トルコリラ円見通し 小動きの持ち合いから下放れ始める(20/12/11)

10日夜に13.25円を割り込んだところから下げ足が早まり、11日未明には13.09円まで安値を切り下げてレンジ内推移から下抜け始めた。

トルコリラ円見通し 小動きの持ち合いから下放れ始める(20/12/11)

トルコリラ円見通し 小動きの持ち合いから下放れ始める

〇トルコリラ円、12/10夜13.25を割り込み12/11未明13.09まで下げる、レンジ内推移から下抜け始める
〇12/11早朝には13.10円後半へ戻したが上値が重い、レンジ相場からの下放れからリラ安再燃の可能性も
〇対ドル、12/11未明7.91リラまで下落し、持ち合い下放れに入りつつある
〇米国によるトルコ制裁の報道、リラ安に影響か
〇トルコの失業率改善するも、11月以降の感染拡大ペースを踏まえると今後の悪化への懸念も
〇13.20以下での推移は一段安余地あり、13.09割れからは13.00前後への下落を想定
〇13.25超えからはいったん戻しに入るとみて13.30前後への上昇を想定、13.30手前は反落警戒

【概況】

トルコリラ円は11月30日夜高値13.42円から12月1日夕刻安値13.13円まで下げた後はこの高安レンジ内での推移を続けてきたが、10日夜に13.25円を割り込んだところから下げ足が早まり、11日未明には13.09円まで安値を切り下げてレンジ内推移から下抜け始めた。11日早朝には13.10円台後半へ戻したが、13.20円前後までで上値が重くなり11日未明安値を割り込むようだとレンジ相場からの下放れでリラ安が加速する可能性がある。
対ドルでのトルコリラも小動きを続けてきたが、11日未明に7.91リラまで下落して12月1日夕及び12月3日夕の安値を割り込んできており、持ち合い下放れに入りつつある。

【米国のトルコ制裁への動きでリラ売り再燃か】

11日未明にかけてのリラ安の背景は米国によるトルコ制裁関連報道と思われる。
一部通信社報道によると、米国はトルコがロシアからS400ミサイルシステムを購入したことに関してトルコへの制裁を計画しており、ポンペオ国務長官が勧告した一連の制裁措置をトランプ大統領が承認したと報じた。具体的な制裁内容等については明らかになっていないというが、トランプ大統領は政権の終焉間際に外交問題でいくつか手を打っていることもあり、この件の続報が出てくるようだとトルコには新たな地政学的リスクと外交的圧力がかかるとみてリラ売り材料になってくる可能性がある。バイデン政権発足に対しても、かつてのバイデン氏によるエルドアン大統領批判やことごとくEUと対立していることを踏まえればトルコへの圧力も高まる可能性がある。ひとまず11月19日のトルコ中銀による利上げに対する市場反応を消化して落ち着いてきたトルコリラ円も動き始める可能性があるところと注意したい。

【トルコの失業率は改善】

トルコ統計局が発表した9月の失業率は12.7%となる8月の13.2%から改善し、市場予想の13.4%を下回った。感染拡大の第二波による影響で悪化が見込まれていたが結果は改善となった。そもそもが高失業率状態にあるが、2020年1月の14.7%から多少の上下動を繰り返しながらも改善傾向にあるのは、厳格なロックダウンをせずに感染抑制と経済活動はバランスさせてきたことによる効果といえる。しかし11月に入ってからの感染拡大ペースを踏まえると今後の悪化への懸念もくすぶるところだ。

トルコリラ円見通し 小動きの持ち合いから下放れ始める

週明けの12月14日には10月の鉱工業生産及び小売売上高統計の発表がある。前月から改善傾向を示せばトルコ景気回復への期待感も強まるが、前月から鈍化するようだと10-12月期GDPが期待に添わない可能性もある。トルコの7-9月GDP前月比は4-6月期のマイナス10.8%からプラス15.6%へ改善し、前年同期比では4-6月期のマイナス9.9%から6.7%へ持ち直し、小売売上高は8月の6.0%から9月に7.8%へ上昇したが9月の鉱工業生産は8月の10.6%から8.1%へ伸びが鈍化している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月27日以降は13.30円を中心としたボックス型持ち合いによりやや短期的な騰落が続いてきたため、12月9日午前時点では12月7日夕安値をサイクルボトムとしたがすでに8日深夜高値でサイクルトップを付けた可能性もあるとし、9日夜から10日朝へと安値を切り下げたために10日午前時点では9日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また新たな高値更新へ進めないうちは10日夕から14日夕にかけての間への下落余地ありとした。
11日未明へ一段安となりその後の反発もまだ鈍いため、週明けにかけてはまだ一段安余地ありとみるが、13.20円超えを強気転換注意とし、13.25円超えからはいったん戻しに入るとみて12日未明から16日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では持ち合いでの騰落が続いているため、遅行スパン及び先行スパンともに実線との交錯を繰り返して来たが、11日未明への下落で両スパンそろっての悪化となった。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみて高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11日未明への下落で20ポイントまで急落したがその後はやや持ち直している。持ち合い下放れのため50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント割れを試すとみる。上昇再開は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月11日未明安値13.09円を下値支持線、13.25円を上値抵抗線とする。
(2)13.20円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、11日未明安値割れからは13.00円前後への下落を想定する。13.00円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、13.20円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.25円超えからはいったん戻しに入るとみて13.30円前後への上昇を想定する。13.30円手前は反落警戒とするが、13.20円以上での推移なら週明けは戻りを試しやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月11日
 16:00 10月経常収支 (9月 -23.64億ドル、予想 -1.0億ドル)
12月14日
 16:00 10月鉱工業生産 前月比 (9月 8.1%)
 16:00 10月小売売上高 前月比 (9月 2.8%)
 16:00 10月小売売上高 前年同月比 (9月 7.8%)


注:ポイント要約は編集部

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