トルコリラ円 11月24日以降の高値を更新しつつ24日の中銀政策金利発表待ち(20/12/23)

トルコリラは対ドルで12月19日未明高値超えには至らなかったものの高値圏を維持して確りし、ドル円の上昇によりトルコリラ円が高値を更新するという展開となった。

トルコリラ円 11月24日以降の高値を更新しつつ24日の中銀政策金利発表待ち(20/12/23)

11月24日以降の高値を更新しつつ24日の中銀政策金利発表待ち

〇トルコリラ円、21日夕刻に13.37へ反落後持ち直し、高値圏を維持
〇24日の中銀金融政策会合での利上げ見込みで強含みの展開で進むとみる
〇トルコ、新型コロナ累計206万2960人で世界7番目の感染者数
〇トルコでも実施の中国製新型コロナワクチン後期治験、ブラジルで有効性が証明される
〇22日深夜高値13.56超えからは13.60台への上昇を想定
〇21日夕安値13.37割れからは13.30前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は12月22日深夜に13.56円を付けて12月11日反落時以降及び11月24日安値以降の高値を更新した。23日早朝には13.46円まで小反落しているものの21日夕刻に13.37円まで反落したところから持ち直した高値圏を維持している。
12月21日は英国での新型コロナウイルス変異種による感染急増とEU諸国による英国からの渡航禁止が相次いだことで金融市場全般がリスク回避に急旋回し、為替市場はドル買い戻しに動いてユーロやポンド、豪ドル等が下落、新興国通貨も売られてトルコリラ円も13.40円を割り込むところまで下げたが、21日夜からはNYダウの反騰でリスク回避的な動きにブレーキがかかりユーロ等が持ち直し、トルコリラ円も21日夜にはこの間の高値を更新した。
22日は感染拡大への懸念が続くとして再びドル高基調となったが、トルコリラは対ドルで12月19日未明高値超えには至らなかったものの高値圏を維持して確りし、ドル円の上昇によりトルコリラ円が高値を更新するという展開となった。

【英国の変異種による感染拡大懸念続くが、中銀利上げ見込みで確り】

コロナ変異種による感染拡大懸念から英国及び南ア等からの渡航規制が相次いでいる。英国とEUのFTA交渉も離脱移行期限の年末を控えてまだ合意に至らず、英国とフランスの物流がストップするなど混乱が続いている。3月のコロナショック第一波による急落から出直りを続けてきた金融市場全般に動揺も見られる。今のところは米株価指数が史上最高値圏を維持しているが、米国の感染拡大も深刻であり、感染力の強い変異種により感染者が再び急増するようだとアフターコロナの復興及びワクチン普及による正常化への期待よりも現況及び先行き不安が勝り、21日の様に金融市場全般がリスク回避へ急旋回する可能性もあると注意したい。またその際は新興国通貨売りも厳しくなるリスクがあると思う。ただ、現状のトルコリラは12月24日の中銀金融政策会合における連続利上げ見込みから確りしており、21日の金融市場の動揺レベルを超えない限りはまずは24日の利上げ状況を見定めたいとして強含みの展開で進むと思われる。

トルコ中銀の利上げに対する市場予想は現行の15.0%から16.5%への利上げ見込みだが、連続利上げで当面の買い材料一巡となるか、さらに騰勢継続のきっかけとなるか、失望売りから崩れるのか、重要な分岐点になると思われる。

【トルコ国内の感染急増はやや落ち着くも依然高水準】

12月21日の新型コロナウイルス感染者は前日から1万9256人増、感染者累計は206万2960人となり英国の211万人に迫る世界7番目の感染者数となっている。22日の死者は251人、21日も254人と200人を超えるペースが続いており死者累計は1万8602人となった。夜間外出制限や営業規制といった事実上のロックダウン措置を導入したことにより12月8日に新規感染者が3万3198人となったところでひとまずピークを付けて減少している印象だが、依然として2万人近い高水準の感染者発生となっている。
英国で発生した新型コロナウイルス変異種についてはトルコ国内にまだ入り込んでいないが、南アでも別の変異種が発生して感染者が急増するなど、ウイルスは変異を繰り返し、ロックダウンが緩めばまた増える。EU諸国をはじめ世界40カ国・地域が英国や南ア等からの入国規制を開始しているが、観光大国トルコにとっては自国の感染拡大を抑えることと共に特に欧州の感染拡大が収まらないと観光収入の激減した現状から復活できないと懸念される。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは21日、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発中の新型コロナワクチンについて、ブラジルで実施した後期治験で有効性が証明されたと報じた。この治験はインドネシアとトルコでも行われている。トルコは中国製ワクチン輸入と国産ワクチン開発で対処しようとしている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月19日未明高値から21日夕刻安値へ反落したもののその後に高値を更新したため、22日朝時点では直近のサイクルトップを19日未明高値、21日夕安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また21日夕安値割れ回避のうちは24日未明から28日朝にかけての間への上昇余地ありとした。22日深夜へ高値を切り上げてその後も高値圏を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、21日夕安値を割り込む場合は下落期入りとして24日夕から28日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月14日以降、先行スパンからの転落を回避した状況で上昇しているため、先行スパンからの転落回避中は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は19日未明高値から22日深夜への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られて50ポイントを割り込んでいるのでやや調整に入りやすい姿と思われる。50ポイント台回復からは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月21日夕安値13.37円を下値支持線、22日深夜高値13.56円を上値抵抗線とする。
(2)13.37円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.56円超えからは13.60円台への上昇を想定する。13.65円以上は反落警戒とするが、13.50円以上での推移なら24日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.37円割れからはいったん下げに入るとみて13.30円前後への下落を想定する。13.30円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、13.37円を割り込んだ後も13.40円以下での推移なら24日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.0%、予想 16.5%)
 20:30 週次外貨準備高 12/18時点 (12/11時点 474.1億ドル)
12月25日
 16:00 12月製造業景況感 (11月 103.9、予想 101.5)
 16:00 12月設備稼働率 (11月 75.8%、予想 76.0%)
 17:00 11月観光客数 前年比 (10月 -59.4%、予想 -52.0%)
12月29日
 17:00 12月経済信頼感指数 (11月 89.5、予想 86.2)

12月31日
 16:00 11月貿易収支 (10月 -23.7億ドル)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨公開
 20:30 週次外貨準備高
1月4日
 16:00 12月消費者物価 前年同月比 (11月 14.0%)
 16:00 12月消費者物価 前月比 (11月 2.3%)
 16:00 12月生産者物価 前年同月比 (11月 23.11%)
 16:00 12月消費者物価 前月比 (11月 4.08%)

注:ポイント要約は編集部

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