にはドルが全面高、22日早朝へはドル安、その後にまたドル高がぶり返すという乱調ぶりだったが、トルコリラ円は12月18日深夜高値13.55円から21日夕刻に13.34円まで下げたものの早々に切り返して高値を更新し、22日、23日も他市場の乱高下を見ながらも堅調推移している。

【12月24日、20時のトルコ中銀政策金利発表からどうなるか】

12月24日はクリスマスイブで欧米市場では参加者も少なくなるところだが、トルコは中銀の金融政策決定会合が開かれる。11月7日に中銀総裁更迭が突如発表され、11月8日に財務相交代が報じられたことで暴落的な下げに見舞われていたトルコリラは11月6日安値11.99円から反騰に入り、11月13日には13.82円まで高値を切り上げた。

11月19日に開かれた前回の中銀金融政策決定会合では政策金利である週間レポレートが10.25%から15.0%へと大幅に引き上げられたが、市場はひとまず買い材料一巡として11月24日安値12.92円まで下げた。その後は13.30円を中心とした横ばいで次の展開待ちに入ってきたが、12月24日の金融政策決定会合に対して当初は現状維持との見方が優勢だったところ、連続的な利上げを予想する向きが優勢となり、現時点では16.5%へ連続利上げされるのではないかとの見方が市場のコンセンサスになっている。
トルコ中銀のアーバル新総裁は12月16日、来年の金融政策については引き締め姿勢を維持するとし、持続的な方法でインフレ率を低下させるために必要なら追加利上げを実施する用意があると述べている。
市場の期待通りならリラ高の継続で11月13日と11月19日に付けた高値13.82円超えを試し、期待以上の利上げなら高値更新へ進む可能性も出てくると思われるが、現状維持なら失望売りを誘う可能性もあるところだ。

【東地中海問題】

東地中海でのガス田探査を行ってきたトルコの弾性波探査船「オルチ・レイス号」について、この作業が2021年6月15日まで継続する旨の船員への告知があったとトルコ紙が報じている。ギリシャ近海における領海権益を巡ってギリシャとトルコは対立し、EUがこの問題でトルコへの制裁を協議するなど地政学的リスクを高める問題とされてきたが、12月10-11日のEU首脳会議では制裁発動は見送られて継続協議となっている。年明け以降もこの問題がリスク要因として注目されることも懸念される。

【イスタンブール株価指数、最高値更新】

イスタンブール100株価指数は先週まで7週連続の上昇となり、今週も21日に反落したところから22日、23日と連騰して過去最高値を更新している。3月のコロナショック第一波による急落とその後の反騰は米国株高と同様の展開だが、11月7日のトルコ中銀総裁更迭及び財務相交代をきっかけとしてトルコリラが反騰したところで10月高値を超えて最高値更新に入り、その後も世界的な株高基調継続を背景に勢いが増してきている。
感染拡大の第二波にさらされて夜間外出禁止等の規制が強まっているものの、ワクチン普及によるアフターコロナ復興期待が優先されて楽観的な上昇を継続しているため、トルコリラにとっても押し上げ材料となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月19日未明高値を前回のサイクルトップ、21日夕安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日未明から28日朝にかけての間への上昇を想定してきた。22日深夜高値の後も高値圏を維持しているので引き続きトップ形成中とみるが、23日夕安値13.45円割れからはいったん弱気サイクル入りとみて24日夜から28日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月14日以降、先行スパンを上回る状況を維持している。23日夕刻の下落でも先行スパンからの転落を回避して24日午前は上抜けている。このため先行スパンからの転落回避中は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は高値圏持ち合いが続いているため50ポイントを挟んでの往来が続いている。60ポイント超えからは上昇に勢いがつくとみて70ポイント超えを目指す流れと考えるが、40ポイント割れからはいったん下げに入る可能性を警戒して20ポイント台への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月23日夕安値13.45円を下値支持線、22日深夜高値13.56円を上値抵抗線とする。
(2)13.45円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.56円超えからは13.60円台への上昇を想定する。中銀の連続利上げ反応で急伸する場合は13.70円前後へ上値目途を引き上げる。また23日夕安値割れ回避での推移なら25日以降も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.45円割れからはいったん下げに入るとみて13.40円前後への下落を想定する。中銀の利上げ見送り等で急落の場合は13円台中盤(13.75円〜13.25円)へ下値目途を引き下げる。また23日夕安値を割り込んだ水準での推移なら25日以降も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.0%、予想 16.5%)
 20:30 週次外貨準備高 12/18時点 (12/11時点 474.1億ドル)
12月25日
 16:00 12月製造業景況感 (11月 103.9、予想 101.5)
 16:00 12月設備稼働率 (11月 75.8%、予想 76.0%)
 17:00 11月観光客数 前年比 (10月 -59.4%、予想 -52.0%)
12月29日
 17:00 12月経済信頼感指数 (11月 89.5、予想 86.2)

12月31日
 16:00 11月貿易収支 (10月 -23.7億ドル)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨公開
 20:30 週次外貨準備高
1月4日
 16:00 12月消費者物価 前年同月比 (11月 14.0%)
 16:00 12月消費者物価 前月比 (11月 2.3%)
 16:00 12月生産者物価 前年同月比 (11月 23.11%)
 16:00 12月消費者物価 前月比 (11月 4.08%)


注:ポイント要約は編集部

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