ドルは155円75銭まで円安加速、投機筋は「日本当局は介入できず」を見透かした格好か
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、目立った材料は観測されないなか、円安が加速し155円75銭までドルは上昇した。
昨晩の海外時間では、米3月耐久財受注速報値が予想以上に伸びが拡大したほか、過去最大規模の入札実施を受けて長期金利上昇に伴うドル買いに拍車がかかり、さらに心理的節目である155円台に乗せたことなどからドル買いが加速し、155円30銭台まで上昇した。
東京時間ではじりじりとした円安が継続。午前中、鈴木財務大臣の「市場を注目、適切に対応する」といった発言に留まったこともあり「過度な急変動」とは言いにくい上昇を受けて、「政府・日銀による円買い介入は実施しにくい」との見方が強まり、じりじりとした円安が続き、155円75円までドルは上昇した。円は主要通貨に対して総じて安い状況が継続。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:155円22銭
高値:155円75銭
安値:155円21銭
終値:155円66銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:166円06銭
高値:166円80銭
安値:166円04銭
終値:166円75銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:100円84銭
高値:101円38銭
安値:100円83銭
終値:101円36銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:193円40銭
高値:194円21銭
安値:193円38銭
終値:194円14銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:38065円91銭
高値:38129円53銭
安値:37604円23銭
終値:37628円48銭(前日比−831円60銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
17時20分、欧、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁が会議に出席
18時15分、欧、ラガルドECB総裁が会議に出席
21時30分、米、第1四半期実質GDP(速報値)(前期比)、前回:3.4%、市場予想:2.5%
21時30分、米、第1四半期個人消費(速報値)(前期比)、前回:3.3%、市場予想:2.9%
21時30分、米、新規失業保険申請件数、前回:21.2万件、市場予想:21.4万件
23時00分、米、3月中古住宅販売成約指数(前月比)、前回:1.6%、市場予想:−0.4%
24時15分、欧、ナーゲル独連銀総裁が講演
26時30分、欧、パネッタ伊中銀総裁が講演
日銀金融政策決定会合(26日まで開催)
FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛)、5月2日まで
※予定は変更することがございます。
【今晩の海外時間の見通し】
じりじりとした円安が続いておりドルは155円台後半まで上昇、156円台もすぐそこに来ている。心理的な節目である155円台に乗せたことで、今晩の海外時間も円安基調が一気に強まり156円台を目指した展開となろう。
為替介入の陣頭指揮を執る神田財務官の発言がないことは不気味ではあるが、「過度な急変動」とは程遠い緩やかな円安の流れを受けて、投機筋は「介入実施は難しい」との見方を強めていると想定。足元のドル・インデックスは105.5台で推移しており前日比ではマイナス推移だ。ユーロ、豪ドル、ポンドなど主要通貨が総じて円安推移となっていることから、投機筋が円売りポジションを積み上げ、円・キャリートレードを仕掛けていることは明白だ。
明日26日まで開催される日銀金融政策決定会合では、展望レポートの物価見通しを多少引き上げる程度に留まるとの想定だが、足元の円全面安を受けて、植田和男日銀総裁が記者会見等で「円安けん制発言」もしくは「円安を抑制するための早期利上げの考え」を表明する可能性は高まったと考える。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)がタカ派な内容となる可能性もあることから、なりふり構わない円安けん制を行うかもしれない。
東京時間での政府・日銀の対応を確認した投機筋は、今晩の海外時間で円売りポジションを一気に積み上げると想定する。明日の日銀会合の結果発表前にポジションを多少アンワインドするかもしれないが、ドルは156円台突入を想定しておきたい。なお、日米中銀会合前に、政府・日銀が円買い介入を実施するのは非常に難しいが、このタイミングで円買い介入を実施すれば、市場に与えるインパクトは大きいだろう。政府・日銀は正念場を迎えている。今晩の上値メドは156円50銭、下値メドは155円50銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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