ドル円、米大統領選前の追加経済対策合意困難との見方で続落
〇ドル円米国時間午後にかけや約2週間ぶりの安値105.04に下落
〇米政治不透明感、米追加景気対策期待の後退、米主要株価指数の軟調等が圧迫
〇ユーロドルは堅調FTA合意期限を過ぎても英EU間の交渉は続くとの楽観報道に一時1.1771まで上昇
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズともにに続落リスクが警戒される
〇本日事実上のFTA期限、EU首脳会議に注目
〇本日の予想レンジ:104.60ー105.40
海外時間の為替概況
14日(水)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。@米大統領選を前にした警戒感(米政治の先行き不透明感)や、A米追加景気対策の後ずれリスク(ムニューシン米財務長官が米大統領選前の追加景気対策に係る合意は困難と発言)、Bテクニカル的な地合いの弱さ、C米MBA住宅ローン指数(結果▲0.7%、予想4.6%)の冴えない結果、D米9月生産者物価指数(結果0.4%、予想0.2%)の予想比上昇(米ドルの実質金利低下→ドル売り)、E対ユーロでのドル売り圧力、FクラリダFRB副議長による「米国のGDPがパンデミック前の水準に達するにはもう1年かかるだろう」との悲観的な発言、G米主要株価指数の軟調推移が重石となり、米国時間午後にかけて、約2週間ぶり安値となる105.04まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.09近辺で推移しております。
14日(水)のユーロドル相場は堅調な展開。@事実上のFTA合意最終期限である10/15を過ぎても英国は欧州連合との通商協議をすぐに打ち切ることはないとの楽観的な報道(英ポンド急反発→ユーロ連れ高)や、A冴えない米経済指標を背景としたドル売り圧力、B米長期金利の低下、C短期ショート勢のロスカットが支援材料となり、米国時間にかけて、一時1.1771まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、D欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(イタリアで1日あたりの感染者数が過去最多を記録。フランスでは公衆衛生上の非常事態宣言を10/17に発令すると発表)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1755近辺まで押し返される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、昨日は一時約2週間ぶり安値となる105.04まで下落しました。この間、一目均衡表雲下限やボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線や基準線を下抜けするなど、テクニカル的にみて、上値の重さを印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不安(11/3に予定されている米大統領選への不透明感)、D朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク(欧米を中心としたロックダウン再開リスク及び、ワクチン開発の遅延リスク)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H英合意無き離脱リスク(10/15が事実上のFTA合意期限)、I米追加景気対策の後ずれリスク(米大統領選前の合意は困難)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、続落リスクが警戒されます。新型コロナウイルスや英国情勢を巡るヘッドライン(本日は事実上のFTA合意最終期限。EU首脳会議に注目)、欧米株や米長期金利の動向、米主要経済指標の結果(米10月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米9月輸出入物価指数、米新規失業保険申請件数など)、米追加景気対策に関する続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目105.00を割り込むシナリオを想定)。
本日の予想レンジ:104.60ー105.40
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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