ドル円見通し 13日朝安値を割り込む一段安、リスク回避的円高感強まる(20/10/15)

ドル円は14日夜の下落で13日朝安値を割り込む一段安となった。深夜には105.03円まで下げて105円割れへの余裕が乏しくなっている。

ドル円見通し 13日朝安値を割り込む一段安、リスク回避的円高感強まる(20/10/15)

13日朝安値を割り込む一段安、リスク回避的円高感強まる

〇ドル円、14日夜に13日朝安値を割り込み一段安に、深夜には105.03まで下落
〇米労働省発表の9月生産者物価は前月比0.4%上昇で3カ月連続のプラスに
〇NYダウ、14日は前日比165.81ドル安と2日連続で下落
〇105.40以下での推移中は一段安余地あり、105円割れから104.50前後への下落を想定
〇105.25〜105.40にかけて売られやすい水準とみて、105.40超えから弱気転換注意

【概況】

ドル円は14日夜の下落で13日朝安値を割り込む一段安となった。深夜には105.03円まで下げて105円割れへの余裕が乏しくなっている。
ドル円は10月7日に106円台へ到達して8日朝に106.10円まで高値を切り上げたが、106円を挟んだ小レンジ持ち合いを9日朝まで続け、9日朝に持ち合いを下放れて105円台中盤へ下落、12日も続落となり13日朝には105.22円まで安値を切り下げていた。10月8日までの上昇は株高によるドルストレートでのドル安の一方、株高からのリスク選好的な円安が勝ったことでの上昇だったが、9日はNYダウ連騰とドルストレートにおけるドル全面安がドル円にも波及してドル安円高へ旋回した。

12日、13日はドルストレートでドルが買い戻しの動きに入る一方で株安によるリスク回避的円高が勝る展開で13日朝へ続落。13日夜はドル高がさらに進んだことでいったんドル円として下げ渋ったが、14日夜はポンド/ドルが急落からV字反騰に入り、ユーロドルが下げ渋りから戻しに入るなどドル高が緩んだ局面でドル安円高へ進み、ユーロやポンド等の上昇が一服したもののNYダウの続落による株安からの円高圧力で下落した印象だ。
ドル全面安やドル全面高になびきつつ、リスク回避的な動きが強まるとクロス円での円高が勝るなど、局面によっては円高要因が入れ替わっている印象があるが、いずれにしても9月21日に104円割れしたところからの上昇が一巡して円高局面に入ってきている印象だ。

米労働省が発表した9月の生産者物価は前月比0.4%上昇で3か月連続のプラスとなり、市場予想の0.2%を上回った。エネルギーと食料品を除いたコア指数は同0.4%の上昇で市場予想の0.2%を上回った。前年同月比では全体が0.4%上昇で予想の0.2%を上回り、コアは1.2%上昇で予想の0.9%上昇を上回った。

【NYダウ続落で株安からの円高感強まり始める】

10月14日のNYダウは前日比165.81ドル安と下落した。NYダウは10月7日に前日比530.70ドル高と上昇してから12日まで4連騰していたが、13日に前日比157.71ドル安と下落し、14日も続落となった。新型コロナウイルス経済対策をめぐっての与野党協議が続いてきたが、14日もムニューシン財務長官と野党民主党のペロシ下院議長が協議したものの合意には至らず、ムニューシン財務長官が「大統領選前の追加対策の合意は難しいだろう」と発言したことで失望感が強まったようだ。

米大統領選挙の11月3日まであと3週間を切ったことで、当面は追加経済対策期待での株高へは進めないとしての下落だが、下馬評のバイデン氏勝利となるのかコロナ陽性から復帰したトランプ氏の巻き返しが進むのか、4年前のように下馬評をひっくり返してサプライズ再選となるのか、大統領選挙後の情勢が見えない状況がしばらく続くとすれば市場全般も慎重な展開に入り、先走った先高期待でNYダウが一段高へ向かうのも難しいとすれば、為替市場でもリスク選好感を一段と強めてドル全面安へ向かうというのも難しい印象だ。ただし、ドルストレートでのドル全面高となっても、米長期債利回りが大幅に上昇してこなければ株安による円高圧力が勝ってドル円が下落継続に入る可能性も高いのではないかと思う。14日の米10年債利回りは前日から横ばいの0.73%で落ち着いている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月9日夜からの下落継続により13日朝時点では10月8日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、13日夜の上昇で12日夕刻の戻り高値を超えたために14日朝時点では13日朝安値を直近のサイクルボトムとした。またトップ形成期は13日の日中から15日午前にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとし、13日朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
14日夜の下落で13日朝安値を割り込む一段安となったため、13日夜の戻り高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして16日朝から20日朝にかけての間への下落を想定する。強気転換には13日夜高値を超える必要があると思われる。

60分足の一目均衡表では13日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンへ潜り込んでいたが、13日夜の下落で先行スパンから転落となり遅行スパンも再び悪化している。このため遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足のMACDは14日午前からDクロス基調で推移している。15日早朝の下げ渋りでGクロスしつつあるが、105.40円以下での推移中は一時的にGクロスしてもその後のDクロスから下げ再開とし、105.40円超えからは上昇再開の可能性ありとみてGクロス中の高値試し優先へ切り替える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105円下値支持線、105.40円を上値抵抗線とする。
(2)105.40円以下での推移中は一段安余地ありとし、105円割れからは104.50円前後への下落を想定する。104.50円以下は反発注意とするが、リスク回避感が強まって円高が加速する展開となる場合は104円台序盤へ下値目途を引き下げる。また105.40円以下での推移が続くうちは16日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.25円から105.40円にかけては売られやすい水準とみる。105.40円超えからは強気転換注意として13日夜高値105.62円手前を目指すとみるが、105.50円以上は戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/15(木)
米第2回大統領候補討論会(中止)
EU首脳会議(10月16日まで)、英ジョンソン首相によるFTA
10:30 (中) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 2.4%、予想 1.8%)
10:30 (中) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 -2.0%、予想 -1.8%)
13:30 (日) 8月 第三次産業活動指数 前月比 (7月 -0.5%、予想 1.5%)
21:30 (米) 10月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (9月 17.0、予想 15.0)
21:30 (米) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 0.9%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 輸出物価指数 前月比 (8月 0.5%、予想 0.3%)

21:30 (米) 10月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (9月 15.0、予想 14.0)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 84.0万件、予想 82.5万件)
21:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 1097.6万人、予想 1070.0万人)
22:00 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
22:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
24:00 (米) クオールズFRB副議長、講演
24:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、インド商工会議所で講演
30:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演

10/16(金)
EU首脳会議最終日
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調済 (7月 203億ユーロ、襲う 180億ユーロ)
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調前 (7月 279億ユーロ)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.6%、予想 0.8%)
21:30 (米) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 0.7%、予想 0.4%)

22:15 (米) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.4%、予想 0.6%)
22:15 (米) 9月 設備稼働率 (8月 71.4%、予想 71.9%)
22:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加
23:00 (米) 8月 企業在庫 前月比 (7月 0.1%、予想 0.4%)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (9月 80.4、予想 80.5)
29:00 (米) 8月 対米証券投資 (7月 -887億ドル)
29:00 (米) 8月 対米証券投資・短期債除く (7月 108億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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