トルコリラ円見通し 対円での最安値更新、地政学的リスク多くリラ売り基調続く(20/10/14)

トルコリラ円は10月14日午前安値で13.26円を付けて対円での史上最安値を更新している。

トルコリラ円見通し 対円での最安値更新、地政学的リスク多くリラ売り基調続く(20/10/14)

対円での最安値更新、地政学的リスク多くリラ売り基調続く

〇トルコリラ円、10/14午前安値13.26で史上最安値更新
〇対ドルは14日朝7.93、対ユーロは14日午前9.31リラ台で共に最安値更新への余裕乏しい
〇バイデン民主党政権へ交代なら米国とトルコの緊張感一挙に高まる可能性
〇13日発表の8月の鉱工業生産、小売売上高共に伸びが大きく鈍化
〇13.20割れからは13.10前後試し、13.10以下は反発注意
〇13.30超えから続伸なら13.35前後への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円は10月14日午前安値で13.26円を付けて対円での史上最安値を更新している。
9月24日にトルコ中銀が4会合ぶりに政策金利を引き上げたことで13.60円台から9月25日高値14.01円まで一時反騰したが、9月27日にアゼルバイジャンとアルメニアによる大規模軍事衝突=ナゴルノ紛争が勃発したことで9月28日に13.28円まで急落となり、中銀利上げによるリラ高が打ち消された。
紛争報道当初の売り一巡で10月1日には13.80円までいったん戻したが、紛争長期化、トルコの外貨準備高減少と経常収支悪化、消費者物価上昇率の高止まりによる実質マイナス金利状態の継続、東地中海のガス田探査によるギリシャ・EUとの対立、ロシア製ミサイルシステム導入による欧米からの制裁懸念、などなどのトルコリスクを抱えた状況が続き、10月11日にナゴルノ紛争がいったん停戦に合意したものの翌日から戦闘が再開するなど情勢改善が見られないことでリラ売りが一段と強まる状況にある。

【対ドルでも最安値更新へ余裕乏しい】

トルコリラは対ドルで10月9日に7.95リラまで下落して史上最安値を更新した。停戦合意期待と合意実現により10月12日朝には7.82リラまでいったん戻したが、その後はジリ安の推移が続いており、14日朝には7.93リラを付けて最安値更新への余裕が乏しくなっている。
週間足ベースでは8月30日の週から先週まで6週連続の下落であり、今週も既に前週比で0.9%を超える下落で7週連続の下落気配だ。

対ユーロでは10月9日に9.37リラで史上最安値を更新した後は新たな安値更新を回避しているものの14日午前も9.31リラ台での推移で最安値更新への余裕が乏しい。トルコの外債は欧州勢が主力で買い入れており、トルコリラ安が通貨危機的なレベルに陥れば外債引き上げによる債務危機に陥る可能性も懸念される。ナゴルノ紛争、東地中海問題、ロシア製ミサイル問題等、地政学的リスクは山積みだ。米大統領選挙でのバイデン氏有利との情勢分析も、トルコへの制裁に消極的なトランプ政権からエルドアン大統領を独裁者呼ばわりするバイデン民主党政権へ交代するようなことがあれば米国とトルコの緊張感も一挙に高まる可能性も指摘されている。

【トルコの小売売上高は低調】

【トルコの小売売上高は低調】

10月13日にトルコ統計局が発表したトルコの8月鉱工業生産は前月比3.4%増となり7月の8.5%増から鈍化した。コロナショックにより4月にマイナス30.1%まで落ち込んだ後は5月に18.2%増、6月に17.8%増と持ち直したが、その後の伸びは鈍化している。前年同月比では10.4%となり7月の4.5%増から改善しているが、2019年は年初から8月まで前年同月比マイナスでの推移だったために改善したような数字となっているが実体の伸びは鈍い印象だ。
8月の小売売上高は前月比1.4%増にとどまり市場予想の4.4%増を下回り、7月の9.2%増から伸びが大きく鈍化した。前年同月比は5.8%増だが7月の12.5%増から伸びは鈍化し、市場予想の9.5%増を大幅に下回った。コロナショック当初からは回復基調にあるとはいえ、力強い回復とまでは言えない状況にとどまっている。市場の反応は限定的ではあったが、下落基調に歯止めをかけるインパクトには欠けた。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月9日深夜にいったん反騰してからの反落により、13日午前時点では8日深夜安値を直近のサイクルボトム、9日深夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日夜から15日深夜にかけての間への下落を想定した。14日午前も安値を更新しているので引き続きボトム形成中とみる。すでに前回ボトムからは3日を経過しているので13.35円超えからは強気サイクル入りとするが13.35円を超えないうちは一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では13日早朝への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換には遅行スパン好転から先行スパンへ潜り込む反騰が必要と思われる。

60分足のMACDは13日午後からのDクロスが続いているのでDクロス中は安値試し優先とする。13.30円を超えないうちは一時的にGクロスしてもその後のDクロスから下げ再開とみる。上昇再開は13.35円超えからとし、その際はGクロス中の高値試し優先へ切り替える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.20円を下値支持線、13.30円を上値抵抗線とする。
(2)13.30円以下での推移中は下向きとして13.20円割れからは13.10円前後試しを想定する。13.10円以下は反発注意とするが、下げが加速する場合は13.00円試しへ進む可能性もあると注意する。
(3)13.30円超えから続伸の場合は13.35円前後への上昇を想定する。13.35円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、13.30円以上での推移が続く場合は15日へ戻りを試しに向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

10月15日
 20:30 週次外貨準備高 10/9時点 (10/2時点 414.1億ドル)
10月22日
 16:00 10月消費者信頼感指数 (9月 82.0)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.25%)


注:ポイント要約は編集部

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