来週の為替相場見通し:『不確実性が高まる中、リスクオフ再来に要警戒』(10/17朝)

今週のドル円相場は、週初105.71で寄り付いた後、早々に週間高値105.89まで上昇しました。

来週の為替相場見通し:『不確実性が高まる中、リスクオフ再来に要警戒』(10/17朝)

不確実性が高まる中、リスクオフ再来に要警戒

〇ドル円コロナ欧州感染拡大、米景気刺激策の先ズレに105.04まで下落後105.40まで持ち直し越週
〇ユーロドル週初1.1827まで上昇、英国の合意なく離脱リスク、欧州感染拡大等で一時1.1688まで下落
〇ドル円テクニカルには上値の重さ印象付ける形状、ファンダメンタルズもドル円下落の材料多い
〇ドル円下落がメインシナリオ
〇来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー106.50

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初105.71で寄り付いた後、早々に週間高値105.89まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限や心理的節目106.00をバックに伸び悩むと、@米製薬大手企業が開発中の新型コロナウイルスのワクチン治験が安全性の問題で停止されたとの一部報道や、A米大統領選挙を前にした先行き不透明感、B米追加景気対策の後ずれリスク(ムニューシン米財務長官が米大統領選前の追加景気対策に係る合意は困難と発言)、CクラリダFRB副議長による「米国のGDPがパンデミック前の水準に達するにはもう1年かかるだろう」との悲観的な発言、D新型コロナウイルスの感染再拡大懸念(欧米を中心にロックダウン再開の動き)、E英国の合意無き離脱リスクの再燃リスク、F米主要株価指数の軟調推移(リスク回避ムード)が重石となり、週央にかけて、約2週間ぶり安値となる105.04まで下落しました。

もっとも、週後半にかけては、Gトランプ米大統領による追加景気対策の増額指示や、H上記Gを受けた米主要株価指数の持ち直し、I米経済指標(米9月小売売上高や、米10月ミシガン大消費者信頼感指数)の力強い結果が支援材料となり、結局105.40近辺まで持ち直しての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1819で寄り付いた後、早々に週間高値1.1827まで上昇しました。しかし、先週末金曜日に記録した高値1.1832をバックに伸び悩むと、@英国の合意無き離脱リスクの高まり(英国ーEU間の交渉難航)や、A欧米株の冴えない動き、B英中銀(BOE)がマイナス金利の準備を目的に情報提供の要請を行ったとの一部報道(英ポンド下落→ユーロ連れ安)、C欧州圏における新型コロナウイルス感染拡大(イタリアで1日あたりの感染者数が過去最多を記録。フランスでは公衆衛生上の非常事態宣言を10/17に発令すると発表。ハンコック英保健・社会福祉相は「新型コロナウイルスの新規制としてロンドンを警戒レベルTier2へ引き上げる」と発表)、Dドイツ10月ZEW景況感調査(結果56.1、予想74.0)の急低下、E欧州委員会による「加盟国は新型コロナウイルスの新たな拡大局面への備えが出来ていない」との警告報道、FECBによる根強い追加緩和観測が重石となり、週後半にかけて、一時1.1688まで急落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局1.1717前後での越週となっております。

来週の見通し(10/19−10/23)

<ドル円相場>
ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、10/14には一時105.04(約2週間ぶり安値)まで下落しました。この間、一目均衡表雲下限やボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線や基準線を下抜けするなど、テクニカル的にみて、上値の重さを印象付けるチャート形状となっております(週末にかけてやや持ち直すも、105円台半ばには一目均衡表転換線や基準線など強力なレジスタンスが密集している為、ここからの続伸余地は乏しいと判断)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク(トランプ米大統領による中国企業への制裁強化)、C米政治の先行き不安(11/3に予定されている米大統領選への不透明感。まずは10/22に予定されている第2回大統領候補討論会に注目)、D朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク(米中西部で新規感染者数や入院者数が過去最多を更新)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H米追加景気対策の後ずれリスク(追加景気対策を巡る報道は二転三転)、I英国の合意無き離脱リスクなど、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大及び英国情勢を巡るヘッドライン、米中の主要経済指標の結果(10/19の中国9月鉱工業生産、同9月固定資産投資、同9月小売売上高、同第3四半期実質GDP、10/20の米9月住宅着工件数、10/21の中古住宅販売件数など)、米国の要人発言(来週はパウエルFRB議長をはじめ米当局者の講演が相次ぐ)、米大統領選挙を巡る続報(10/22に予定されている第2回大統領候補討論会)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的な地合いの弱さや、米追加景気対策期待の後退、米政治の先行き不透明感、新型コロナウイルスの感染拡大がドル円の重石)。

来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー106.50、(EURUSD):1.1500−1.1800

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、10/9に記録した約3週間ぶり高値1.1832をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、9/30以来となる安値1.1688まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク、B欧州圏における新型コロナウイルス第2波リスク(欧州の主要都市で外出禁止令が再開)、CECBによる根強い追加緩和観測、DIMM通貨先物市場における投機筋の高水準のユーロの買い持ちポジション(潜在的なユーロ売り材料)、E英国の合意無き離脱の実現リスク(英国・EU間の通商交渉難航。ジョンソン英首相は通商協定の合意無き離脱準備を進めるよう指示)、FECB当局者による相次ぐユーロ高牽制発言など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、欧州の主要経済指標の結果(10/23のユーロ圏10月製造業PMI速報値、同サービス業PMI速報値)、新型コロナウイルスの感染拡大状況(ユーロ圏各国によるロックダウン再開)、英国・EU間の通商交渉の行方(英政府が定めた事実上の交渉期限10/15を通過したことから、合意無き離脱リスクが一段と高まる恐れ)、米大統領選を前にしたユーロロングの解消リスク(IMM通貨先物市場)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的な弱さに加えて、欧州当局者によるユーロ高牽制発言、ECBによる追加緩和観測、欧州圏における新型コロナウイルス感染再拡大、英国の合意無き離脱リスクの高まりがユーロの重石)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1500−1.1800

注:ポイント要約は編集部

不確実性が高まる中、リスクオフ再来に要警戒

ドル円日足

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