トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円、安値12.01レベル、高値12.54レベル
〇トルコ中銀のウイサル総裁が更迭、アルバイラク財務相も健康問題を理由に突如辞任
〇ウイサル総裁が更迭されたのは利下げから利上げへと転換したことが理由か
〇米大統領がバイデン氏となればトルコに対する制裁も考えられる為、関係悪化思惑は悪材料となる
〇今週は12.15レベルをサポートに12.75レベルをレジスタンスとする流れ
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、「テクニカルなターゲットの水準を参考に、12.15レベルをサポートに、12.85レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が12.01レベル、高値が12.54レベルとなり、予想レンジ通りよりもトルコリラ安の推移となりました。
先週のトルコリラは、木曜までは比較的静かな値動きで、もはや史上最安値更新が日常となっていることから緩やかなトルコリラ安であったと言えます。しかし、週末を前にして金曜には改めてトルコリラ売りが目立ちましたが、背景は前日にアルバイラク財務相がトルコリラの介入に否定的な発言をしたこと、そして米国大統領選においてバイデン候補が当選確実となる動きが強まってきたことからトルコにとっては悪材料という面とが重なった結果と見られます。
その後、更に驚くべきニュースがトルコから続きましたが、まずは7日土曜にトルコ中銀のウイサル総裁が更迭されました。そして8日日曜にエルドアン大統領の娘婿であるアルバイラク財務相も健康問題を理由に突如辞任です。どうも関連があるとしか思えない流れですが、前総裁はエルドアン大統領の金融緩和に反対して更迭されましたが、ウイサル総裁が更迭されたのも利下げから利上げへと転換したことが理由であるのはほぼ間違いないでしょう。
エルドアン大統領としては何が何でも低金利という姿勢ですから、新中銀総裁がエルドアン大統領の顔色をうかがって再び緩和へと方針転換する可能性が出てきたと言えるでしょう。そして、アルバイラク財務相の辞任は身内ということで全く想定外の出来事です。しかし、引き締めに転換した金融政策だけでなく止まらないトルコリラ安にも不満を持っていたでしょうから、更迭は無くても健康問題を理由に辞任を促したのではと勘繰りたくなります。
実際に健康問題であるとしたら申し訳ありませんが、これまで中銀総裁も財務相もエルドアン大統領の言いなりという印象が強かったこともあって、週明けのトルコリラ相場はトルコリラがギャップアップしてスタートしました。新中銀総裁も就任予定の新財務相も結局はエルドアン大統領に従う面々であることを考えると全く期待は出来ませんが、これまで続いてきたトルコリラ安の利食いのよいきっかけになったということでしょう。
しばらくは新総裁と新財務相の政策運営を見ていくこととなりますが、上述の通りで何の期待も出来ないのではないかというのが現時点での個人的な意見で、買われたところでは改めてトルコリラ売りが入りやすいと見ています。また米国大統領がバイデン大統領という頃になれば、トルコに対する制裁も十分に考えられますので、来年1月20日以降のテーマではあるものの米国とトルコとの関係悪化思惑は中長期的なトルコにとっての悪材料となってきます。
今週は材料的には中銀総裁と財務相の交代が大きなニュースですが、引き続き国内経済の問題や周辺国の紛争問題などトルコを取り囲む材料は決して良いものではありません。テクニカルにも長期的なトルコリラ安は変化がありません。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
東京後場以降にドルトルコリラでのトルコリラ買いが目立っていますが、特にニュースというわけでもなくトルコリラ売りで攻めていた短期筋の買い戻しというニュースしか見当たりません。先週の介入に否定的な後の財務相辞任であったことを考えると、新たに介入の動きが出ている可能性も否定できません。
テクニカルには以前から参考にしている9月10日高値を起点とした逆N波動によるフィボナッチエクスパンションの261.8%エクスパンションも達成したことで、いったん全てのターゲットを達成したと考えられます。直近の比較的目立つ高値13.45と先週安値12.01との半値戻しとなる12.73あたりが戻しのターゲットということになってくるでしょう。
今週は週明けギャップアップ後の安値が既に安値であると仮定すると、長期的なトルコリラ安の流れの中でいったん買い戻しが入ると見て、12.15レベルをサポートに12.75レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
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