『大幅利上げ後の上げ幅を解消。脆弱なファンダメンタルズが重石』
〇トルコリラ、観光客数大幅減少、冴えない景況感に19日利上げ後の上げ幅全戻し、12.94まで下落
〇週央以降はコロナワクチン期待、議事録による中銀引き締めスタンス確認等で13.30台に戻す
〇トルコ円テクニカルには上値の重さ印象付けるチャート形状
〇ファンダメンタルズも売り要因多い
〇来週はトルコ国内重要指標発表目白押し、冴えない結果の場合の下落リスクに注意
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.50
今週のレビュー(11/23−11/27)
今週のトルコリラ円相場は、週初13.59円で寄り付いた後、早々に週間高値13.60円まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、@新型コロナウイルスの感染拡大(トルコ経済の柱である観光産業への大打撃)や、Aトルコ10月観光客数(結果▲59.4%、予想▲48.0%)の大幅悪化、Bトルコ11月景況感指数(結果103.9、予想109.0)の冴えない結果が重石となり、翌11/24には、一時12.94円まで反落しました(11/11以来、約2週間ぶり安値圏。11/19の大幅利上げ後の上げ幅を全値戻し)。もっとも、週央以降は、C新型コロナワクチンに関する期待感の高まりや、Dトルコ中銀議事要旨での「物価が安定するまで引き締めスタンスを継続する」との見解(追加利上げ観測→リラ買い)、Eトルコ中銀による外国為替スワップ市場における取引限度額の拡大(流動性向上期待→リラ買い)、F欧米株の上昇を受けたリスク選好のドル売り圧力(対トルコリラ)が支援材料となり、本稿執筆時点(11/28日本時間午前4時45分現在)では13.32円前後で推移しております。
来週の見通し(11/30−12/4)
トルコリラの対円相場は、トルコ中銀による大幅利上げ(11/19のトルコ中銀会合で+475bpの利上げ)直後に記録した高値13.87円をトップに反落に転じると、今週(11/24)は一時12.94円まで急落しました。この間、一目均衡表雲下限や転換線を下抜けするなど、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(一目均衡表雲が覆いかぶさる中、トルコリラの上値余地は限定的)。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C金融政策と実体経済の不一致(景気悪化懸念が燻る中での利上げ実施→実質金利のプラス転→トルコ経済への下押し圧力)、Dトルコを巡る地政学的リスク、E米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(反トルコ包囲網の拡大)、F新型コロナウイルスの感染拡大懸念(トルコ経済の柱である観光産業への打撃)、Gトルコに批判的なバイデン新大統領誕生リスク等、トルコリラ売りを想起させる懸念材料が山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備の急減リスク(介入余力の減退)、B地政学的リスクの高まり、Cバイデン新大統領誕生リスク、D景気悪化局面での引き締め政策(トルコ経済への下押し圧力)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週は11/30に発表されるトルコ10月貿易収支や、トルコ第3四半期GDP、12/1のトルコ11月イスタンブール製造業PMI、12/3のトルコ11月消費者物価指数、トルコ11月生産者物価指数などイベント目白押し。冴えない結果が示されれば、トルコリラが再び下げ足を速める可能性あり)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.50
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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