英国とEUのFTA合意見込み報道でリスク選好感回復だがドル円は揉み合い
〇ドル円、103.50を挟んだもみ合いになり23日も続けて高安レンジを縮小しての推移に
〇週間新規失業保険申請件数は80万3000件で前週から8万9000件減少
〇11月の個人消費支出は前月比0.4%減、市場予想の0.2%減を下回る
〇11月の耐久財受注は前月比0.9%増で市場予想の0.6%増を上回るも10月の1.8%増から低下
〇11月の新築一戸建て住宅販売件数は前月比11.0%減の84万1000戸、前月及び市場予想を下回った
〇24日朝時点で103.73を超えていない為三尊型形成の可能性あり、超えれば三角持合いへ変容
〇103.27を割らないうちは上昇余地あり103.73超えから103.88試し、104円台序盤の上昇を想定
〇103.27割れから下げ再開とみて102.86試し、続落の場合102円台前半への下落を想定
【概況】
ドル円は12月17日深夜安値で102.86円まで下落して11月6日安値103.17円を割り込む一段安となり3月コロナショック暴落時に付けた3月9日安値101.17円の翌日以来の安値水準となったが、103円割れに対する突っ込み警戒感から12月18日は103円台中盤まで戻していたところ、週明けの21日に英国でのコロナ変異種による感染急拡大報道等をきっかけとしたリスク回避的なドル買い戻しの動きで21日夜には103.88円まで戻り高値を切り上げた。22日朝に103.27円まで再び下げたものの22日深夜には103.73円まで戻す等、為替市場全般の乱高下を見ながら103.50円を挟んだ揉み合いとなったが、23日も揉み合いを続けて高安レンジを縮小しての推移となっている。
【米経済指標はまちまち、ダウは反騰】
12月23日のNYダウは前日比114.32ドル高と反発、ナスダック総合指数は36.81ポイント安と小幅下落したが、いずれも最高値に近い水準で株高基調を継続している。23日は米経済指標の発表が集中したが、個人消費が悪かったものの失業保険申請件数が予想外に減少するなどまちまちだったが、発表後はリスク選好感を優先して為替市場はドル安となった。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請件数は80万3000件で前週から8万9000件減少、3週ぶりの改善で市場予想の88万5000件を大幅に下回った。失業保険受給者総数は533万7000人で前週から17万人減少して市場予想の555万8000人も下回った。
米商務省が発表した11月の個人消費支出は前月比0.4%減となり7か月振りのマイナスで市場予想の0.2%減を下回った。個人所得も前月比1.1%減で2か月連続の悪化となり市場予想の0.3%減を超える減少率だった。インフレ指標のPCE物価指数は前年同月比1.1%上昇で市場予想の1.2%上昇を下回った。また食料品とエネルギーを除いたコア指数は1.4%上昇で市場予想の1.5%上昇を下回った。
米商務省が発表した11月の耐久財受注は前月比0.9%増で市場予想の0.6%増を上回ったが10月の1.8%増から低下した。輸送機器を除くと前月比0.4%増で市場予想の0.5%増を下回り、航空機除く非国防資本財は前月比0.4%増で市場予想の0.6%増を下回った。
米商務省が発表した11月の新築一戸建て住宅販売件数は年率換算で前月比11.0%減の84万1000戸、前月の94万5000戸及び市場予想の99万5000戸を下回った。4か月続けてマイナスとなったが80万戸以上を6か月間維持している。
米ミシガン大の12月消費者信頼感指数確報値は80.7で速報値の81.4から下方修正されて市場予想の81.も下回ったが、前月の確報値76.9からは上昇した。
英紙やロイター報道等ではEUと英国との自由貿易協定(FTA)交渉については「早ければ23日か24日に妥結に達するかもしれない」との報道が相次いだ。既に双方の交渉官が合意文書作成に入っているという。
【三尊型からの下落再開か、三角持ち合い上放れで上昇再開か、ドル円は膠着状態】
英国で感染力が従来のものより最大で7割高いとされる変異種の新型コロナウイルスが急激に拡大したことでロンドンがロックダウンに入ると共にEU諸国等が相次いで英国からの渡航禁止を発表したため、21日から為替市場は急激なドルの買い戻しでポンド、ユーロ、豪ドル等が21日夜にかけて急落、その後も反騰反落を繰り返しているが、23日は英国とEUのFTA交渉合意間近との報道からドル安優勢の展開となっている。
ドル円はポンドやユーロ、豪ドル等の乱高下を見ながらドル高局面で上昇、ドル反落局面で下落を繰り返しているところだが、ドルストレートの騰落とクロス円全般の騰落が交錯するためにドル円としては板挟みもあって値動きは限定的なものにとどまっている。
12月21日高値103.88円を中心に、18日夕高値103.59円と22日深夜高値103.73円を両肩とすれば60分足レベルでの三尊天井型となりえるが、その完成は12月22日午前安値103.27円割れからであり、23日夕刻への下落場面では103.35円にとどまって三尊完成には至らなかった。
