トルコリラ円見通し トルコ中銀の予想を超える利上げで一段高(20/12/25)

トルコリラ円は12月24日20時のトルコ中銀による利上げ発表を受けて13.70円まで上昇、11月24日以降の高値を更新した。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の予想を超える利上げで一段高(20/12/25)

トルコリラ円見通し トルコ中銀の予想を超える利上げで一段高

〇トルコリラ円、12/24中銀利上げ発表を受け13.70まで上昇、12/25朝13.52まで下げたが13.60台回復
〇トルコ中銀、12/24金融政策会合で政策金利の週間レポレート17.00%とする、予想を超える利上げ幅
〇前回会合に続く連続利上げ、中銀は市場の期待に応える利上げ決定によりリラ防衛姿勢示す
〇13.52以上での推移中は上昇余地あり、13.70超えからは13.80前後への上昇を想定
〇13.52割れからはいったん下げに入るとみて13.40台前半への下落を想定、13.42以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円は12月24日20時のトルコ中銀による利上げ発表を受けて13.70円まで上昇、11月24日以降の高値を更新した。12月11日に12.96円まで反落したところから持ち直しに入り、12月18日に13.50円台へ上昇した後は12月21日の小反落で13.40円を割り込んだところを買い戻され、13.50円を挟んだ高値圏持ち合いを維持していたが、市場予想を上回る利上げ幅だったことで発表から一段高となった。
24日21時台に高値を更新した後は目先の重要イベント通過感から利益確定売りに押されてジリ安となり、25日朝には13.52円まで下げたものの25日午前序盤には13.60円台を回復している。

【トルコ中銀、政策金利を17.0%へ、2会合連続の利上げ】

トルコ中銀は12月24日の金融政策会合で政策金利の週間レポレートを2.0%引き上げて17.00%とした。市場予想は16.5%への利上げだったため予想を超える利上げ幅となった。
トルコ政府は11月7日に中銀総裁を突如更迭、11月8日には財務相辞任となり金融政策体制を変えた。このことがトルコ金融政策の正常化への期待となりトルコリラは11月6日安値11.99円から反騰に転じて11月13日高値13.82円まで大幅上昇となった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の予想を超える利上げで一段高

前回の11月19日会合において、アーバル新総裁は従来の10.25%から15.0%へと4.75%の利上げを決定して市場の期待に応えた。しかし一度の利上げでは不足として発表当日の高値は11月13日高値と同値にとどまり、目先の材料消化として11月24日には12.92円へ反落して利上げ前水準を下回った。その後は新たな安値更新を回避しつつも13.30円を中心とした持ち合いの範囲での推移にとどまってきた。エルドアン大統領が利上げには否定的な政策を取り続けてきたため、一度の大幅利上げに終わればその後をインフレが追いかけて実質的なマイナス金利状態に戻る可能性があったためだ。
トルコ中銀のアーバル新総裁は12月16日、来年の金融政策についても引き締め姿勢を維持するとし、持続的な方法でインフレ率を低下させるために必要なら追加利上げを実施する用意があると述べた。このため今回の連続利上げ期待が強まっていたのだが、中銀は市場の期待に応える利上げを決定してリラ防衛姿勢を確り示したといえる。

年明けの1月4日には12月の消費者物価及び生産者物価の発表がある。11月の消費者物価上昇率は前年比で14.03%となり10月の11.89%から上昇している。生産者物価上昇率も11月は18.20%となり10月の14.33%から大幅上昇した。生産者物価上昇を消費者物価が追いかける展開になると、今回の利上げ水準へ迫ってくる可能性もあるところであり、そうなった時に中銀がさらなる連続利上げへ向かえるのかどうか試されるだろう

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月19日未明高値を前回のサイクルトップ、21日夕安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日未明から28日朝にかけての間への上昇を想定してきた。24日の中銀利上げで一段高となった後はいったん利食い売りで下げたため、24日夜高値を直近のサイクルトップとする。ボトム形成期は24日夕から28日夕にかけての間と想定されるので、25日朝の反落時安値ですでにボトムを付けた可能性があるが、24日夜高値を超えないうちは一段安余地ありとみる。13.50円以上での推移中は24日夜高値試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして29日からと31日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では12月14日以降、先行スパンを上回る状況を維持している。25日朝の反落でも先行スパンが下値を支えているので、先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとするが、先行スパンから転落かする場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は24日夜の一段高で80ポイントへ到達、25日朝の反落時に40ポイント割れとなったが早々に50ポイント台を回復している。50ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、24日夜高値を上抜く際に指数のピークが切り下がるようだと弱気逆行発生となって下落に転じやすいと注意する。また高値更新へ進めずに40ポイントを割り込む場合は下げ再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月25日朝安値13.52円を下値支持線、24日夜高値13.70円を上値抵抗線とする。
(2)13.52円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.70円超えからは13.80円前後への上昇を想定する。13.80円以上は反落注意とするが、25日朝安値を割り込まない水準での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.52円割れからはいったん下げに入るとみて13.40円台前半への下落を想定する。13.42円以下は反騰注意とするが、25日朝安値を割り込む水準での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月25日
 16:00 12月製造業景況感 (11月 103.9、予想 101.5)
 16:00 12月設備稼働率 (11月 75.8%、予想 76.0%)
 17:00 11月観光客数 前年比 (10月 -59.4%、予想 -52.0%)
12月29日
 17:00 12月経済信頼感指数 (11月 89.5、予想 86.2)
12月31日
 16:00 11月貿易収支 (10月 -23.7億ドル)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨公開
 20:30 週次外貨準備高
1月4日
 16:00 12月消費者物価 前年同月比 (11月 14.0%)
 16:00 12月消費者物価 前月比 (11月 2.3%)
 16:00 12月生産者物価 前年同月比 (11月 23.11%)


注:ポイント要約は編集部

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