トルコリラ円見通し ナゴルノ紛争は停戦後も戦闘続く、ギリシャ沖へ再び軍艦随行の探査船派遣(20/10/13)

12日は軟調推移となり、13日朝には13.30円まで下げて安値更新への余裕が乏しくなっている。

トルコリラ円見通し ナゴルノ紛争は停戦後も戦闘続く、ギリシャ沖へ再び軍艦随行の探査船派遣(20/10/13)

ナゴルノ紛争は停戦後も戦闘続く、ギリシャ沖へ再び軍艦随行の探査船派遣

〇トルコリラ円、10/13朝13.30まで下げる、安値更新への余裕乏しい
〇ナゴルノ紛争、停戦合意後も戦闘継続、トルコの地政学的リスク高まる可能性も懸念
〇対ドルでのトルコリラ、7.80台後半での推移が続く、史上最安値更新への余裕乏しい
〇東地中海の資源探査に向け探査船再び出港、トルコ海軍も随伴しており、ギリシャは反発
〇13.43以下での推移中は下向きとし、13.29割れからは13.20前後試しを想定、13.20以下は反発注意
〇13.43超えからはいったん戻しに入るとみて、10/9深夜高値13.48試しを想定

【概況】

トルコリラ円は10月8日深夜安値で13.29円をつけて9月28日にナゴルノ紛争ぼっ発報道による急落時安値13.28円に迫ったが、ロシア仲介による停戦協議入りにより9日深夜には13.48円まで戻し、戻り一巡後の売りにやや押されて13.41円で先週を終えた。
ロシア仲介による10日のアゼルバイジャンとアルメニアの外相会談で停戦合意が実現した。しかし11日には早くも停戦破りの軍事攻撃が再発したこととドル円の円高加速により12日は軟調推移となり、13日朝には13.30円まで下げて安値更新への余裕が乏しくなっている。
アゼルバイジャンとアルメニアの戦闘は停戦合意後も継続している。停戦前を超える激しさに発展するようだと停戦合意も形骸化して紛争長期化とこの紛争に関与しているトルコへの地政学的リスク、旧ソ連邦エリアでの紛争としてロシアへの地政学的リスクが高まってゆく可能性もあると懸念される。

【トルコリラを巡る下落環境は再び悪化】

対ドルでのトルコリラは10月9日に7.95リラまで下落して史上最安値を更新した。その後は停戦合意と為替市場全般でのリスク選好感優勢によるドル売りによりドル/トルコリラも落ち着いているが、7.80リラ台後半での推移が続いており、史上最安値更新への余裕も乏しい。
7月からのトルコリラ安の背景は(1)トルコの外貨準備不足、(2)消費者物価上昇率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態の長期化、(3)コロナ不況による観光収入激減での経常赤字拡大と政権及び中銀の対策不十分さ、(4)トルコによる東地中海ガス田探査によるギリシャ・フランスとの対立とEUによる制裁懸念、(5)ナゴルノ紛争へのトルコの介在、(6)NATO加盟国であるにもかかわらずロシア製ミサイルを配備による米国などによる制裁リスクである。

トルコの外貨準備高は10月2日時点の週次報告で414.1億ドルとなり前週の424.2億ドルから減少しており、昨年8月に500億ドルを超えていた水準からの減少傾向が続いている。
10月5日に発表された9月のトルコ消費者物価上昇率は前年比11.75%と高止まりしており、トルコ中銀の政策金利10.25%を上回っている。生産者物価が9月には14.33%へ大幅上昇しているために今後の消費者物価上昇も続く可能性が高い。
10月12日に発表されたトルコの8月経常収支は46.3億ドルの赤字であり、7月の19.4億ドルの赤字から大幅に増加した。トルコは恒常的な経常赤字国だが、コロナ不況による観光収入の激減により悪化傾向に陥りつつある。

ナゴルノ紛争は停戦後も戦闘続く、ギリシャ沖へ再び軍艦随行の探査船派遣

トルコのドンメズ・エネルギー天然資源相は10月12日に、東地中海の資源探査に向け探査船が再び出港したとツイッターで表明した。探査船にはトルコ海軍も随伴している。探査は22日まで続く計画だがギリシャは反発している。トルコとギリシャは先週の外相会談でこの問題についての二国間協議に合意し、EUもトルコへの制裁は現時点では見送っている。
ナゴルノ紛争も停戦破りが続くようだと、トルコへの批判も強まるだろう。ロシア製ミサイル配備と実用試験についての米国側の対応はまだ見られないが、仮にバイデン氏が勝利すればトルコへの強硬姿勢がとられる可能性が高まるということも意識されていると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月7日夜の下落で3日早朝安値及び2日午後安値を割り込んだために8日午前時点では5日夕高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。
9日深夜にいったん反騰したがその後は失速して新たな安値更新への余裕が乏しくなっているため、8日深夜安値を直近のサイクルボトム、9日深夜高値を同サイクルトップとして新たな弱気サイクルに入っていると思われる。ボトム形成期は13日夜から15日深夜にかけての間と想定されるが、底割れ回避のうちはダブルボトム形成からの反騰入りとなる可能性も残るので、13.45円超えからは強気転換注意として9日深夜高値試しを想定する。

60分足の一目均衡表では13日早朝への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落している。底割れ回避で進めば遅行スパンは好転しやすいが、底割れから遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返す場合は強気転換注意として9日深夜高値試しを想定する。

60分足の相対力指数は9日深夜の上昇時に70ポイントを超えたがその後は下落基調にあり、50ポイント台では戻り売りにつかまりやすい状況となっている印象だ。上昇再開には60ポイントを超える必要があり、50ポイント以下での推移が続くうちは下向きとみて20ポイント台序盤への低下を警戒する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8日深夜安値13.29円を下値支持線、13.43円を上値抵抗線とする。
(2)13.43円以下での推移中は下向きとして13.29円割れからは13.20円前後試しを想定する。13.20円以下は反発注意とするが、下げが加速する場合は13.10円前後へ下値目途を引き下げ、先行きは13円割れを目指す可能性があると考える。
(3)13.43円超えからはいったん戻しに入るとみて9日深夜高値13.48円試しを想定する。13.48円手前では戻り売りにつかまりやすいとみるが13.40円以上での推移なら14日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

10月13日
 16:00 8月鉱工業生産 前年比 (7月 4.4%、予想 5.1%) 
 16:00 8月小売売上高 前月比 (7月 9.5%、予想 4.4%)
 16:00 8月小売売上高 前年比 (7月 11.9%、予想 9.5%)
10月15日
 20:30 週次外貨準備高 10/9時点 (10/2時点 414.1億ドル)
10月22日
 16:00 10月消費者信頼感指数 (9月 82.0)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.25%)



注:ポイント要約は編集部

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