トルコリラ円見通し 利上げ後の揺れ返し下落一服だが安値圏持ち合い続く(20/11/27)

トルコリラ円は11月26日夜に13.25円まで上昇、その後は13.20円を挟んでの横ばい推移となっている。

トルコリラ円見通し 利上げ後の揺れ返し下落一服だが安値圏持ち合い続く(20/11/27)

利上げ後の揺れ返し下落一服だが安値圏持ち合い続く

〇トルコリラ円、11/26夜13.25まで上昇、その後13.20円挟んでの横ばい推移
〇11/24夜の13円割れを買い戻し11/26夜からやや持ち直す、安値圏持ち合い続く
〇対ドル、11/25未明に8.02リラまで大幅下落したが下落一服、11/26は7.84リラまで上昇
〇実質マイナス金利状態は解消したものの、リラ安を巡る状況は劇的に改善してはいない
〇13.10以上での推移中は一段高余地あり、13.25超えからは13.30を目指すとみる
〇13.10割れからは下げ再開と仮定して13.00、次いで12.92を段階的に試して行く下落を想定

【概況】

トルコリラ円は11月26日夜に13.25円まで上昇、その後は13.20円を挟んでの横ばい推移となっている。
11月19日のトルコ中銀による大幅利上げにより直前の安値13.30円から19日夜には13.82円まで反騰したが、この反騰は一時的なものにとどまり買い一巡後はジリ安に陥ったが、23日夜には利上げ前の安値を割り込み、24日夜には12.92円まで一段安となった。中銀の利上げをいったんは評価したもののリラ安環境は一度の利上げでは変わらないとみてリラ売りが再燃したと思われるが、24日夜の13円割れを買い戻された後は落ち着き、13.00円から13.20円手前での持ち合いを26日夕刻まで続け、26日夜からは13.20円までやや持ち直した。
今のところは24日夜に急落する直前高値13.30円及び中銀利上げ前の安値13.30円が同値で上値抵抗線を形成している印象であり、24日の高安レンジを超えないうちは一段安状態での持ち合い範囲という印象だ。

【対ドルでのトルコリラは戻し気味の推移、中銀のドル買い?】

対ドルでのトルコリラは26日7.84リラまで上昇した。中銀利上げ直後に7.48リラまで上昇したものの翌日の20日からは下落に転じて利上げ前水準を割り込み、25日未明には8.02リラまで大幅下落していた。8リラ台到達まで下げたことで下落一服となり、その後はジリ高で戻しているところだ。

26日にはトルコ中銀関係者が中銀による外貨購入の動きを否定したという報道があった。トルコ中銀が19日に大幅利上げをした事でいったんリラが急反発したもののその後は利上げ前水準を割り込む下落となった経緯で、中銀が枯渇していた外貨買いに動いたのではないかとの憶測も出ていたようで、それを中銀関係者が否定したという主旨の様だ。
報道ではトルコの純外貨準備高は2019年末に400億ドルの水準だったところから今年11月には160億ドル程度まで大幅に減少していたという。リラ防衛のための市場介入が外貨準備を枯渇させてきたためと思われるが、利上げによるリラ高状態で中銀が外貨準備高を補填するためにドル買いに動いた可能性は否定できないだろう。
週次で発表されているグロスの外貨準備高は11月20日時点で437億ドルとなり前週の403.7億ドルから増加している。400億ドル規模のグロスの外貨準備といっても、国内銀行とのスワップ等を除くと実質的にはマイナス状態だったという見方もなされている。

トルコ中銀による外貨買いの真偽はともかく、トルコリラ安を巡る状況は劇的に改善しているわけではなく、政策金利がインフレ率を下回る実質マイナス金利状態はひとまず解消したものの、インフレ進行が止められないと利上げを続けざるを得なくなり、利上げによる景気圧迫がコロナ不況を長引かせる可能性もあるだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月24日に13円割れしたところからは下げ渋りに入ったため、中銀利上げ当日の19日夕安値から3日目となる24日夕安値で直近のサイクルボトムを付けたとし、19日夜高値を基準として24日夜から26日夜にかけての間への上昇余地ありと想定した。
26日夜へ高値を切り上げた後も13.20円を挟んで横ばい推移のためまだ上昇余地が残るところだが、13.10円割れからは弱気サイクル入りとみて27日午後から12月1日夕刻にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜けているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、両スパンそろって悪化するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は26日夜の上昇で70ポイントに迫ったがその後はやや失速気味となっている。相場が高値を切り上げても指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行発生として下げ再開を警戒する。また高値更新へ進まずに50ポイントを割り込む場合も下げ再開とみて30ポイント前後を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.10円を下値支持線、25日夜高値13.25円を上値抵抗線とする。
(2)13.10円以上での推移中は一段高余地ありとし、13.25円超えからは13.30円を目指すとみるが、13.30円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)13.10円割れからは下げ再開と仮定して13.00円、次いで24日安値12.92円を段階的に試して行く下落を想定する。13.00円以下はいったん買い戻しも入りやすいとみるが、13.10円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

11月27日
 16:00 11月経済信頼感指数 (10月 92.8)
 16:30 トルコ中銀財務安定性レポート
11月30日
 16:00 10月貿易収支 (9月 -48.3億ドル)
 16:00 7-9月期GDP 前期比 (4-6月 -11.0%)
 16:00 7-9月期GDP 前年同期比 (4-6月 -9.9%)
12月1日
 16:00 11月イスタンブール製造業PMI (10月 53.9)
12月3日
 16:00 11月消費者物価 前月比 (10月 2.13%)
 16:00 11月消費者物価 前年同月比 (10月 11.89%)
 16:00 11月生産者物価 前月比 (10月 3.55%)
 16:00 11月生産者物価 前年同月比 (10月 18.20%)
 20:30 週次外貨準備高 


注:ポイント要約は編集部

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