『米感謝際明けのボラティリティ拡大に要警戒』
〇ドル円今週は103.64-104.77レンジ、104.05近辺で越週
〇コロナワクチン期待、米政権移行進展に前半上昇後、米指標の不冴え、感謝祭前ポジション調整で反落
〇ユーロドル、リスク選好と米長期金利低下のドル売りに週末にかけ約3か月ぶりに1.1962まで上昇
〇ドル円転換線、基準線、ミッドバンドの集中する104円台半ばが強力なレジスタンス
〇ファンダメンタルズもドル円下落想起させる材料多い
〇感謝祭明けボラティリティ拡大に注意、11/6安値103.17を試す展開か
〇来週の予想レンジ(USDJPY):102.50ー105.00
今週のレビュー(11/23−11/27)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初103.86で寄り付いた後、早々に週間安値103.68まで下落しました。しかし、11/18に記録した直近安値103.64をバックに下げ渋ると、@新型コロナワクチンに関する期待感の高まり(早ければ12/11にもワクチン接種がスタート。英アストラゼネカも新型コロナワクチンの臨床試験で平均70%の有効性が認められたと発表)や、A上記@を背景とした欧米株の底堅い動き(米ダウ平均株価は史上最高値を更新し心理的節目30000ドル越えを達成→リスク選好の円売り)、B米長期金利の持ち直し(ドル高)、C米11月総合PMI(結果57.9、前回56.3)の力強い結果(5年7ヵ月ぶり高水準)、D米国における政局不透明感の後退(トランプ米大統領による政権移行の手続き容認。次期財務長官に前FRB議長のイエレン氏が指名される等の報道)が支援材料となり、翌11/24には、一時104.77まで反発しました。
もっとも、同水準では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと再び反落。E米11月消費者信頼感指数(結果96.1、予想98.0)や、F米11月リッチモンド連銀製造業指数(結果15、予想21)の冴えない結果や、G新型コロナウイルスの感染拡大(世界の感染者数が6000万人の大台突破。米国では死者が2000人超え。入院者数も過去最多を更新)、H米感謝祭(Thanksgiving day)前後のポジション調整、I米長期金利低下を受けたドル売り圧力(ハト派色の強いFOMC議事要旨)が重石となり、本稿執筆時点(11/28午前4時30分現在)では104.05近辺で推移しております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1853で寄り付いた後、@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大や、Aドイツによるロックダウン延長報道(新型コロナウイルスの感染抑制を目的とした部分的な都市封鎖を12/20まで延長)、BレーンECB専務理事によるハト派的な発言(新型コロナウイルスの影響が続く限り緊急債券購入プログラムを継続)、Cドイツ11月サービス業PMIの冴えない結果(ユーロ売り)、D米11月総合PMIの力強い結果(5年7ヵ月ぶり高水準→ドル高)が重石となり、週明け海外時間に安値1.1800まで下落しました。しかし、一目均衡表雲上限に続落を阻まれると、E新型コロナワクチンに関する期待の高まり(リスク選好のドル売り)や、Fドイツ11月IFO景況感指数(結果90.7、予想90.1)の良好な結果、G米長期金利の低下を受けたドル売り圧力、H欧米株の上昇を受けたリスク選好のドル売り圧力が支援材料となり、週末にかけて、高値1.1962(9/1以来、約3ヵ月ぶり高値圏)まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(11/28午前4時30分現在)では1.1959近辺で推移しております。
来週の見通し(11/30−12/4)
<ドル円相場>
ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18にかけて一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(今週は一時104.77まで反発するも、その後4営業日連続で続落。一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドが密集する104円台半ばが強力なレジスタンス→上値の重さを再確認)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、12月FOMCで追加緩和が織り込まれつつある米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(たとえ新型コロナワクチンの供給が開始されたとしても世界中に行き渡るまでには相当な時間を要するとの慎重な見方)、E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、上値の重い展開が想定されます。@欧米株及び米長期金利の動向や、A新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、B米追加景気対策(新型コロナ対策法案が年内妥結に至るか否か)、C米主要経済指標の結果(11/30の米11月シカゴ購買部協会景気指数、12/1の米11月ISM製造業易期指数、12/2の米11月ADP雇用統計、12/3の米11月ISM非製造業景況指数、12/4の米11月雇用統計など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落(11/6に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17を試す展開)をメインシナリオとして予想いたします(米感謝祭明けのボラティリティ拡大に要注意)。
来週の予想レンジ(USDJPY):102.50ー105.00
注:ポイント要約は編集部
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、11/4に記録した約3ヵ月半ぶり安値1.1603をボトムに反発に転じると、今週末(11/27)にかけて、約3ヵ月ぶり高値となる1.1962(9/1以来)まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上下限を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も出現するなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております(9/1に記録した約2年4ヵ月ぶり高値1.2012が射程圏内)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク(欧米貿易摩擦懸念)、B欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れ懸念)、CECBによる追加緩和観測(12/10に開催される次回会合での追加緩和観測)、D英国・EU間の交渉難航リスク、EECB当局者によるユーロ高牽制の思惑(心理的節目1.20が近づくに連れてユーロ高牽制への警戒感が高まる展開)など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的な強さを残しつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。@欧米株及び欧米長期金利の動向(リスク選好のドル売りが続くか否か)や、A新型コロナウイルスの感染拡大状況(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れリスク)、B新型コロナワクチンに関する続報、C欧州圏の主要経済指標の結果(12/1のユーロ圏11月消費者物価指数、12/3のユーロ圏10月小売売上高など)、D英国と欧州連合のFTA交渉に関するヘッドラインを睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(ユーロ高牽制への思惑と、ECBによる根強い追加緩和観測が重石)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1800−1.2050
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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