先週末からの下げ一服、105円台序盤から戻すが勢いに欠ける
〇ドル円、ドルが巻き返しの上昇で13日夜に105.62まで戻す
〇ブレーキはかかったが、9月後半からのドル安基調そのものを崩すレベルにはまだ至らず
〇前日まで4連騰のNYダウ、前日比157.71ドル安で5日ぶりの反落
〇株安・債券高で米10年、30年債利回り共に低下、ドル円はドル売り圧力となり上値抑える
〇13日朝安値105.22割れからは105.00、次いで104.75を段階的に試す下落期入り
〇13日夜高値105.62超えからは105.75、次いで105.85前後への上昇を想定
【概況】
ドル円は10月7日夜に106円台に到達してから9日午前までの間を106円を挟んだ小レンジでの膠着状態となっていたが、9日午前からは為替市場でのドル全面安が一段と進んだことで膠着状態から下放れに入り、13日朝には105.22円まで安値を切り下げてきた。しかし13日はドルが巻き返しの上昇となり、午前に豪ドルが下落、夕刻のドイツZEW景況感の大幅悪化からユーロ等に売り圧力がかかり、NYダウが5日ぶりに反落する中でドルの買い戻しが進んだためにドル円も13日夜には105.62円まで戻した。
10月8日午前高値106.10円から13日朝安値105.22円まで0.88円幅だったが、13日夜高値105.62円まで0.40円の上昇であり、半値ラインの手前まで上昇したが半値戻しを超えるには至っていない状況だ。
前日まで4連騰していたNYダウは前日比157.71ドル安となり5日ぶりの反落で、ナスダック総合指数も同12.36ポイント安と下落したが、急落商状というほどではなかった。株安・債券高により米10年債利回りが前日比0.05%低下の0.73%、米30年債利回りも0.07%低下の1.51%となったことは、ドル円においては日米金利差面からのドル売り圧力となって上値を抑えた印象だ。
米労働省が発表した9月の消費者物価指数は前月比0.2%上昇、エネルギーと食料品を除いたコア指数も0.2%の上昇でいずれも市場予想と一致し、4か月連続の上昇となったが伸びは前月から鈍化した。前年同月比は全体が1.4%上昇で予想と一致、コアは1.7%上昇で予想の1.8%を下回った。
【ドル全面安からドル買い戻しの動きに】
13日の為替市場では先週までのドル全面安から一転してドル高へ進んだ。中国による豪州産石炭輸入規制の動きや中国人民銀行による人民元安誘導姿勢等から豪ドル米ドルが午前に反落、夜へいったん戻したものの14日未明へ一段安となっている。10月7日朝安値0.7094ドルから10日早朝高値0.7242ドルまで連騰してきたが、14日早朝には0.7149ドルまで下げており、連騰幅に対して凡そ3分の2を解消する下落となった。
ユーロドルは10日早朝に1.1830ドルまで高値を切り上げていたが、12日はジリ安となり13日夜の急落で14日未明には1.1730ドルまで下げて7日午前安値1.1724ドルに迫っている。ドイツZEW景況感で10月の期待指数が前月比21.3ポイント低下の56.1となり5月以来の低水準となったことで欧州での新型コロナウイルス感染第二波による先行き不透明感が強まっていることが影響したと思われる。
ポンド/ドルも12日深夜に1.3081ドルまで一段高となっていたが13日夜に急落となり14日未明には1.2921ドルまで下げて7日夜安値1.2844ドル以降の上昇幅の3分の2強を削った。ユーロ安連動での下げと10月15日に交渉期限の迫る英・EUのFTA交渉難航への懸念も背景となっている。
ドルストレートでのドル買い戻しの動きがドル円にも波及したことが13日夜にかけてのドル円が戻した背景だが、13日のドル買い戻しの動きがさらに加速してゆくなら、先週までのドル全面安基調からドル全面高へと流れも変わり、ドル円も再び106円台回復を目指す流れに乗る可能性はあるだろう。しかし、先週まで続いてきたドル安基調には10月6日夜から7日午前にかけて急落した時と同様に大きなブレーキはかかったが、9月後半からのドル安基調そのものを崩すレベルにはまだ至っていないと思う。ドル円は9月21日に104円割れまで突っ込んだところから戻してきたものの10月8日高値で戻りが一巡して失速しており、6月5日以降の戻り高値切り下がりパターンを繰り返す中での下落再開感を伴った下落としてみれば10月8日高値を超えるような上昇へ進まない限りは下げ一服での小反発を消化してさらに一段安へ向かいやすい状況ではなかろうか。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月9日夜からの下落継続により13日朝時点では10月8日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は10日朝から14日朝までの間と想定されるので既に反騰注意期にあるとしたが、13日夜の上昇で12日夕刻の戻り高値を超えるところまで戻したため、13日朝安値を直近のサイクルボトムとする。トップ形成期は13日の日中から15日午前にかけての間と想定されるので既に反落注意期にある。13日朝安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、105.35円割れからは下げ再開とみて13日朝安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして16日朝から20日朝にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では13日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンへ潜り込んでいる。このため遅行スパン好転中は上昇余地ありとし、先行スパン突破からは上昇に勢いも付くとみるが、先行スパン転落に余裕が乏しいため、先行スパン転落からは下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足のMACDは13日午前からGクロスしてきたが14日早朝にはDクロスしている。105.35円以上での推移中は次のGクロスから上昇再開の可能性ありとみるが、105.35円割れからは下げ再開と仮定してDクロス中の安値試し優先とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.35円を下値支持帯、10月13日夜高値105.62円を上値抵抗線とする。
