トルコリラ円見通し 小動き続く、13.30円を挟んだ持ち合いで9日を経過(20/12/10)

9日深夜に13.35円まで戻したものの10日朝には13.24円まで下げているが新たな方向感を目指すのに膠着状態となっている。

トルコリラ円見通し 小動き続く、13.30円を挟んだ持ち合いで9日を経過(20/12/10)

小動き続く、13.30円を挟んだ持ち合いで9日を経過

〇トルコリラ円、9日深夜に13.35まで戻すも10日朝に13.24まで下げ新たな方向感を目指せず
〇トルコのエルバン財務相が「財政規律を維持する」等発言、景気回復を強める政策が今後試される
〇EUが12/10-11の首脳会議でギリシャ関連でのトルコへの制裁を協議
〇13.30を上回るうちは上昇余地あり、13.36を上抜く場合は13.40前後試しへ
〇13.30以下での推移中は下向き、13.22割れから12/3夕安値13.13試しへ

【概況】

トルコリラ円は11月末からの小動きを続けている。11月30日夜高値13.42円から12月1日夕刻安値13.13円まで下げた後はこの高安レンジ内での推移であり、13.30円を中心として12月4日以降はさらにレンジを縮小して13.20円台から13.36円台までの範囲での推移となっている。
12月8日深夜に13.36円を付けてから9日夜には13.25円まで下落、9日深夜に13.35円まで戻したものの10日朝には13.24円まで下げているが新たな方向感を目指すのに膠着状態となっている。

【史上最安値からの反騰も一巡、次のきっかけ待ち】

11月6日安値で11.99円まで史上最安値を更新した後、11月7日の中銀総裁更迭、8日の財務相辞任からトルコの金融政策に変化が出る可能性があるとして総弱気的なリラ安から反騰に転じたが、11月19日に中銀新総裁が政策金利を大幅に引き上げたところで戻りも一巡となり、11月24日には12.92円まで下げて利上げ前水準を割り込んだ。その後はややジリ高の期間も含めて12日間を小動きでの推移を続けている。
トルコのエルバン財務相は12月9日に、「投資環境を強化するための制度改革を行う」「持続的な政策で雇用増を後押しする」「財政規律を維持する」等と述べているが、トルコの景気回復感を強める政策を具体的に示して市場がそれを好感できるのかどうか、今後は試される。

また11月19日に大幅利上げを行ったものの、物価上昇が続く中で実質マイナス金利からの脱却を続けられるのかどうか、次回12月24日のトルコ中銀金融政策発表も待たれる。市場は大幅利上げ直後で現状維持となるのではないかと予想しているが、中銀声明等により今後の通貨防衛姿勢、インフレ抑制姿勢等を市場にアピールできるかどうか試される。
今年5月7日から6月2日へいったん反騰した後、7月後半まで15.60円を挟んだ狭いレンジでの小動きを2か月近く続けた経緯もあるので、今回も同様に小動きが長引く可能性もあるが、そろそろ持ち合い放れに入ってもよい時間帯に来ているとみて動きだす前夜情勢とし、動き始めれば大きな流れになると構えておきたいところだ。

【EUの制裁】

EUは12月10-11日の首脳会議でギリシャ関連でのトルコへの制裁を協議する。トルコにとって実効的な打撃となるような制裁にはならない可能性もあるが、制裁が決定される場合はトルコ側の対抗にも注意がいる。ギリシャ沖でのガス田探査強硬、リビアでの反政府勢力支援、キプロスの南北分断、シリアでの立ち位置、NATO加盟国でありながらロシア製ミサイルシステム導入による孤立等、各方面でEUとトルコは対立的な立場にある。
エルドアン大統領は「トルコに対する何らかの制裁を決定してもトルコにはあまり影響しない」「そもそもEUは1963年からずっと公然とトルコに制裁を科してきた」「EUが正直にふるまったことは一度もなく約束を守ったこともない」と述べて意に介さない姿勢を示している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月27日以降は13.30円を中心としたボックス型持ち合いによりやや短期的な騰落が続いているため、12月9日午前時点では12月4日夜高値を前回のサイクルトップ、7日夕安値を同サイクルボトムとしたがすでに8日深夜高値でサイクルトップを付けた可能性もあるとした。9日夜から10日朝へと安値を切り下げているので、9日深夜高値を直近のサイクルトップとし、高値更新へ進めないうちは10日夕から14日夕にかけての間への下落余地ありとみる。ただし短期的な騰落が続いているので13.35円超えからはレンジ内における上昇期とみて11日夜から14日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では持ち合いでの騰落が続いているため、遅行スパン及び先行スパンともに実線との交錯を繰り返して方向感に乏しい状況のままとなっている。先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとみて遅行スパン好転中の高値試しとするが、先行スパン転落中は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合い相場のため50ポイントを挟んで小動きとなっている。60ポイント超えから続伸に入る場合は上昇に勢いも付くとみるが60ポイント前後から失速の場合は持ち合い継続で持ち合い下限へ向かう流れとみる。40ポイント割れからは下向きとし、持ち合い下放れへ向かう可能性もあると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月7日夕安値13.22円を下値支持線、12月8日深夜高値13.36円を上値抵抗線とする。
(2)狭いレンジので持ち合い推移のため、13.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、8日深夜高値を上抜く場合は13.40円前後試しとするが、新たなきっかけがなければ13.38円以上は反落注意とみる。
(3)13.30円以下での推移中は下向きとし、7日夕安値割れからは12月3日夕安値13.13円試しへ向かうとみるが、新たなきっかけがなければ13.15円以下は反騰注意とみる。
(4)13.42円超えからは持ち合い上放れとして13.50円を目指す上昇を想定し、13.13円割れからは持ち合い下放れとみて13.00円割れを再び試す流れとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月10日
 16:00 9月失業率 (8月 13.2%、予想 13.4%)
 20:30 週次外貨準備高 12/4時点 (11/27時点 439.0億ドル)
12月11日
 16:00 10月経常収支 (9月 -23.64億ドル、予想 -1.0億ドル)
12月14日
 16:00 10月鉱工業生産 前月比 (9月 8.1%)
 16:00 10月小売売上高 前月比 (9月 2.8%)
 16:00 10月小売売上高 前年同月比 (9月 7.8%)

注:ポイント要約は編集部

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