トルコリラ円見通し 最安値を更新、対ドルでの最安値更新も続く、地政学的リスク収まらず(20/10/15)

トルコリラ円は10月14日午前安値で13.26円を付けて対円での史上最安値を更新したが、その後も下落基調を続けて14日夜には13.23円まで最安値を切り下げている。

トルコリラ円見通し 最安値を更新、対ドルでの最安値更新も続く、地政学的リスク収まらず(20/10/15)

最安値を更新、対ドルでの最安値更新も続く、地政学的リスク収まらず

〇トルコリラ円、14日夜に13.23まで最安値を更新
〇対ドルでは14日夕刻に7.954リラをつけ最安値更新
〇トルコは東地中海のガス田探査で探査船を派遣、ギリシャは強く反発するもトルコは探査を強行
〇13.33以下での推移中は下向きとし14日夜安値割れから13.10前後試しを想定
〇13.33超えから強気サイクル入りとみて13.40前後への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円は10月14日午前安値で13.26円を付けて対円での史上最安値を更新したが、その後も下落基調を続けて14日夜には13.23円まで最安値を切り下げている。深夜以降は新たな安値更新を回避しているが13.30円を挟んだ小動きにとどまっており、下落基調の改善が見られない動きだ。
東地中海でのガス田探査再開によるギリシャ・EUとの対立、アゼルバイジャンとアルメニアによるナゴルノ紛争長期化とトルコの介在、コロナ不況による経常収支悪化と外貨準備高減少、政策金利を消費者物価上昇率が上回る実質的なマイナス金利状態の長期化、これらに対するエルドアン政権による合理的で効果的な解決方針が見られない状況が続いている中で5月安値を割り込んで史上最安値を連日のように更新する状況から脱却できずにいる。

【東地中海問題とナゴルノ紛争での地政学的リスク増大】

トルコリラは対ドルで10月9日に7.95リラ台まで下落して史上最安値を更新した後はいったん下げ一服となっていたが、12日朝からはジリ安基調に陥り、14日夕刻には7.954リラを付けて9日夕刻の7.950リラをわずかに割り込んで最安値更新となった。

トルコのドンメズ・エネルギー相は14日に東地中海でのガス田探査について調査海域に到着して作業を開始したと発表した。トルコ政府は12日に探査船「オルッチ・レイス」をギリシャが領域と主張するカステロリゾ島付近に向けて派遣し、ギリシャはこれに対し両国間の緊張を大幅に増幅させると強く反発していたが、トルコ側は探査を強行している。
トルコ大統領府のカルン報道官はナゴルノ紛争について「モスクワがアルメニア側につくのであればトルコはアゼルバイジャン側につく」、「この問題解決に向けて4ヵ国(アゼルバイジャン、アルメニア、トルコ、ロシア)で協議すべきだ」と発言した。アルメニアが実質的支配をしているナゴルノ・カラバフ共和国側はトルコの交渉参加を拒否している。

エルドアン大統領は14日の公正発展党(AKP)のトルコ大国民議会グループ会議で演説し、「東地中海でトルコとキプロス島トルコ人の権利をないがしろにする計画はどんなものであれ実現不可能であり、トルコは毅然とした態度をすべての人々に示している」、「(アルメニアによるアゼルバイジャンへの攻撃について)ミンスク・グループの3か国は未だに翻弄の策を講じてこの件を片付けようとしている。アルメニアは占領下の土地を返還し、自分の領土に引き下がるべきだ」と述べた。
東地中海問題でもナゴルノ紛争問題でもエルドアン政権は強硬姿勢のままであり、金融市場としてはトルコの地政学的リスク増大によるリラ安進行への懸念が弱まる気配が見られない状況だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月9日深夜にいったん反騰してからの反落により、13日午前時点では8日深夜安値を直近のサイクルボトム、9日深夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日夜から15日深夜にかけての間への下落を想定した。14日夜安値の後は下げ渋っているためボトムを付けた可能性がある。13.33円を超えないうちは一段安警戒とするが、13.33円を超える場合はいったん強気サイクル入りとみて15日の日中から16日深夜にかけての間への上昇を想定する。ただしその場合も戻りは短命の可能性があり、強気転換してからの底割れにより次の弱気サイクル入りとなる可能性が懸念される。

60分足の一目均衡表では13日早朝への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し、その後も両スパンそろっての悪化が続いているが、14日夜安値からの下げ渋りで遅行スパンは好転しやすくなっている。遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみるが、その際は先行スパンが上値抵抗帯となりやすいとみる。先行スパンを一時的に超えても再び潜り込む反落となるところからは下げ再開を疑う。また14日夜安値割れからの一段安入りでは遅行スパン悪化中の安値試し優先へ向かうとみる。

60分足のMACDは14日夜からGクロスに入っているのでGクロス中は高値試し優先とするが、14日夜安値割れからは下落基調がさらに続くとみてDクロス毎の安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14日夜安値13.23円を下値支持線、13.33円を上値抵抗線とする。
(2)13.33円以下での推移中は下向きとし、14日夜安値割れからは13.10円前後試しを想定する。13.10円以下は反発注意とするが、下げが加速する場合は13.00円試しへ進む可能性もあると注意する。
(3)13.33円超えからはいったん強気サイクル入りとみて13.40円前後への上昇を想定する、13.38円以上は反落注意とするが、13.30円以上での推移なら16日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

10月15日
 20:30 週次外貨準備高 10/9時点 (10/2時点 414.1億ドル)
10月22日
 16:00 10月消費者信頼感指数 (9月 82.0)


注:ポイント要約は編集部

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