『欧米による対トルコ制裁リスク再燃で一時3週間ぶり安値圏へ』
〇トルコリラ円週央にかけ13.38に上昇するも米土関係悪化懸念、EUのトルコ制裁警戒で一時13円割れ
〇その後EUによる制裁が限定的なものにとどまると反発し13円台前半で越週
〇トルコリラ円引き続き下落リスク警戒される、トルコの鉱工業生産、小売売上高等の指標注視
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.50
今週のレビュー(12/7−12/11)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初13.35円で寄り付いた後、週央にかけて一時13.38円まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲上限に続伸を阻まれると、@米土関係の悪化懸念(トルコがロシア製地対空ミサイルS400を購入したことを受けて、米国がトルコ制裁の準備を進めているとの報道)や、AEU首脳会議を前にした警戒感(EU首脳会議でトルコへの制裁が決定されるとの思惑)、B米中対立激化懸念(米政府による制裁措置に対して、中国政府は対抗措置を講じる構え→リスク回避ムード再燃→新興国通貨安)、C短期筋のロスカット、Dトルコ国内の新型コロナウイルスの感染拡大が重石となり、週末にかけて、約3週間ぶり安値となる12.97円まで急落しました。もっとも、E注目されたEU首脳会議で上記Aの実行が限定的な制裁に留まると(EU首脳会議はより厳しい制裁について来年3月まで決定を先送り)、ショートカバーが優勢となり、本稿執筆時点(日本時間12/12午前4時45分現在)では、13.28円近辺まで持ち直す展開となっております。
来週の見通し(12/14−12/18)
トルコリラの対円相場は、11/19に記録した約2ヵ月ぶり高値13.87円をトップに反落に転じると、11/24には一時12.94円まで急落しました(今週末も一時12.97円まで下落)。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、上値の重い展開が継続しております(引けにかけて13.28円付近まで持ち直すも、一目均衡表雲下限をバックに戻り売りが見込まれる展開)。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C金融政策と実体経済の不一致(景気悪化懸念が燻る中での利上げ実施→トルコ経済への下押し圧力)、Dトルコを巡る地政学的リスク、E米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(反トルコ包囲網の拡大)、F新型コロナウイルスの感染拡大懸念(トルコ経済の柱である観光産業への打撃)、Gトルコに批判的なバイデン新大統領への警戒感等、トルコリラ売りを想起させる懸念材料が山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。株式市場の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況、トルコの主要経済指標(12/14のトルコ10月鉱工業生産、トルコ10月小売売上高など)の結果、米国によるトルコ制裁の行方を睨みながらも、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.50
トルコリラ円日足
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