来週はトルコ中銀の政策金利発表がメインイベント
〇トルコ円地政学リスクの後退に13.47まで上昇後、一時史上最安値13.23まで急落
〇トルコに批判的なバイデン候補の優位、テクニカルな弱さ、外貨準備減少が要因
〇テクニカルには地合いの弱さ印象付ける形状
〇ファンダメンタルズもリラ売り想起させる材料多い
〇史上最安値の淡々と更新し続ける展開を予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.60
今週のレビュー(10/12−10/16)
今週のトルコリラ円相場は、週初13.45円で寄り付いた後、@トルコ中銀による10/9のスワップレート引き上げ(10.25%→11.75%)や、Aアルメニアとアゼルバイジャンの紛争激化に端を発した地政学的リスクの後退(10/10に停戦合意)が支援材料となり、週明け早々に週間高値13.47円まで上昇しました。しかし、先週末金曜日に記録した高値13.48円をバックに伸び悩むと、B米大統領選挙におけるバイデン氏優勢の報道(トルコに批判的なバイデン新大統領誕生リスク)や、C新型コロナウイルスの感染拡大リスク(世界的なロックダウン再開の恐れ)、Dテクニカル的な地合いの弱さ、E外貨準備の更なる減少(介入余力の低下)が重石となり、週後半にかけて、史上最安値となる13.23円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局13.28円前後での越週となっております。
来週の見通し(10/19−10/23)
トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、史上最安値となる13.23円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転及びパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス継続、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(着々と広がる反トルコ包囲網)、Eトルコを巡る地政学的リスクの高まり(アゼルバイジャンとアルメニア、トルコとギリシャの衝突再開リスクなど)、F米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナウイルス感染拡大リスク、H米大統領選を巡る先行き不透明感(トルコに批判的なバイデン氏の優勢が報じられればトルコリラの重石に)など、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、外貨準備の急減リスク、地政学的リスクの高まり、米大統領選を巡る不確実性(10/22に予定されている第2回大統領候補討論会でバイデン氏優勢となればトルコリラを下押し)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落(史上最安値を淡々と更新し続ける展開)をメインシナリオとして予想いたします(来週は10/22のトルコ中銀政策金利発表がメインイベント。トルコ中銀は10/9にスワップレートの引き上げを行っていることから、10/22に開催される政策決定会合でも追加利上げに踏み切る公算が大きいと考えられます。但し、例え利上げに踏み切ったとしても、利上げに伴う通貨安抑制効果は一時的なものに留まると見られ、当方では引き続き下落トレンドの継続を予想いたします)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.60
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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