英通商交渉の行方注視、ポンド主導の展開か(10/14夕)

14日の東京市場は、「行って来い」。一時ドル安が進行したが続かず、結局元のレベルへと戻している。

英通商交渉の行方注視、ポンド主導の展開か(10/14夕)

英通商交渉の行方注視、ポンド主導の展開か

〇ドル円、一時ドル安が進行したが続かず105.45-50レベルまで全戻し
〇米J&Jに続きイーライリリーも新型コロナ抗体薬の治験停止を発表
〇ポンド/円、昨日夕方高値137.78から135円台後半まで2円程度も値を崩す
〇本日、ジョンソン英首相と欧州委員会のフォンデアライエン委員長ら電話協議
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ105.10-105.90

<< 東京市場の動き >>

14日の東京市場は、「行って来い」。一時ドル安が進行したが続かず、結局元のレベルへと戻している。

ドル/円は105.45円レベルで寄り付いたのち、当初はドル売り先行。日米株価がともに弱含み推移したことが嫌気されると、105.30円レベルまで小緩んでいる。しかし、株価が回復基調をたどると、ドルも反発へ。105.45-50円という寄り付きレベルまで全戻しをたどっていた。16時現在でも105.45-50円で推移、欧米時間を迎えている。
そうしたなか、トルコリラが引き続き冴えず。対円では、おおむね13.20円台という史上最安値圏での推移をたどっていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「英国情勢」について。
前者は、欧州を中心とした、いわゆる「感染第2波」の広がりが懸念されるなか、頼みの綱であるワクチン開発に暗雲が垂れ込めてきた感がある。先日、米J&Jが臨床試験参加者の原因不明の病気を理由に、「コロナウイルスワクチン研究を一時的に停止した」と発表したことに続き、今度は米イーライリリーが「安全性への懸念」を理由に、やはり新型コロナ抗体薬の治験停止を発表している。依然としてトランプ米大統領は、早期のワクチン開発に強気の姿勢だが、現実的には先行きもなかなか厳しいと言わざるを得ない状況だ。

対して後者は、ポンド/円が昨日夕方高値137.78円から、本日東京では135円台後半までトータル2円程度も値を崩している。その背景は難航する「英国とEUの通商交渉」の期限切れがあることは間違いない。昨日も英外相から「EUとの合意への展望、見通しはある」といった楽観的な見方も聞かれた反面、EU主席交渉官は逆に「最終的な詰めに入れるほど、十分な進展がなかった」などとした発言も。悲観論が優勢となるなか、土壇場での巻き返しがあるのか否かが注目されている。

<< 欧米市場の見通し >>

市場筋の関心は、引き続き「米大統領選」を中心とした幾つかの米国ファクターと、「英EU通商交渉」の行方になる。なかでも後者は、15日が交渉期限とされるが、前述したように遅々として進んでおらず、先行きが大いに懸念されている感を否めない。そうしたなか、本日はジョンソン英首相と欧州委員会のフォンデアライエン委員長らが電話協議をする予定とされており、そのなかで果たして進展があるのかどうかを注視している市場参加者は少なくないようだ。
材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「米大統領選」、「コロナに感染したトランプ氏の容体」、「ベラルーシ情勢」、「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」など注目要因は依然として目白押し。なかでも本日は、前述した「英EU首脳による電話協議」が要注意だが、それ以外でも「G20財務相・中銀総裁会議」をはじめとするイベント関連ならびに、欧米要人の発言機会が相次ぐ。場合によっては、そうしたなかでの発言が相場の波乱要因となる可能性もある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は引き続きレンジ取引。昨日もレポートしたように、104.95-106.11円という1円強のレンジはすでに3週間近い。そろそろ次の方向性が示されても不思議はないのだが、材料的にも英国を中心とした広義の欧州情勢に注目が集まっており、積極的な動意はなかなか予想しにくい状況だ。ただ、これを逆に「嵐の前の静けさ」と捉える声もあり、米大統領選などを受けた今後の爆発的な動きを期待する向きも観測されていた。

一方、本日は、米経済指標でいえば9月の生産者物価程度しか発表が予定されていないものの、先で取り上げたように「英EU首脳による電話協議」や「G20財務相・中銀総裁会議」のほか「IMF・世銀の年次総会」などのイベントが数多い。また、クラリダFRB副議長をはじめとする欧米要人の講演など発言機会も多いうえ、ゴールドマンサックスなどによる米決算発表も相次ぐ見通しだ。それら内容には十分な注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.10-105.90円。昨日高値であり、新たな抵抗として意識されつつある105.62円をめぐる攻防にまずは注目。上抜ければ106円台回復し、直近高値106.11円が再びターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本稿執筆時には辛うじて上回っている移動平均の21日線(105.35-40)円が今後もサポートとして寄与するか否かが注視されている。ただ、割り込んでも105.20-30円は最近ドルのサポートとして寄与しているレベルで、かなり底堅いイメージか。

英通商交渉の行方注視、ポンド主導の展開か

ドル円日足


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