米大統領選一応決着するも、為替は依然不安定か(週報11月第2週)

先週のドル/円相場は、ドル弱含み。一時103円台前半を示現し、3月12日以来の安値を記録している。

米大統領選一応決着するも、為替は依然不安定か(週報11月第2週)

米大統領選一応決着するも、為替は依然不安定か

〇先週のドル円、一時103円台前半を示現し、3/12以来の安値記録
〇米大統領選、トランプ氏が法廷闘争に入る構えで長期戦となる見通し
〇今週も先週の流れを継ぐ格好でドル安を見込む向きがやや優勢
〇ドル安・円高が進めば、管首相がさらなる口先介入に踏み切ることはほぼ確実
〇先週末発表の10月米雇用統計は失業率、非農業部門雇用者数とも大きく改善
〇今週のドル/円予想レンジ102.00-104.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル弱含み。一時103円台前半を示現し、3月12日以来の安値を記録している。

前週末は、ブルームバーグによる「英EU通商交渉、英漁業水域での漁業権をEU側に割り当てる詳細をめぐり妥結案が浮上している」との報道が話題に。一方、米国では間近に迫った米大統領選をめぐる世論調査などを含めた各種報道や発言をめぐり一喜一憂していた。
そうした状況を踏まえ、週明けのドル/円は104円半ばで寄り付いたのち当初はドル買いが先行。週間高値である105.35円まで一時値を上げた。しかし、ドル高は続かなかったばかりか、週末にかけて流れが一変。「岩盤」と言われていたサポートレベルの104円を割り込むと、ストップロスを巻き込み週間安値である103.18円まで下落。週末NYも、そのままドルの安値圏103.30-40円レベルで推移し越週している。
なお、そうしたなか、トルコリラも週間を通して軟調裡。連日のように史上最安値を更新する展開で、対円では12円割れも視界内に捉えられていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米大統領選」について。
先週は週間を通して、「米FOMC」や「米雇用統計発表」など材料目白押しのなかでも、注目を集めていた「米大統領選」だが、結果として大混乱に。株価や為替を含め、金融市場は全般的に荒っぽい変動が目立っていた。

3日から開票作業が始まり、選挙人の数(538人)の過半数270人以上を獲得すれば勝者となるなか、当初はトランプ氏、バイデン氏とも200人以上を獲得しほぼ拮抗。ただ、先行きの見通しとして「トランプ有利」報道も観測されていたが、郵便投票結果が加味され始めたあたりから変化が生じる。バイデン氏が予想を覆しウィスコンシン州やミシガン州で勝利を収めると、流れは完全にバイデン氏へ。結局、決定まで時間はかかったものの、この週末に、ようやく「バイデン氏勝利確定」などと米の複数メディアが報じた。
しかし、トランプ氏は「郵便投票で不正が行われた」と強く批判したうえで、自身の敗北を認めず。僅差で敗れた複数の州について、再集計を要求するとともに、法廷闘争に入る構えをみせている。もはや2000年のような長期戦も避けられない見通しだ。

<< 今週の見通し >>

正直言って、郵便投票の開票については不自然ともいえるところもあるにはある。トランプ米大統領が何度も指摘していたように、ある種の「不正が行われた」可能性も確かに否定はできないが、法廷闘争に持ち込まれたにせよ、それを立証することはなかなか難しそうだ。つまり、結果として、トランプ氏の逆転勝利は予想しにくいと言わざるを得ない。なお、そうした状況は果たしてドル買いなのか否か、市場筋のあいだでも見方はわかれているようだ。先週の流れを継ぐ格好でドル安を見込む向きがやや優勢だが、「安全逃避的なドル買いが再び強まる可能性」を指摘する声も一部で聞かれていた。
ともあれ、米大統領選に関する最終的な決着はまだ当面先になる見通しだが、金融市場は「バイデン新大統領誕生」ということを前提に進んでいくと思われ、関心を集めそうなもののひとつは新財務長官人事か。ブレイナードFRB理事の名前などが取り沙汰されているようだが、果たして如何に!?

テクニカルに見た場合、かなり強固なサポートとなっていた104円レベルを昨日下回ると、そのままドルは続落。週末には103.18円まで値を下げている。
リスクは間違いなくドル安方向にバイアスがかかるものの、先週末には菅首相みずからによる「為替の安定は極めて重要だ。水準にはコメント控える」とした「軽い口先介入」が観測されていた。実弾介入は予想できないが、それでもさらにドル安・円高が進めば、さらなる口先介入に踏み切ることはほぼ確実だ。一応注意を払いたい。

材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「法廷闘争の可能性も高まってきた米大統領選」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週の材料としては、10月の消費者物価指数や11月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値といった米経済指標が発表される予定だ。米大統領選のために影響は限られたが、先週末に発表された10月の米雇用統計は失業率、非農業部門雇用者数とも大きく改善していた。今週発表される指標についても、市場の期待感は大きいようで、内容如何ではドル買い要因になりかねないかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、102.00-104.50円。ドル高・円安については、これまで強いサポートだった104円前後が今度はレジスタンスとして意識されそうだ。超えれば、週明け段階で104.80-90円レベルに位置し、右肩下がりをたどる移動平均の21日線がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週記録した安値の103.18円をめぐる攻防にまずは注目。それを下回ると102円台に明確なテクニカルポイントはなく、少し遠いが今年の年初来安値である101.19円も意識されかねない。

米大統領選一応決着するも、為替は依然不安定か

ドル円日足

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