(2)105.35円以上での推移中は一段高余地ありとし、13日夜高値超えからは105.75円、次いで105.85円前後への上昇を想定する。105.80円以上は反落注意とするが105.50円以上を維持しての推移なら15日も高値試しへ向かう可能性があると考える。
(3)105.35円割れからは下げ再開と仮定して13日朝安値105.22円試しとし、底割れからは105.00円、次いで104.75円を段階的に試す下落期入りと考える。
【当面の主な予定】
10/14(水)
G20財務相・中央銀行総裁会議(オンライン)
13:30 (日) 8月 設備稼働率 前月比 (7月 9.6%)
13:30 (日) 8月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 1.7%)
13:30 (日) 8月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -13.3%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 4.1%、予想 0.8%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -7.7%、予想 -7.1%)
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 -0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前月比 (8月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 0.6%、予想 0.9%)
22:00 (英) ホールデン英中銀理事、講演
22:00 (米) クラリダFRB副議長、講演
23:30 (米) クオールズFRB副議長、パネル討論会参加
28:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、クオールズFRB副議長、講演
10/15(木)
米第2回大統領候補討論会(中止)
EU首脳会議(10月16日まで)、英ジョンソン首相によるFTA
06:45 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演(オンライン)
09:30 (豪) 9月 新規雇用者数 (8月 11.10万人、予想 -3.50万人)
09:30 (豪) 9月 失業率 (8月 6.8%、予想 7.1%)
10:30 (中) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 2.4%、予想 1.9%)
10:30 (中) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 -2.0%、予想 -1.9%)
13:30 (日) 8月 第三次産業活動指数 前月比 (7月 -0.5%、予想 1.5%)
21:30 (米) 10月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (9月 17.0、予想 14.0)
21:30 (米) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 0.9%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 輸出物価指数 前月比 (8月 0.5%、予想 0.3%)
21:30 (米) 10月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (9月 15.0、予想 14.3)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 84.0万件、予想 82.5万件)
21:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 1097.6万人)
22:00 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
22:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
24:00 (米) クオールズFRB副議長、講演
24:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、インド商工会議所で講演
30:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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