英国情勢、EUとの通商協議の行方にも要注意(10/8夕)

8日の東京市場は、ドルが小じっかり。底堅いのは間違いないが上値も重く、106円台ではやや上げ渋りの様相に。

英国情勢、EUとの通商協議の行方にも要注意(10/8夕)

英国情勢、EUとの通商協議の行方にも要注意

〇ドル円、106.10まで値を上げるも抜けられずに106円挟みの揉み合いに
〇新型コロナ治療薬の米リジェネロン・ファーマシューティカルズと米イーライリリーの効果を絶賛
〇トランプ氏は自身が使用した上記の薬の緊急使用を認める考えを示すも早計すぎると非難を集めた
〇米副大統領候補の討論会は為替、株式市場への影響はほとんどなし
〇本日発表の週間ベースの新規失業保険申請件数の内容に一応要注意
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ105.50-106.40

<< 東京市場の動き >>

8日の東京市場は、ドルが小じっかり。底堅いのは間違いないが上値も重く、106円台ではやや上げ渋りの様相に。

ドル/円は寄り付いた105.90円前後を日中安値に、当初はドル買い先行。106.10円レベルまで値を上げ、昨日高値に面合わせしたものの抜けられず、その後は106円挟みの揉み合いをたどっている。16時現在では、106.00円レベルで推移すると、欧米時間を迎えていた。
そうしたなか、NZドルの動きが一時話題に。NZ中銀筋から追加利下げを示唆する発言が聞かれ、それを材料に一時大きく値を下げるも、結果として「行って来い」。対円などで上下動の大きいなかなかの荒れ相場だった。

一方、材料的に注視されていたものは、「トランプ氏容体」と「英国情勢」について。
前者は、バイデン氏の後塵を拝していると言われる米大統領選をにらんだ動きなのか、トランプ米大統領の主治医であるコンリー氏が記者会見で、「コロナ症状なく容体は安定」と再びフォローしたこともあり、ホワイトハウスは「トランプ氏が大統領執務室での執務を再開した」ことを明らかにしている。ただ、そのトランプ氏はツイッターにおいて、自身が使用した新型コロナ治療薬である米リジェネロン・ファーマシューティカルズと米イーライリリーの効果を絶賛。そのうえで、これらの薬の緊急使用を認める考えを示したことが早計過ぎると非難を集めていたうえ、前日の方針から一転させた「航空業界などに限定的な景気刺激策を講じるよう呼び掛けた」ことも批判に晒されていたようだ。

対して後者は、一応の期限である15日まで残り1週間となるなか、依然として妥結の見通しが立たない「英とEUの通商交渉」が引き続き話題に。EU離脱交渉担当者であるフロスト氏が英議会で「交渉の着地点、現時点ではまだ明確にはわからない」などとやや悲観的な発言、またブルームバーグは「15日までに通商合意見通しなければ英は交渉から撤退」と報じており、最悪のケースをたどる可能性も否定出来ないようだ。なお、そうした状況下、EUのミシェル大統領とジョンソン英首相が、難航する自由貿易協定(FTA)締結交渉をめぐり電話会談したと別に報じられている。

<< 欧米市場の見通し >>

米大統領選まで残り1ヵ月を切るなか、本日の東京時間に実施された「米副大統領候補の討論会」は、もう少し材料視されるかと思っていたのだが、ほとんど影響なし。為替のみならず、株式市場などへの波及的影響は観測されなかった。したがって、米大統領選については、トランプ氏の回復次第だが再び実施される見込みの大統領候補同士の討論会ならびに、トランプ氏自身が検討しているとされる「テレビ演説」実施の有無などに注目が集まりそうだ。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「米大統領選」、「コロナに感染したトランプ氏の容体」、「ベラルーシ情勢」、「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」など注目要因は依然として目白押し。上記の材料はいずれも注目だが、目先とくに注視されているのは、EUとの通商交渉の行方を中心とした「英国情勢」と、米大統領選をバックにした「トランプ氏の容体」や選挙対策とみられる数々の言動などを警戒する向きも少なくない。実際、後者については、経済支援策をめぐる民主党との協議を停止するコメントを発したのち、それほど時間をおかずに方針を転換するような発言を行うなど朝令暮改的な対応も多々観測されている。引き続き予断は許さない。

テクニカルに見た場合、ドルは昨日短期的なレンジ上限である105.80円を超え、106円台へと乗せてきた。移動平均でいえば、105円半ばに位置する21日線をサポートに、90日線(106.35-40円)に向けたドルの続伸を見込む声も少なくないようだ。
なお、8月高値107.05円を起点とした下げ幅のフィボナッチでは、76.4%戻しは106.30-35円となり、前記した90日線に極めて近い。同水準はかなり強い抵抗であるのかもしれない。

本日は、週間ベースの新規失業保険申請件数という米経済指標が発表される予定で、その内容には一応要注意。
また、本日も引き続き米地区連銀総裁などによる講演が依然として多いことで、要人発言には注意を払いたいところだろう。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.50-106.40円。昨日そして本日と2度上値を抑制された106.10円レベルが最初の抵抗に。上抜ければ106.30-40円、そして106.55円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、これまで抵抗だった105.80円が今度は逆にサポートとして意識されている感を否めない。まずは同レベルの攻防に注目。ただ、割り込んでも底堅いイメージで、ドル下値は限定的か。

英国情勢、EUとの通商協議の行方にも要注意

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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