ドル円見通し 11月24日深夜高値からはジリ安基調、感謝祭明けに市場心理は変わるか?(20/11/27)

夕刻以降は104.25円を挟んでわずかなレンジでの横ばいにとどまった。

ドル円見通し 11月24日深夜高値からはジリ安基調、感謝祭明けに市場心理は変わるか?(20/11/27)

11月24日深夜高値からはジリ安基調、感謝祭明けに市場心理は変わるか?

〇ドル円、11/26米国市場休場で手掛かりに乏しく、夕刻以降104.25を挟んだわずかなレンジでの横ばい
〇11/26夕刻からユーロドル下落、ポンド/ドルも午前高値からは下落基調となりドル高感強まる
〇ECB理事会議事要旨、12月会合での追加緩和検討の姿勢が示されユーロドルに売り圧力となった
〇英国とEUのFTA交渉いまだ合意に達せず、12月には協議動向について市場が動く可能性も
〇104.14を上回るうちは上昇余地あり、104.50超えからは104.75試しとする
〇104.14割れからは103円台中盤への下落を想定、103.50以下は反騰注意

【概況】

ドル円は11月23日夜の株高と米PMIが予想を上回ったことでのドル高を背景に急伸して直前の103円台中盤の水準から104円台中盤へと上昇したが、24日深夜に104.75円まで高値を切り上げた後は上値が重くなり、25日、26日とジリ安の推移に入った。26日は米国市場が感謝祭で取引所取引が休場で手掛かりに乏しかったが、午後にかけて上昇していたユーロドルが夕刻から下落、ポンド/ドルも26日午前高値からは下落基調となるなどドル高感が強まったことはドル円の下支えとなったが、クロス円全般が上昇一服となりダウ先物が軟調推移となったことでドル円の上昇には至らなかった。夕刻以降は104.25円を挟んでわずかなレンジでの横ばいにとどまった。
27日も感謝祭翌日のブラックフライデーとなるため為替市場は通常取引だが、債券・株式・CMEの商品市場は短縮取引となり参加者も少なくなる。米国の主要経済指標発表も特にない。

【EUと英国のFTA合意なるか、感謝祭明けの市場心理の変化は?】

ECBの理事会議事要旨が公表されたが、新型コロナウイルス感染拡大による景気回復の遅れ、低インフレの長期化等への懸念が示され、12月会合では追加緩和を検討している姿勢が示されたことがユーロドルには売り圧力となったようだ。
英国とEUのFTA交渉もまだ合意に達していない。スナク英財務相は26日に「EUとの通商交渉で合意は可能だが、英国は犠牲を払ってでも署名するつもりはない」と述べている。また英国の金融機関がEUの単一市場へのアクセス維持が認められるのかどうかについての評価が年内に終わらない見通しも明らかとなった。英国とEUがFTAで合意すればEU離脱後の「EUとの同等性評価」によりアクセスが認められるのだが、FTAがまとまらないとアクセスに制限もかかることになる。

ユーロドルやポンドドルの動きをみる限り、市場は最終的にはFTA合意に達して駆け込みでハード・ブレグジットは回避されるだろうと楽観的なスタンスと思われるが、欧州の感染拡大による活動制限の影響もあり交渉がスムーズに進まないと年末の混乱を警戒した動きに向かう可能性もあるかもしれない。感謝祭明けとなる来週は11月最終週から12月入りとなるため、英国とEUのFTA協議動向について市場も大きく動く可能性もある。また来週末には米雇用統計発表も控えており、最近の感染爆発状況を反映する内容になる場合は楽観的なバイデン・ラリー的な株高にも影響が出てくる可能性もある。

11月9日の米ファイザー社ワクチン報道から金融市場全般がワクチンの早期承認と普及への期待を強めているが、11月23日に治験の有効性が高かったと発表した英製薬大手アストラゼネカはワクチンの有効性を評価するために追加で世界的な治験を実施する可能性が高いと表明した。同社ワクチンの中間結果については一部に信頼性を疑問視する声も出ていたようだが、楽観的過ぎるワクチン普及期待に水を差すことになる可能性にも注意したい。新型コロナウイルス感染者累計は世界全体で6100万人を超えている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月19日夜高値を上抜く反騰となったために24日朝時点では11月18日深夜安値と23日夜安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとしたが、24日深夜高値からのジリ安が続いたために26日朝時点では24日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また安値形成期は26日夜から30日夜にかけての間と想定した。26日から27日午前序盤もジリ安推移が続いているのでまだ一段安余地が残るとみるが、104.50円を超えるところからは新たな強気サイクル入りの可能性が高まるとみて24日深夜高値試しとし、高値更新からは強気サイクル入りとして27日夜から12月1日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では24日深夜高値からのジリ安が続いたために遅行スパンが悪化し。先行スパンからも転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は24日深夜高値からのジリ安が続いているために40ポイント台序盤での横ばいとなっている。50ポイント超えから続伸に入れば上昇再開感が強まると思われるが、50ポイント以下での推移中は一段安余地が残るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月24日夜安値104.14円を下値支持線、104.50円を上値抵抗線とする。
(2)104.14円を上回るうちは上昇余地ありとし、104.50円超えからは24日深夜高値試しとし、高値更新からは105円台序盤を目指す流れへ向かうとみる。105円到達ではいったん売られやすいとみるが、24日夜安値割れ回避が続くうちは週明けも高値試しへ向かいやすいすいとみる。
(3)104.14円割れからは103円台中盤への下落を想定する。103.50円以下は反騰注意とするが、24日夜安値を割り込んだ後も104.20円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/27(金)
米国 ブラックフライデー、株式・債券・商品市場は短縮取引
16:00 (独) 10月 輸入物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 0.1%)
16:00 (独) 10月 輸入物価指数 前年同月比 (9月 -4.3%、予想 -4.1%)
16:45 (仏) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 18.2%、予想 18.2%)
19:00 (欧) 11月 経済信頼感 (10月 90.9、予想 86.0)


注:ポイント要約は編集部

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