24日朝時点では22日深夜高値を超えられてないためまだ三尊型形成の可能性を残すが、22日深夜高値を超えてくれば三尊型から三角持ち合いへ変容して持ち合いの抵抗線突破となり、21日夜高値103.88円を上抜けば持ち合い上放れにより104円台回復への道も開ける可能性があるところだ。クリスマスに入り欧米市場は閑散となることも考えられるが、薄商いの中で上下に大きく振れることもあり得ると注意し、12月22日深夜高値及び21日夜高値超えへ進むか、22日午前安値割れから下げ再開に入るか注目したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月17日夜安値で直近のボトムを付けて戻しに入ったが、21日夜高値で戻り一巡となって失速した。しかし22日午前安値から下げ渋り、その後も103.50円を挟んだ揉み合いとなっている。22日午前から22日夜にかけて安値が切り上がってきているので両安値をダブルボトムとすれば22日深夜高値を超えるところからは三角持ち合い上放れによる上昇期入りとして24日夜から28日夜にかけての間への上昇が想定される。ただし22日午前安値割れからは三尊型形成による下落期入りとして25日午前から29日夜にかけての間への下落を想定される。
60分足の一目均衡表では103.50円を挟んだ揉み合いが続いているため方向感に欠ける。22日深夜高値超えからは三角持ち合い上放れとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、22日午前安値割れからは三尊型形成による下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試しとする。
60分足の相対力指数は23日夕刻に40ポイントまで低下したもののその後は50ポイント台を回復している。50ポイント台を維持するうちは上向きとし60ポイント超えからは70ポイントを目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月22日午前安値103.27円を下値支持線、12月21日深夜高値103.88円を上値抵抗線とする。
(2)22日午前安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、22日深夜高値103.73円超えからは21日夜高値試しとし、高値更新から104円台序盤への上昇を想定する。104円以上は反落注意とするが、103.50円以上での推移なら25日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)22日午前安値割れからは下げ再開とみて12月17日深夜安値102.86円試しとする。103円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、底割れから続落の場合は102円台前半への下落を想定する。また22日午前安値を割り込んだ後も103.35円以下での推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12/24(木)
休場(クリスマスイブ) ドイツ、スイス、イタリア、ノルウェー、ハンガリー、ポーランド、ギリシャ、インドネシア、フィリピン、ブラジル
米国、株式と債券市場は短縮取引
13:40 (日) 黒田日銀総裁、経団連審議員会、講演
20:00(ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 15.00%、予想 16.50%)
12/25(金)
休場(クリスマス) 米国、英国、カナダ、ドイツ、フランス、スイス、ベルギー、オランダ、ノルウェー、スペイン、イタリア、ギリシャ、ポーランド、ハンガリー、香港、韓国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、インド、メキシコ、コロンビア、ブラジル、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド
08:30 (日) 12月 東京都区部消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (11月 -0.7%、予想 -0.8%)
08:30 (日) 11月 失業率 (10月 3.1%、予想 3.1%)
08:30 (日) 11月 有効求人倍率 (10月 1.04、予想 1.04)
08:50 (日) 11月 小売業販売額 前年同月比 (10月 6.4%、予想 1.7%)
14:00 (日) 11月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (10月 -8.3%、予想 -4.8%)
12/28(月)
休場(ボクシングデー) 英国、カナダ、スイス、スペイン、ノルウェー、ポーランド、ハンガリー、オーストラリア、ニュージーランド
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2020.12.24
ドル円、方向感に欠ける展開。クリスマス休暇入りで流動性は低下の見込み(12/24朝)
23日(水)の外国為替市場でドル円は反発。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。