ドル円見通し コロナ変異種拡散への懸念続きドルの買い戻しでドル円は持ち直す(20/12/23)

ドル円は、23日早朝も103.50円を上回る水準を維持している。

ドル円見通し コロナ変異種拡散への懸念続きドルの買い戻しでドル円は持ち直す(20/12/23)

コロナ変異種拡散への懸念続きドルの買い戻しでドル円は持ち直す

〇ドル円、22日深夜に103.73まで戻し、23日早朝も103.50を上回る水準を維持
〇為替市場ではドルの買い戻しによりユーロ、ポンド、豪ドル等が全面安
〇ナスダック総合指数は65.40ポイント高で取引時間中の史上最高値更新
〇米7-9月期のGDP確定値は年率換算で前期比33.4%増、上昇率は1947年以降で最大
〇米12月消費者信頼感指数は88.6で大幅に低下、年明けからの回復への期待も薄い印象
〇21日夜高値103.88超えからは104円台序盤への上昇を想定
〇22日午前安値103.27割れからは12/17深夜安値102.86試し

【概況】

ドル円は12月21日夜高値で103.88円まで上昇したところから22日午前安値103.27円まで反落し、22日夜までは103.50円を下回る水準でほぼ横ばいの推移となっていたが、NYダウ反落からドル買いの動きが再燃して深夜には103.73円まで戻し、23日早朝も103.50円を上回る水準を維持している。
英国で感染力も高い新型コロナウイルス変異種が発生して英国の感染が急拡大し、欧州へも飛び火したことでEU諸国が英国からの入国禁止を相次いで発表したことをきっかけに21日は金融市場全般のリスク回避的な動きが強まり、為替市場ではドルの買い戻しによりユーロ、ポンド、豪ドル等が全面安となり、ドル円においてもドル買い優勢の展開となった。21日夜にNYダウが反騰に転じたことでドル買いの動きがいったんストップし、やや過剰なドル買いだったとして巻き戻しのドル安に転じたため、ドル円も21日夜高値からの反落となったのだが、22日は感染拡大への懸念によるリスク回避優勢の展開が再開し、NYダウも下落したためにドル買い戻しの動きでドル円も持ち直している。

【米GDP予想外の上方修正だったが消費者信頼感は悪化】

12月22日のNYダウは前日比200.94ドル安と下落したが、その一方でナスダック総合指数は65.40ポイント高となり取引時間中の史上最高値も更新した。英国で発生した変異種による感染拡大懸念でダウは下げたが、ナスダックは巣籠需要期待もあって上昇した。21日に米与野党がコロナ不況対策の経済政策で合意に至ったこともダウの下げ幅を抑えたようだ。
米商務省が発表した2020年7-9月期のGDP確定値は年率換算で前期比33.4%増、改定値の33.1%から上方修正され、市場予想の33.1%を上回った。上昇率は1947年以降で最大となり感染拡大第一波で悪化した4-6月期から急回復した。個人消費も41.0%増で改定値の40.6%増から上方修正された。しかし、7-9月期の統計は過去のものであり、現在は第三波の最中で感染拡大、経済活動の規制も拡大している状況であり、10-12月期のGDPは大幅な減少と予想されるため市場の反応は限定的だった。

米不動産業者協会(NAR)が発表した11月の中古住宅販売件数は年換算で前月比2.5%減の669万戸、市場予想の1.0%減を下回った。10月は速報の685万戸から686万戸に上方修正された。伸びは鈍化したが住宅ローン金利が低下したことや資産インフレ効果で住宅需要は堅調であり、販売価格中央値は前年同月比14.6%増の31万800ドルとなっている。
米コンファレンス・ボードが発表した12月消費者信頼感指数は88.6となり11月の92.9から大幅に低下、市場予想の97.0を下回った。期待指数が前月の84.3から87.5へ上昇したものの、感染拡大の影響で現況指数は前月の105.9から90.3へ大幅に低下している。感染拡大により消費者の現状認識は悪化し、10-12月期もさらに鈍化しているために年明けからの回復への期待も薄い印象となっている。

