ドル戻り歩調、105円台の回復なるか
〇ドル円、ドルが小高いが105円には届かず上値は重い
〇欧州疾病予防管理センター、コロナ感染拡大で英国と欧州23ヵ国を「深刻な懸念」に分類
〇米の新型コロナ経済支援協議、依然として交渉まとまらず
〇米上院選、トランプ氏『共和党の過半数維持は非常に厳しい』と発言
〇本日、米上院本会議で「バレット氏の連邦最高裁判事指名承認採決」実施予定
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ104.50-105.30
<< 東京市場の動き >>
週明け26日の東京市場は、ドルが小高い。ただ、それでも105円にはとどかず、依然としてドルの上値は重い印象だった。
先週末は、20日が一応の期限とされ、それが延長されていた「米の新型コロナ経済支援協議」だったが、依然として交渉がまとまらず。懸念も今週へと持ち越された感。また、米欧での新型コロナ感染があちこちで引き続き話題に。
そうした状況を踏まえ取引が開始されたドル/円は104.60-65円で寄り付いたのち、ドルはじり高気味に推移。当初は上げ渋るも途中でストップロスを巻き込むと、日中高値である104.90-95円まで値を上げている。いまだ105円は超えられていないが、16時現在でもドルは高値圏で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、トルコリラは本日も冴えない。対ドルや円などで一時史上最安値を更新する局面も。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナの感染拡大」と「米の新型コロナ経済支援協議」について。
前者は、「ポーランド大統領のコロナ感染」が明らかになったうえ、「スペインが再び非常事態宣言を発令」するなど、欧州におけるコロナ感染はいまだとどまらず。そうしたなか、EUの欧州疾病予防管理センターは、コロナ感染拡大で英国と欧州23ヵ国について、もっとも高い「深刻な懸念」に分類したと発表している。また米国においても、ロイターの調査で23日に「一日あたりの新型コロナウイルス新規感染者が8万4218人となり、過去最多を更新した」ことが明らかに。さらには、ペンス副大統領の周辺で5人ものコロナ感染者を確認、CNNでは「今後数日でさらに陽性者が増える可能性もあり、副大統領室のスタッフらは戦々恐々としている」と報じていた。
対して後者は、ムニューシン財務長官とペロシ下院議長、与野党の代表が引き続き協議を行うもいまだ妥結せず。挙句の果ては、野党のペロシ氏、与党サイドのメドウズ米大統領首席補佐官がそれぞれ「基準を勝手に変更している」などと、相手方を非難する姿がメディアを通して確認されている。なお、そうした状況について、トランプ氏は「合意にはペロシ下院議長の妥協が必要」との認識を示し、譲歩を求めていた。
<< 欧米市場の見通し >>
11月3日、「米大統領選」とともに実施される「米上院選」について、週末に米紙ワシントンポストが「非公開会合でトランプ氏が、『共和党の過半数維持は非常に厳しい』と発言していたことが分かった」などと報じ、物議を醸していた。次期米大統領が民主党候補、上下院ともに民主党が制するという、いわゆる「トリプル・ブルー」の可能性がさらに高まってきているのかもしれない。米大統領選のみならず、同時に実施される議会選の行方にも要注意だ。
一方、それとは別に「英とEUの通商交渉」ならびに「米の新型コロナ経済支援協議」の行方についても、引き続き注意を払いたい。うち、前者はこの週末も繰り返し協議が行われただけでなく、英紙テレグラフは「28日まで延長される」と報じており、まだまだ予断を許さないようだ。
テクニカルに見た場合、過去1ヵ月程度のレンジ下限105円レベルを、21日に割り込んだものの、ドル安は加速せず。むしろ、本日東京では105円台回復をうかがうなど、ドルの下値トライは今回も「ダマシ」である可能性が高まってきた感のあることは気掛かり。このあとの欧米時間などに105円台へと再び乗せてくるようだと、ドルの下値トライは少なくとも一旦仕切り直しになったと言って間違いなさそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「米大統領選」、「ベラルーシ情勢」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか本日の材料としては、9月のシカゴ連銀全米活動指数や10月のダラス連銀製造業活動指数といった米経済指標が発表されるほか、米上院本会議で「バレット氏の連邦最高裁判事指名承認採決」が実施される予定だ。後者について、民主党は抗戦の構えを示しており、与野党間の攻防を注視する向きも少なくない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは104.50-105.30円。ここまで超えられていない105円レベルが最初の抵抗に。超えると、若干遠いが105.75円や移動平均の21日線も近い106円前後などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値を含めた104.55-60円の攻防にまずは注視。下回るようなら、21日に記録したドル安値104.35円が次のサポートとして意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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