ユーロドル EU・英国通商協議次第でどちらにも動く(週報12月第3週)

先週のユーロは、前週のもみあいを上抜け年初来高値を更新し2018年4月以来の高値をつけました。

ユーロドル EU・英国通商協議次第でどちらにも動く(週報12月第3週)

EU・英国通商協議次第でどちらにも動く

〇先週のユーロ、前週のもみあいを上抜け年初来高値を更新、2018年4月以来の高値をつける
〇ユーロ高の要因は前週末に英国が通商協議継続で合意したことによるポンド買いに引っ張られたこと
〇FOMCでフォワードガイダンス強化で超緩和状態が長期化する見方から全般的にドル売りが広がったこと
〇週後半はクリスマスで欧州の市場参加者激減も、ニュースが出てくる場合にも注意が必要な週
〇ユーロの材料となる経済指標も非常に少ない週となるがEUと英国の通商協議の行方に注意
〇今週は1.2150レベルをサポートに1.2300レベルをレジスタンスとする

先週のユーロは、前週のもみあいを上抜け年初来高値を更新し2018年4月以来の高値をつけました。ユーロ高の要因のひとつは前週末にEUと英国が通商協議継続で合意したことによるポンド買いに引っ張られた動き、もうひとつはFOMCでフォワードガイダンスが強化され超緩和状態が長期化するとの見方から全般的にドル売りが広がったことによるものです。

新型コロナの感染者数もドイツでは感染拡大が止まらず、クリスマスにはより厳しいロックダウンを実施するという悪材料はあるものの、英国では前週からワクチン接種が始まり、今後欧州全域で接種が実施されていくという安心感のほうが好材料となっているようでした。しかし、英国ではワクチン接種を4人に1人がしないと言っているなど、まだ安心できるという状況とは言い切れません。

先週までの値幅を考えると11月の安値1.1604レベルから約670pipsの上昇となっていて、その間多少のもみあいを挟む程度で調整らしい調整はありません。週末のEUと英国との通商協議の進展が思わしくない場合、先週初とは逆に売りから始まる可能性もありますし、週後半24・25日はクリスマスで欧州の市場参加者は激減します。材料が無ければ動かないで済みますが、流動性が低下している中でニュースが出てくる場合にも注意が必要な週となります。

なお週間の予定を見てもわかりますが、21日のユーロ圏消費者信頼感速報値をはじめ材料となりそうな経済指標も非常に少ない週となります。基本的には動かない週なのですが、今回ばかりはEUと英国との通商協議の行方が上にも下にも触れさせる要因となりそうです。

こればかりは出て来てみないとわかりませんので、テクニカルな観点から見ていきましょう。

EU・英国通商協議次第でどちらにも動く

先週示した11月後半からのユーロ上昇後のペナント(ピンクのラインで示した小さな三角もちあい)を上抜けたことで、教科書通りの以前のトレンド(ユーロ高)に戻る展開となりました。また短期的にはペナントの起点からの上昇N波動を考えると161.8%エクスパンションが1.2281と先週の高値と重なる水準です。多少の誤差を考えて今回の上昇は1.23水準でいったん止まりやすいと見ています。

いっぽうで安値はペナントの上のレジスタンス側がサポートとなり、週初の段階では1.21台半ばにあります。同水準はテクニカルにサポートとなりやすい水準です。今週のレポートは土曜日に執筆している関係で、まだEUと英国との協議については何も出て来ていません。

今週は1.2150レベルをサポートに1.2300レベルをレジスタンスとする週を見ておきますが、通商協議次第で、この想定レンジから100pips程度抜けていく展開も考えておく必要はあるでしょう。

今週のコラム

今週はユーロ円のチャートをご覧ください。

今週のコラム

比較的珍しい拡散型もみあい(逆ペナント、Y波動とも)が現れています。ピンクのラインで示した部分ですが、高値を切り上げ、安値を切り下げと本来ならば抜けそうな動きとなるにも関わらず常にダマシとなる厄介なもみあいです。

最終的にはどちらかに抜けるのですが、継続パターンと考えるならば以前のトレンドであったユーロ高に戻ることとなりますが、ユーロ円もまた通商協議次第という感じです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

12月21日(月)
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値

12月22日(火)
16:00 英国7〜9月期GDP改定値
16:00 ドイツ1月GFK消費者信頼感

12月23日(水)
16:45 フランス11月PPI

12月24日(木)
**:** 東京を除く主要市場取引所が短縮取引

12月25日(金)
**:** 東京を除く主要市場は全休場

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月14日(月)
ユーロドルは週末にEUと英国が協議を継続することで合意したことによるポンド高の動きに引っ張られてNY市場前場には1.2177レベルと12月高値に1pipまで迫りましたが更新できず、通商協議が時間切れとなる可能性に言及されたことや英国の新型コロナが変異して感染拡大しているとのニュースを嫌気したポンド売りとともにユーロも下押ししました。しかしユーロポンドでもポンド売りの動きが見られたことからユーロドルは下値も固く1.21台半ばへと反発後やや押して引けました。

12月15日(火)
ユーロドルは1.21台半ばを中心として終日方向感が出ないままに終わりましたが、EUと英国との協議進展のヘッドラインにポンドが買われる動きに沿って底堅い値動きとなっていました。

12月16日(水)
ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場に入り発表された主要国のPMI速報値が良かったことを受けてユーロドルは1.2212レベルまで上伸。FOMCに向けては調整の売り、さらに直後にはドル買いの動きで1.2125レベルまで水準を下げましたが、フォワードガイダンス強化をドル売り材料に引けにかけては再び1.22台を回復し若干押して引けました。

12月17日(木)
ユーロドルは前日NY引け間際から一貫してユーロ買いの動きとなり、東京後場には前日高値を上抜け、その後もまったく調整が入らずNYの引けまでユーロ買いの動きが続きました。引け間際には1.2273レベルの高値をつけ、そのまま高値圏での引けとなりました。

12月18日(金)
ユーロドルは前日までのユーロ買いに対して週末前のポジション調整が先行、その後欧州市場では買い戻しも見られましたが前日高値をトライしきれず、またEUのバルニエ首席交渉官が合意の道筋は狭まってきていると発言したことがポンド売りとなり、ユーロの上値も抑える動きとなりました。引けにかけてはドル売りの動きからやや買い戻されて引けました。

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