【11月6日安値を割り込んだところからの下げ加速は回避中だが上値も重い】

ドル円は12月17日の下落で102.86円の安値を付けて11月6日安値103.17円を割り込む一段安となった。3月のコロナショック暴落からのV字反騰が一巡して以降、戻り高値を切り下げてから安値を更新する右肩下がりの下落トレンドで推移しており、11月6日安値を割り込んで一段安に入ったことで下げ足が早まる懸念があったが、英国発の変異種騒動でいったん下げ渋りに入った。しかしリスク回避的なドル全面高の一方でクロス円全般が下落しているため、ドル円における上昇力も鈍く、株安がさらに進行するようだとリスク回避的な円高がドル高に勝ってドル円も下落再開へ進みかねない状況と思われる。今のところは米国株価指数も最高値圏を維持しているが、アフターコロナの復興期待による3月からの上昇相場も9か月目に入っているためリスク回避的な材料に反応しやすくなるところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月17日夜安値で直近のボトムを付けて戻しに入ったが、21日夜高値で戻り一巡となって失速した。しかし22日午前安値から下げ渋り、横ばい推移から103.50円超えへ持ち直したため、22日午前と22日夜の両安値をダブルボトムとして反騰期に入ったと思われる。高値形成期は21日夜高値を基準として24日夜から28日夜にかけての間と想定されるが、為替市場全般が乱調なため戻りは短命の可能性もあると注意し、22日午前安値割れからは新たな下落期入りとして25日午前から29日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では22日夜に先行スパンから一時的に転落したものの持ち直して上抜き返している。遅行スパンもいったん悪化してから好転している。18日以降は103.50円を挟んだ短期的な騰落を繰り返しているため方向感に乏しいが、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試しとし、先行スパン転落からは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試しとする。
60分足の相対力指数は22日深夜に70ポイントに到達したもののその後はやや失速している。50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月22日午前安値103.27円を下値支持線、12月21日夜高値103.88円を上値抵抗線とする。
(2)22日午前安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、21日夜高値超えからは104円台序盤への上昇を想定する。104円以上は反落注意とするが、103.50円以上での推移なら24日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)22日午前安値割れからは下げ再開とみて12月17日深夜安値102.86円試しとする。103円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、底割れから続落の場合は102円台前半への下落を想定する。また22日午前安値を割り込んだ後も103.35円以下での推移なら24日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/23(水)
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI改定値 (速報 93.8)
14:00 (日) 10月 景気一致指数CI改定値 (速報 89.7)
22:30 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 -0.7%、予想 -0.3%)
22:30 (米) 11月 個人消費支出(PCE) 前月比 (10月 0.5%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 1.2%、予想 1.2%)
22:30 (米) 11月 PCEコアデフレーター 前月比 (10月 0.0%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (10月 1.4%、予想 1.5%)
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 88.5万件、予想 88.5万件)

22:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 550.8万人、予想 555.8万人)
22:30 (米) 11月 耐久財受注 前月比 (10月 1.3%、予想 0.6%)
22:30 (米) 11月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (10月 1.3%、予想 0.5%)
23:00 (米) 10月 住宅価格指数 前月比 (9月 1.7%、予想 0.6%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 81.4、予想 81.3)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (10月 99.9万件、予想 99.5万件)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数 前月比 (10月 -0.3%、予想 -0.3%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計

12/24(木)
休場(クリスマスイブ) ドイツ、スイス、イタリア、ノルウェー、ハンガリー、ポーランド、ギリシャ、インドネシア、フィリピン、ブラジル
米国、株式と債券市場は短縮取引
08:50 (日) 11月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (10月 -0.6%、予想 -0.6%)
13:40 (日) 黒田日銀総裁、経団連審議員会、講演

注:ポイント要約は編集部

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