トルコリラ円見通し 15日夜に最安値をさらに更新、対ドルでも最安値圏での推移続く(20/10/15)

10月14日午前安値で13.26円を付けて9日の最安値を更新したが、その後も下落基調が続いており、14日夜には13.23円、15日夜には13.21円と安値を切り下げている。

トルコリラ円見通し 15日夜に最安値をさらに更新、対ドルでも最安値圏での推移続く(20/10/15)

トルコリラ円見通し 15日夜に最安値をさらに更新、対ドルでも最安値圏での推移続く

〇トルコリラ円、10/15夜13.21へ安値を切り下げ、最安値をさらに更新
〇対ドル、10/15夜7.93リラの安値を付ける、最安値更新への余裕が乏しい状況
〇10/22トルコ中銀の金融政策決定会合開催予定、政策金利の行方に注目
〇13.30以下での推移中は下向きとし、13.21割れからは13.10前後試しを想定、13.10以下は反発注意
〇13.30超えからは強気サイクル入りとみて13.35前後への上昇を想定、13.35以上は反落注意

【概況】

トルコリラ円の史上最安値更新が続いている。10月14日午前安値で13.26円を付けて9日の最安値を更新したが、その後も下落基調が続いており、14日夜には13.23円、15日夜には13.21円と安値を切り下げている。15日朝からドル円は戻しに入り、15日夜以降はメジャー通貨や資源通貨に対するドル高に一服感が出たことでやや戻しているが13.30円に届かずにいる。
対ドルでのトルコリラは14日夕刻に7.95リラの最安値更新後も概ね7.90リラ台での推移が続いており、15日夜には7.93リラの安値を付けて最安値更新への余裕が乏しくなっている。

【リラ売り材料の解消へ進めず】

トルコリラの下落背景は外貨準備不足を突かれてのリラ売り、コロナ不況と観光収入の激減及び経常収支悪化、トルコ中銀による利上げにもかかわらず実質マイナス金利状態が続く中で、地政学的リスクとして東地中海ガス田探査によるギリシャ・EUとの対立、ナゴルノ紛争への介在による欧米及びロシアとの対立懸念等、売り材料が揃う状況の中で欧州を中心とした投資家のリラ売りが加速、トルコ国内でもリラ安を嫌ってハードカレンシーへの逃避が進んでいる。

10月15日に発表された週次の外貨準備高は10月9日時点で411.2億ドルとなり10月2日時点の414.1億ドルから減少した。9月序盤には450億ドル台だったものの漸減傾向が続いているが、年初の800億ドル台からは半減に近い減少ぶりだ。

10月22日にはトルコ中銀の金融政策決定会合がある。前回の9月24日会合では市場の現状維持予想に反して4会合ぶりに2%の利上げを決定して10.25%へ政策金利を引き上げたため、市場は強気サプライズとなって13.60円前後の水準から9月25日高値14.01円まで大幅上昇した。しかし9月27日に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアによる大規模な軍事衝突=ナゴルノ紛争から急落となり、中銀利上げ効果を一挙に解消してしまった。その後も紛争が長期化し、10月11日の停戦合意後も衝突を繰り返していることでのリラ売りも継続している。トルコ中銀は2%の利上げ直後のために追加利上げへ動かないだろうというのが市場のコンセンサスのようだが、リラ防衛のために動けばサプライズ的な反騰へ向かう可能性もあるものの、現状維持に留まれば金融政策的な手詰まり感を露呈するものとしてリラ売り基調の継続、最安値更新へ向かう可能性が懸念される状況だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月9日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日夜から15日深夜にかけての間への下落を想定してきた。14日夜安値の後は下げ渋っていたために15日午前時点では14日夜安値でボトムを付けた可能性があるとしたが、15日夜へ安値を更新しているために底割れから新たな弱気サイクル入りとなっている可能性がある。ただし15日夜安値からは戻しているので、13.30円を超える場合は15日夜安値を直近のサイクルボトムと改めて強気サイクル入りとして16日深夜にかけての間への上昇を想定する。ただしその場合も戻りは短命の可能性があると注意し、底割れからは次の弱気サイクル入りとする。
13.30円を超えずに安値更新が続く場合は14日夜安値を基準としてボトム形成期を19日夜から21日夜にかけての間とした下落継続と考える。

60分足の一目均衡表では15日夜安値からの反発で遅行スパンは好転しやすい位置にあるが、先行スパンを上抜けずにいる。先行スパンを突破してくればいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、15日夜安値を割り込む場合はさらに下落継続へ進むとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足のMACDは15日夜安値からの反発でGクロスしている。13.30円を超えないうちは次のDクロスから下げ再開とし、15日夜安値割れからはDクロス毎の安値試し優先とする。ただし、13.30円超えからはいったん戻しに入るとみてGクロス中の高値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15日夜安値13.21円を下値支持線、13.30円を上値抵抗線とする。
(2)13.30円以下での推移中は下向きとし、15日夜安値割れからは13.10円前後試しを想定する。13.10円以下は反発注意とするが、下げが加速する場合は13.00円試しへ進む可能性もあると注意する。また13.30円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.30円超えからはいったん強気サイクル入りとみて13.35円前後への上昇を想定する、13.35円以上は反落注意とするが、13.30円を超えた後も13.27円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

10月22日
 16:00 10月消費者信頼感指数 (9月 82.0)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.25%)
 20:30 週次外貨準備高 (10月9日時点 411.2億ドル)
10月26日
 16:00 10月景況感 (9月 105.3)


注:ポイント要約は編集部

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