ドル円 ECB理事会注視、欧州通貨主導の展開か(12/10夕)

10日の東京市場は、ドルが小高い。一時104円半ばまで上昇し、1週間ぶりの高値を示現する局面も観測されている。

ドル円 ECB理事会注視、欧州通貨主導の展開か(12/10夕)

ECB理事会注視、欧州通貨主導の展開か

〇ドル円、104.30前後で上げ渋った後上抜けると104円半ばまで一気に続伸、16時現在104.45前後で推移
〇昨日、EUと英国で通商交渉協議が実施するも「13日まで交渉継続で合意」としか決まらず
〇新型コロナ感染拡大は欧米諸国を中心に止まらず、日本でも本日感染者数602人となり過去最高を更新
〇8日から英国でワクチンの接種が始まったが、昨日重篤なアレルギー反応が報告されたと発表あり
〇本日、米11月消費者物価指数や週間ベースの新規失業保険申請件数が発表、内容に注視
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ104.10-104.90

<< 東京市場の動き >>

10日の東京市場は、ドルが小高い。一時104円半ばまで上昇し、1週間ぶりの高値を示現する局面も観測されている。

ドル/円は104.20円レベルでオープンしたのち、しばらくは冴えない。104.30円前後で上げ渋る様相を呈していたが、上抜けるとそのまま104円半ばまで一気に続伸している。日中高値を示現後、ドルは底堅いなか強保ち合いとなり、16時現在では104.45円前後で推移、欧米時間を迎えていた。
なお、前日に対円などで直近の戻り高値を更新した豪ドルはさらに続伸するなど、本日も堅調裡。豪ドル/円は78.45円、年初来高値も視界内に捉えられてきた感を否めない。

一方、材料的に注視されていたものは、「英EU通商交渉」と「米国情勢」について。
前者は、協議の進行状況について、昨日筆者は「牛歩」と指摘したが、依然としてその歩みは鈍い。昨9日にも欧州委員長と英首相のあいだで協議が実施されたものの、決まったことといえば「13日まで交渉継続で合意」といったものにとどまっている。いっそのこと、どうして「破談」にしないのか理解に苦しむところだが、ともかく連日のようにゴールポストが動く状況で、もはや最終的な着地点は見出しにくい状況だ。

対して後者は、幾つかポイントがあり、うちひとつは米下院でわずか一週間という短期間ながら、「暫定予算案が可決された」ことになる。また上院も同法案を可決の見通しで、一部で懸念されていた政府機関の閉鎖が回避される見通しだ。一方、正式に大統領に選出する各州の選挙人投票を14日に控えるなか、「バイデン次期米大統領の次男で実業家のハンター・バイデン氏に税務処理に関し司法当局の調査が入った」ことが明らかになり、こちらも様々な思惑を呼ぶ。よもや、最後の最後にトランプ氏が大逆転勝利を収めるといったことになるのか、風雲急を告げる情勢で予断を許さなくなってきた。

<< 欧米市場の見通し >>

新型コロナの感染拡大はいまだ止まらず。その中心は欧米諸国であるものの、10日の東京都発表によると、新型コロナウイルスの感染者は602人となり、過去最高を更新したことが明らかになっている。決して対岸の火事ではない。そうしたなか、頼みの綱として期待されているものがコロナワクチンで、8日から英国で接種がはじまったが、昨日「重篤なアレルギー反応が2例報告された」との発表も観測されている。「過去に深刻なアレルギー反応があった人は接種に注意」とされ、通常であれば接種に問題はなさそうながら、続報も気になるところだ。

なお、本日は注意すべき米国ファクターがまったくないわけではないが、それよりむしろ英国を含めた広義欧州情勢に要注意。英国については、前段で取り上げた「英EU通商交渉」や「コロナワクチン接種」をめぐる動きが警戒されており、欧州ではECB理事会ならびにラガルド総裁による記者会見が注視されている。ここのところやや荒っぽい変動が続くポンド相場だが、本日もユーロとともに動意の中心となる可能性がある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は東京時間に一時104円半ばまで上昇するなど、ややドル買いが目立ったものの、大きな意味では依然としてレンジ内。明確な方向性はまだ見いだせない状況だ、このままドルは続伸し、すでに3週間が経過している103.66-104.76円という1.1円レンジを上抜けることが出来るか否かが注視されている。しっかり超えれば105円台回復が現実のものになるかもしれない。

材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事と政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の材料としては、11月の消費者物価指数や週間ベースの新規失業保険申請件数といった米経済指標が発表されるほか、米財務省による30年債の入札も予定されている。また、それ以外ではECB理事会ならびにラガルド総裁による記者会見が注視されており、うち前者についてはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の増加額と期間がとくに関心を集めているようだ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは104.10-104.90円。本日東京高値104円半ばが最初の抵抗。上抜けるとレンジ上限の104.76円、さらには105円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、まだ完全に上抜けたわけではないが、本稿執筆時では移動平均の21日線(104.35円前後)を上回ってきた。このあとも同レベルをめぐる攻防に要注意。再び下回るようだと、104円割れも否定できなくなる。

ECB理事会注視、欧州通貨主導の展開か

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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