トルコリラ円見通し 対ドルで最安値更新、対円でも最安値を目指す流れか(20/10/8)

トルコリラ円は10月7日夕刻に13.43円まで下落、さらに8日朝には13.39円まで続落して10月1日夕刻の戻り高値13.80円以降の安値を更新している。

トルコリラ円見通し 対ドルで最安値更新、対円でも最安値を目指す流れか(20/10/8)

対ドルで最安値更新、対円でも最安値を目指す流れか

〇トルコリラ円、7日夕刻に13.43まで下落し8日朝には13.39まで続落
〇対ドルでは7日午後に7.86まで下落し最安値を更新、8日午前には7.88まで続落
〇ナゴルノ紛争やロシア製ミサイル問題の推移などが今後のリラ安要因となりえる
〇13.35割れから13.00割れを目指す流れとし、13.45以下の推移が続く場合9日も安値試しへ向かうか
〇13.45超えからは13.50試しとするも13.40割れからは下げ再開へ

【概況】

トルコリラ円は10月7日夕刻に13.43円まで下落、さらに8日朝には13.39円まで続落して10月1日夕刻の戻り高値13.80円以降の安値を更新している。9月24日のトルコ中銀による予想外の大幅利上げを好感して9月25日には14.01円まで上昇していたが、27日に勃発したナゴルノ・カラバフ紛争により28日朝には13.28円まで急落し中銀利上げによる上昇幅を解消してさらに一段安へと史上最安値を更新した。その後は紛争報道直後の売り一巡により落ち着き、10月1日にかけては買い戻しの動きがやや優勢だったが、紛争報道で急落する前の水準を回復しきれずに軟調に戻り、1日以降は戻り高値を切り下げつつややジリ安の推移が続いてきた。
10月7日はトルコがロシアから導入したミサイルシステムの試験に着手したとの報道から欧米によるトルコ制裁への動きが強まりかねないとしてリラ売りとなり、対ドルでの史上最安値を更新する中でトルコリラ円も下げ足が早まった。

【対ドルで史上最安値更新】

対ドルでのトルコリラは9月29日に7.85リラまで史上最安値を更新した後、1日午後には7.61リラまでやや持ち直していたが、その後もナゴルノ紛争の激化・長期化により下落再開感が強まりジリ安傾向となっていたが、7日午後に7.86リラまで下落して最安値を更新、8日午前には7.88リラまで続落している。
最安値更新のきっかけはブルームバーグ通信がトルコがロシアのミサイルシステムの試験に着手と報じたことがきっかけとなった。トルコはNATO加盟国であるにもかかわらずロシア製のS400ミサイル防衛システム導入を強硬し、これまでも欧米の批判にさらされてきたが、来週以降にテスト稼働に入るためにトルコ北部に配備されたという。テストが行われれば米国による批判が一段と強まり新たな制裁への動きも拡大してトルコリラ売りに拍車がかかると懸念される状況だ。

トルコリラが対ドル、対円で史上最安値を更新してきたのは、(1)外貨準備不足による通貨防衛力の低下、(2)利下げにこだわって9会合連続の利下げを行ったものの消費者物価上昇率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態に陥ったこと、(3)コロナ不況による観光収入激減での経常赤字拡大、(4)それらに対するエルドアン政権及びトルコ中銀による金融経済政策運営へ対策不備、加えて(5)トルコによる東地中海ガス田探査によるギリシャ・フランスとの対立とEUによる制裁懸念等であった。さらに現在はナゴルノ紛争による地政学的リスクの拡大が加わっている。

これらのリラ安要因のうち、東地中海問題ではギリシャとの協議へ向かう姿勢が見られてやや落ち着き、トルコ中銀も大幅利上げに踏み切ったことでやや和らいだ処もあるが、利上げ後の直近における消費者物価上昇率も高止まりで実質マイナス金利状態の解消には至らない中、ロシア製ミサイルの実戦配備へ向けた動きが欧米を刺激し、投資家心理を後ろ向きにすることも加わってきたところだ。
当面はナゴルノ紛争に加えてロシア製ミサイル問題の推移、トルコのコロナ不況状況等を見ながら対ドル及び対円での最安値試しが続きやすい状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月1日午後の戻り高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしていたが、5日夕刻への上昇で13.67円まで戻したために6日午前時点では2日午後安値と3日早朝安値をダブルボトムとして戻しに入ったとし、3日早朝安値を割り込まないうちは6日午後から8日午後にかけての間への上昇余地ありとした。
7日早朝に13.50円まで下げて3日早朝安値13.49円に迫ったため、7日午前時点ではすでに5日夕高値でサイクルトップを付けて下落期に入っている可能性があるとし、3日早朝安値割れからは弱気サイクル入りとして8日早朝から12日朝にかけての間への下落を想定するとした。
7日夜の下落で3日早朝安値及び2日午後安値を割り込んだため、弱気サイクル入りとして12日朝にかけての間への下落を想定する。強気転換には13.50円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では6日夕刻の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したがその後も両スパンそろっての悪化状態が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、上昇再開は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は7日午後から下落してからは30ポイント台での推移が続いている。強気転換は50ポイントを超える上昇からとし、さらに30ポイント割れを目指す下落継続とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.35円を下値支持線、13.45円を上値抵抗線とする。
(2)13.45円以下での推移中は下向きとし、13.35円割れからは13.00円割れを目指す流れとみる。13.45円以下での推移が続くうちは9日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.45円超えからは13.50円試しとするが、13.40円台後半は戻り売りにつかまりやすいとみてその後の13.40円割れからは下げ再開とする。強気転換は13.50円超えからとし、その場合は週末から週明けにかけて13.50円台中盤試しへ向かうとみるが、戻りは短命の可能性もあると考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

10月8日
 20:30 週次外貨準備高 10/2時点 (9/25時点 424.2億ドル) 
10月12日
 16:00 7月失業率 (6月 13.4%、予想 15.0%)
 16:00 8月経常収支 (7月 -18.17億ドル、予想 15.00億ドル)
10月13日
 16:00 8月鉱工業生産 前年比 (7月 4.4%)
 16:00 8月小売売上高 前月比 (7月 9.5%)

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