ドル円、上値の重い展開が継続。週末前のポジション調整に警戒(12/11朝)

10日(木)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。

ドル円、上値の重い展開が継続。週末前のポジション調整に警戒(12/11朝)

ドル円、上値の重い展開が継続。週末前のポジション調整に警戒

〇ドル円は高値104.58までで、104円台前半中心の動き
〇ユーロドル一時1.2159まで上昇、ECBの緩和策は想定内、会見でのユーロ高牽制もユーロ売りとならず
〇ドル円104円台半ばの上値の重さを再確認
〇週末ポジション調整、米中対立激化懸念、欧英交渉決裂懸念、リスク回避の円高誘発か
〇本日の予想レンジ:103.70ー104.60

海外時間の為替概況

10日(木)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。欧州時間朝方にかけて一時104.58まで上値を伸ばすも、@対ユーロでのドル売り圧力や、A米新規失業保険申請件数(結果85.3万件、予想72.5万件)の冴えない結果、B新型コロナウイルスの感染拡大懸念、C好調な米30年債入札を受けた米長期金利の低下、D米中対立激化懸念(S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが米指数から一部の中国企業を除外することを発表→中国外務省が反発)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値104.21まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、104.25近辺で推移しております。

10日(木)のユーロドル相場は急上昇。注目されたECB理事会では、@パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を1兆8500億ユーロに5000億ユーロ増額すること、A期間を2022年3月まで9カ月間延長すること、B償還を迎えた緊急購入債券の再投資を2023年末まで1年間延長すること、C貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の期間を2022年6月まで1年間延長すること、D期間3年のオペを追加的に3回実施すること(内1回を少なくとも2021年12月に実施すること)、E今春に導入した担保条件の緩和を2022年6月まで延長すること等が決定されると共に、その後のラガルドECB総裁会見においても、Fユーロ高を牽制する発言(ユーロ高が物価への下方圧力に繋がっており、今後も非常に注意深く監視する)が見られましたが、総じて市場予想の範囲内であったことから、ユーロ売りでの反応は殆ど見られず、むしろショートカバー主導で反発する展開となりました。G冴えない米経済指標を受けたドル売りも重なる中で、米国時間には一時1.2159まで上昇し、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)でも、1.2125近辺での底堅い動きが続いております。

本日の見通し

ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18には、一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日は一時104.58まで上昇するも、主要チャートポイントが密集する104円台半ばのレジスタンスを突破できず結局反落→上値の重さを再確認)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、来週12/16に予定されているFOMCで追加緩和が織り込まれつつある米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(米新規失業保険申請件数が予想外に悪化)、B米中対立激化懸念(米政府による制裁措置に対して、中国政府は対抗措置を講じる構え)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(新型コロナワクチンが開始されても感染拡大を防ぐことは容易ではないとの慎重な見方)、E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。年末にかけてのポジション調整リスクに警戒)、G米追加景気対策の後ずれ観測、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)、I欧英交渉の決裂リスクなど、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株や欧米長期金利の動向(週末を前にした米株のポジション調整が見られるか否か)、ドルインデックスの動き、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、欧英交渉及び米中対立を巡るヘッドライン、米国の主要経済指標(米11月生産者物価指数、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数など)の結果、欧英交渉の続報(ジョンソン英首相は合意なしの可能性が大きいと発言。ブックメーカーでは通商合意の確率が急低下)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(週末のポジション調整に警戒。米中対立激化懸念、欧英交渉決裂懸念がリスク回避の円高を誘発するシナリオを想定)。

本日の予想レンジ:103.70ー104.60

注:ポイント要約は編集部

ドル円、上値の重い展開が継続。週末前のポジション調整に警戒

ドル円日足

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