10月1日以降は戻り高値が切り下がり上値の重い持ち合い続く
〇トルコリラ円、2日午後以降は新たな安値更新を回避しているものの上値の重い状況
〇対ドルでは10/1以降ドル高リラ安基調続き、史上最安値更新への余裕が乏しい
〇ナゴルノ地区からのアルメニア撤退まで戦闘は続くとしたことでトルコへの批判強まる
〇アルメニアのパシニャン首相「トルコが関わってこなければ始まることはなかった」とトルコを非難
〇13.55から13.60にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすい
〇3日早朝安値13.49割れからは13.40前後への下落を想定、13.40以下は反騰注意
【概況】
トルコリラ円はナゴルノ紛争ぼっ発による9月28日朝の急落一服で10月1日午後には13.80円まで戻して28日朝の急落幅をいったん解消したが、その後は13.50円割れを買い戻されつつも戻り高値は5日夕高値13.67円、6日夕高値13.63円と切り下がり、10月2日午後の米大統領コロナ感染報道による円高で下落したところの安値13.47円以降は新たな安値更新を回避しているものの上値の重い状況が続いている。
【トルコ中銀の予想外利上げ効果も続かず、ナゴルノ紛争での売り一服でも先安感ぬぐえず】
対円や対ドルでトルコリラの史上最安値更新が続く中、トルコ中銀が9月24日に4会合ぶりの大幅利上げに踏み切ったことで現状維持を予想していた市場にはサプライズとなり、直前安値13.59円から13.93円へ急伸となり、25日夕刻には14.01円まで一段高となったのだが、9月27日にアゼルバイジャンとアルメニアによる大規模な軍事衝突(ナゴルノ紛争)が勃発したために28日朝には13.28円まで急落して中銀利上げによる上昇分を解消してさらに一段安となった。その後も紛争は激化しているものの戦争材料による初期的な売りがいったん収まると13.50円を挟んだ持ち合いで落ち着き、1日午後には28日の急落分をいったん解消するところまで戻した。しかしナゴルノ紛争に対するトルコの積極的な介入姿勢による地政学的リスクの拡大はぬぐえず、米ロ仏等が停戦を要請するも両国の戦闘は続き、トルコはナゴルノ地区からのアルメニア撤退まで戦闘は続くとしたことでトルコへの批判も日々強まっておりトルコリラの上値を抑える状況が続いている。
【為替市場全般のリスク回避感】
為替市場全般では2日のトランプ米大統領のコロナ感染、入院、5日の早すぎる退院、6日の米与野党協議中断宣言等で振り回される状況が続いており、6日はNYダウ下落により為替市場ではドルストレートにおけるリスク回避的なドル買いが進み、トルコリラも対ドルでは10月1日以降のドル高リラ安基調が続いている。
対ドルでのトルコリラはトルコ中銀利上げにより9月25日午後には7.50リラまで反騰していたが、ナゴルノ紛争ぼっ発で9月29日には7.85リラまで史上最安値を更新、いったん売り一巡となって10月1日に7.61リラまで戻したもののその後は再び下落基調が続いており、史上最安値更新への余裕が乏しくなっている。
今後は米大統領選挙結果が出るまでは株式市場及び為替市場でのリスク回避的な動きが進みやすく、トルコリラ等の新興国通貨も売られやすい状況が続きかねない。さらにナゴルノ紛争の拡大と介入するトルコへの批判や制裁の動きが強まればリラ売りを加速させやすくもなるところだ。
アルメニアのパシニャン首相は6日にAFPのインタビューに答え、「トルコが関わってこなければ始まることはなかった」としてトルコを非難したが、トルコに支援されたアゼルバイジャン側はトルコと共に戦闘継続姿勢にある。紛争は11日目に入る。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月1日午後の戻り高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしていたが、5日夕刻への上昇で13.67円まで戻したために6日午前時点では2日午後安値と3日早朝安値をダブルボトムとして戻しに入ったとし、3日早朝安値を割り込まないうちは6日午後から8日午後にかけての間への上昇余地ありとした。
7日早朝に13.50円まで下げて3日早朝安値13.49円に迫っているため、すでに5日夕高値でサイクルトップを付けて下落期に入っている可能性がある。3日早朝安値割れ回避の場合は13.6円超えからの上昇再開余地ありとするが、3日早朝安値割れからは弱気サイクル入りとして8日早朝から12日朝にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6日夕刻の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。その後も両スパンそろっての悪化状態が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、上昇再開は両スパンそろって好転するところからとする。
60分足の相対力指数は6日夕刻の下落で40ポイントを割り込み、その後は40ポイント前後での横ばい推移となっている。このため50ポイントを超える上昇とならないうちは一段安へ進みやすいとみて30ポイント割れを目指すと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月3日早朝安値13.49円を下値支持線、13.60円を上値抵抗線とする。
(2)13.60円以下での推移中は下向きとし、3日早朝安値割れからは13.40円前後への下落を想定する。13.40円以下は反騰注意とするが、13.50円以下での推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.55円から13.60円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。上昇再開には13.60円を超える必要があると思われる。
【当面の主な経済指標等の予定】
10月8日
20:30 週次外貨準備高 10/2時点 (9/25時点 424.2億ドル)
10月12日
16:00 7月失業率 (6月 13.4%、予想 15.0%)
16:00 8月経常収支 (7月 -18.17億ドル)
10月13日
16:00 8月鉱工業生産 前年比 (7月 4.4%)
16:00 8月小売売上高 前月比 (7月 9.5%)
注:ポイント要約は編集部
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