ドル円見通し 103.50円を挟んだ揉み合い続く(20/12/25)

25日朝には103.45円まで反落した。25日午前序盤は103.50円を再び超えているものの動きは鈍い。

ドル円見通し 103.50円を挟んだ揉み合い続く(20/12/25)

ドル円見通し 103.50円を挟んだ揉み合い続く

〇ドル円、12/24深夜103.76まで上昇するも、12/25朝には103.45まで反落
〇英EUのFTA交渉合意、12/24夜ポンド急伸したがクリスマスイブで市場全般的に値動きは限定的
〇NYダウ前日比70.04ドル高、ナスダック総合指数33.62ポイント高と上昇、株高基調は維持
〇市場全般的にリスクオン優勢の動きだが、一方で感染急増への懸念あり、ドル円は決め手欠いた状況
〇EUと英国のFTA締結交渉の首脳間合意により、年明けからのハードブレグジットは回避
〇103.35を割り込まないうちは上昇余地あり、103.76超えからは103.88試しとする
〇103.35からは下げ再開とみて、102.86円を目指す下落を想定

【概況】

ドル円は12月23日夕刻安値103.35円からのジリ高を続けて24日深夜に103.76円まで上昇して12月22日深夜高値103.73円をわずかに超えたが21日夜高値103.88円超えには至らずに25日朝には103.45円まで反落した。25日午前序盤は103.50円を再び超えているものの動きは鈍い。
12月24日夜には難航してきた英国とEUのFTA交渉がようやく合意に達し、年明けからのハードブレグジットは回避されることとなり、24日夜はポンドが急伸したが、ユーロ/ポンドでのユーロ売りポンド買いでユーロドルは24日午後から軟調推移。豪ドルやNZドル、新興国通貨等がリスクオンで買われたもののクリスマスイブで全般的に値動きは限定的だった。

短縮取引だったNYダウは前日比70.04ドル高、ナスダック総合指数も33.62ポイント高と上昇。米議会の与野党が合意した経済対策予算に対してトランプ大統領が難癖をつけて署名しなかったことで多少の混乱が懸念されるもいずれは経済対策も実行されるとして株高基調は維持されている。英国とEUのFTAも合意に至り、市場全般的にはリスクオン優勢の動きではあるが、その一方で変異種による感染急増への懸念もあり、ドル円としては決め手に欠いた状況となっている。

【ハードブレグジットは回避】

EUと英国は12月24日、難航していた自由貿易協定(FTA)締結交渉で首脳間合意に達した。EU離脱後の漁業権を巡ってもつれてきたが、EU離脱の移行期限の年末まで余裕がなくなる中で感染急増もあり、年明けからの大混乱を避けようと双方が歩み寄った。英国にとっては漁業のGDP比率はごくわずかだが、EU加盟によるフランス等の大陸欧州諸国による英国海域への侵入が英国漁民の反発を招き、国民投票で離脱派が勝利する原動力となっただけに安易な妥協ができなかったわけだが、交渉期限切れの中で妥協したと思われる。
FTA締結により英国とEUの間では年明け以降も関税ゼロの貿易が維持される。また英国とEU企業の間の公平な競争を維持する枠組み導入でも合意された。両首脳間で合意されたFTA案についてEU加盟国が年内に承認し、英国議会での実施法案の可決などを経て1月1日から暫定発効される予定。欧州議会は年明けに正式承認する見込み。

【11月6日安値を割り込む一段安の後に5日間の下げ渋り持ち合い】

ドル円は12月17日夜安値で102.86円まで下落して11月6日安値103.17円を割り込み3月24日以降の安値を更新した。3月9日にコロナショック第一波による暴落からV字反騰したが3月24日に戻り高値を付けた後は戻り高値を切り下げて一段安を繰り返す右肩下がりの下降トレンドを形成してきた。11月6日安値からの反騰も短期に終わってジリ安基調が続き12月17日に底割れしたことにより下降トレンドの継続と先安感が強まった状況にある。

12月17日深夜安値から21日夜高値103.88円へ戻し、22日午前安値103.27円まで下げた後はこの高安レンジ内にとどまっている。ややジリ高ではあるが、日足で見れば5日間の下げ渋り的な持ち合いであり、12月3日深夜安値から12月10日夜高値まで5日間で1円弱の戻りを入れたが、今回も今のところは1円に満たない戻り幅の範囲にあるため、類似した状況にあるのではないかと思われる。
12月22日午前安値103.27円から12月23日夕安値103.35円、25日朝安値103.45円と安値は若干切り上がり気味で推移しているが、安値が切り下がり始める場合は下げ渋り型持ち合いの終了から下落再開、一段安へ進みやすくなるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月17日夜安値で直近のボトムを付けて戻しに入ったが21日夜高値で戻り一巡となって失速した。22日午前安値からは安値を若干切り上げるジリ高の推移のため、23日夕安値を直近のサイクルボトムと仮定しする。高値形成期は21日夜高値を基準として24日夜から29日夜にかけての間としてすでに反落注意期にあるとみるが、23日夕安値割れ回避のうちは上昇余地ありとする。23日夕安値割れからは下落期入りとして28日午後から30日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では103.50円を挟んだ揉み合いが続いているため方向感に欠けるが、25日朝時点では遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いた状況にある。このため遅行スパン好転中は戻りを試す余地ありとみるが、両スパン揃って悪化するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は25日朝の反落時に50ポイントを割り込んだが回復している。40ポイント台前半へ下げても50ポイント台を回復してくるうちは上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月23日夕安値103.35円を下値支持線、12月21日夜高値103.88円を上値抵抗線とする。
(2)23日夕安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、24日深夜高値103.76円超えからは21日夜高値試しとし、高値更新から104円台序盤への上昇を想定する。104円以上は反落注意とするが、103.50円以上での推移なら28日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)23日夕安値割れからは下げ再開とみて12月17日深夜安値102.86円を目指す下落を想定する。103円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、23日夕安値を割り込んだ水準での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/25(金)
休場(クリスマス) 米国、英国、カナダ、ドイツ、フランス、スイス、ベルギー、オランダ、ノルウェー、スペイン、イタリア、ギリシャ、ポーランド、ハンガリー、香港、韓国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、インド、メキシコ、コロンビア、ブラジル、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド

14:00 (日) 11月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (10月 -8.3%、予想 -4.8%)

12/28(月)
休場(ボクシングデー) 英国、カナダ、スイス、スペイン、ノルウェー、ポーランド、ハンガリー、オーストラリア、ニュージーランド 


注:ポイント要約は編集部

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