ドル円、安値圏から持ち直すも戻りは鈍い。クロス円の下落がドル円の重石(10/14朝)

13日(火)の外国為替市場でドル円は上昇後に伸び悩む展開。

ドル円、安値圏から持ち直すも戻りは鈍い。クロス円の下落がドル円の重石(10/14朝)

ドル円、安値圏から持ち直すも戻りは鈍い。クロス円の下落がドル円の重石

〇ドル円中国経済の早期回復期待、IMFの世界経済見通し上方修正に105.64まで上昇
〇その後、米製薬大手によるワクチン開発中止報道、売株下落等で105.50に下押し
〇ユーロドル英国のEU離脱協議をめぐる不透明感、独指標の悪化、株価軟調で一時1.1731まで下落
〇ドル円テクニカルには上値の重さ印象づける形状、ファンダメンタルズも反落不安材料山積み
〇本日の予想レンジ:104.90ー105.70

海外時間の為替概況

13日(火)の外国為替市場でドル円は上昇後に伸び悩む展開。@中国の9月輸出入の急増を背景としたリスク選好ムードの高まり(世界的な外出制限緩和→中国経済の早期回復期待)や、A国際通貨基金(IMF)による2020年世界経済見通しの上方修正(結果▲4.4%、前回▲5.2%、※但し2021年見通しは下方修正)、B対欧州通貨でのドル買い圧力が支援材料となり、米国時間にかけて、高値105.64まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、C米製薬大手企業による「開発中の新型コロナウイルスのワクチン治験を安全性の問題で停止した」との報道や、D米追加景気対策期待の後退、E米主要株価指数の下落も重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.50近辺まで押し返される展開となっております。

13日(火)のユーロドル相場は下落。@英政府が定めた10/15のFTA合意期限を前にした警戒感(バルニエ欧州連合首席交渉官による「ブレグジット交渉はこれまでのところ十分ではない」との発言や、スラック英首相報道官による「英国は合意無き離脱の準備と意思がある」との発言)や、A欧州圏における新型コロナウイルス感染拡大懸念、Bドイツ10月ZEW景況感調査(結果56.1、予想74.0)の急低下、C欧米株の軟調推移を背景としたリスク回避ムードが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1731まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1747近辺で推移しております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、10/7に記録した約3週間ぶり高値106.12をトップに反落に転じると、10/12には一時105.24まで下落しました。この間、一目均衡表雲下限や転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的にみて、上値の重さを印象付けるチャート形状となっております(昨日はやや持ち直す動きを見せたものの、一目均衡表転換線や雲下限をバックにここからの上値余地は限定的)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不安(11/3に予定されている米大統領選への不透明感)、D朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク(欧米を中心としたロックダウン再開リスク及び、ワクチン開発の遅延リスク)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、H英合意無き離脱リスクの再燃(事実上のブレグジット交渉期限10/15を前にした警戒感)、I米追加景気対策の後ずれリスク(財政の崖リスク)など、ドル円相場の反落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、反落リスクが警戒されます。新型コロナウイルスや英国情勢を巡るヘッドライン、欧米株や米長期金利の動向、米主要経済指標の結果(MBA住宅ローン申請指数や、米9月生産者物価指数など)、米追加景気対策に関する続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(欧米株の下落を背景としたクロス円下落→ドル円連れ安の波及経路に要注意)。

本日の予想レンジ:104.90ー105.70

注:ポイント要約は編集部

ドル円、安値圏から持ち直すも戻りは鈍い。クロス円の下落がドル円の重石

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