ドル円見通し 米大統領に振り回されつつもドル円はやや確り(20/10/7)

ドル円は7日早朝に105.46円までやや失速したが値動きは鈍く、105.50円割れを買い戻されつつ上昇再開には入れずに方向感を探る展開となっている。

ドル円見通し 米大統領に振り回されつつもドル円はやや確り(20/10/7)

米大統領に振り回されつつもドル円はやや確り

〇ドル円、105.50割れを買い戻されつつ上昇再開には入れず方向感を探る展開
〇トランプ大統領与野党の追加景気対策協議の打ち切り表明でリスクオフ
〇NYダウ前日比375.88ドル安、ナスダック総合指数177.89ポイント安と大幅下落
〇長期債利回り上昇ならドル高円安へ、6日の様に低下ならドル安円高へやや傾斜しやすい
〇6日未明高値105.79超えからは106円台序盤への上昇を想定、106円台序盤は戻り売り注意
〇105.46割れからは下落期入り、2日午後安値104.93試しへ向かう流れ

【概況】

ドル円は9月入りしてからの欧米株安等によるリスク回避感の強まる中で9月21日に104円を割り込むところまで下落して7月31日安値を割り込んだが、その後は株式市場の持ち直しによる為替市場でのリスク選好感回復からドル円も上昇基調に乗り、9月30日午前には105.80円まで高値を切り上げてきた。105円台中後半ではやや上値が重くなっていたところ、10月2日にトランプ米大統領がコロナ陽性と報じられたことで105円割れまで一時的に急落したが、2日夜の米雇用統計での失業率大幅改善、米長期債利回り上昇等から早々に反発に転じ、5日は米大統領退院により続伸となり6日未明には105.79円を付けて30日午前高値にあと一歩と迫っていた。

10月6日も当初は株高基調が継続し、ドルストレートでのドル安、クロス円での円安が進行する展開だったが、トランプ大統領がコロナ不況に対する追加経済対策での与野党協議中止を表明したことからNYダウが急落、為替市場もリスク回避感と先行き不透明感からドルストレートではドルの買い戻しによりユーロやポンド、豪ドル等が下落、クロス円では円高へと流れが変わった。ドル円は7日早朝に105.46円までやや失速したが、ドルストレートでのドル高もあって値動きは鈍く、105.50円割れを買い戻されつつ上昇再開には入れずに方向感を探る展開となっている。

【トランプ大統領に振り回される展開、大統領選決着まで続く?】

トランプ大統領は6日、与野党の追加景気対策協議の打ち切りを表明した。NYダウは前日比375.88ドル安と急落、ナスダック総合指数も177.89ポイント安と大幅下落となった。株安により債券が買われて米10年債利回りは前日比0.04%低下の0.74%、30年債利回りも0.05%低下の1.54%となった。
トランプ米大統領は追加の経済対策に関して野党民主党が妥協しないと批判して「大統領選後まで交渉の停止を指示した」と表明した。大統領はツイッターで「とても寛大な1兆6000億ドルを提案したがペロシ下院議長は例によって誠実に交渉に臨んでいない」とツイートし、再選した直後には「勤労な国民と中小企業に焦点を当てた大規模支援策を実現する」と表明した。コロナ対策での金融政策的な手詰まり感がある中で協議が進展するとの期待感が株式市場を下支えしてきただけに株式市場には大きな打撃となった。

10月2日の米大統領のコロナ陽性、入院、5日の早すぎる退院、そして6日の与野党協議中止宣言と、市場はトランプ大統領に振り回される展開だ。大統領選挙の決着がつくまでは大統領の容体悪化リスク、不規則発言、TV討論と選挙結果予測等で当分は乱調で先行きの見えない状況が続く可能性もある。そうなると積極的なポジション取りが難しくなり9月後半から上昇してきた市場ではポジション縮小やニュートラル化へ動きやすくなる。
ドル円はドルストレートでのドル高とクロス円での円高がかち合う状況になるかもしれないが、その場合は米長期債利回り動向を見ながら、5日の様に長期債利回り上昇ならドル高円安へ進みやすく、6日の様に長期債利回り低下となればドル安円高へやや傾斜しやすいという反応になるのではないかと思われる。ただし、先行き不透明感がさらに進み、ダウの下落が厳しくなればリスク回避的円高が優勢となってドル円の急落という状況も発生しかねないところと注意したい。

米連銀FRBのパウエル議長は全米企業エコノミスト協会(NABE)の会合での講演で、経済の先行きは依然として極めて不透明だとし、下振れリスクに可能な限りの対処をすべきだと述べ、「今は財政の持続可能性への懸案対処を優先すべき時ではない」として財政支援の積極的展開の必要性を強調した。しかし米政権はそうした方向を向いていないようだ。議長講演では金融政策についての新たな姿勢を示す内容はなかった。
米商務省が発表した8月の貿易統計ではモノ貿易赤字は前月比3.8%増の838億6000万ドルとなり、単月の赤字幅としては7月に続いて過去最大となった。モノとサービスを合わせた赤字幅は671億200万ドルで2006年8月以来の高水準だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2日午後へ急落してから急落幅の半値以上を戻したために5日朝時点では2日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期を5日午前から7日午前にかけての間と想定した。6日未明高値で30日午前高値に迫ったところからはジリ安推移となっているので、30日午前高値と6日未明高値をダブルトップとした弱気サイクル入りが疑われる。7日早朝安値105.46円を割り込まないうちは上昇余地ありとするが割り込む場合は弱気サイクル入りとして7日午後から9日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6日深夜からの下落で遅行スパンが悪化したが、先行スパンの上限が下値を支えている。ダブルトップ気配のため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパンが再び好転するところからは一段高へ進む可能性ありとみて高値試し優先とする。リスク回避的材料を背景に先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は40ポイント台ではしっかりしつつ60ポイント台へ伸びない展開が続いている。このため40ポイント割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイントを割り込む下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7日早朝安値105.46円を下値支持線、10月6日未明高値105.79円を上値抵抗線とする。
(2)7日早朝安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、6日未明高値超えからは106円台序盤への上昇を想定する。106円台序盤は戻り売りにつかまりやすいとみるが、105.50円以上での推移が続くうちは8日も高値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)105.46円割れからはダブルトップ形成による下落期入りとして2日午後安値104.93円試しへ向かう流れとみる。105.15円以下は反発注意とするが、105.46円以下での推移が続くうちは8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/7(水)
休場、中国、米副大統領候補討論会(ユタ州ソルトレークシティー)
14:00 (日) 8月 景気先行指数(CI)速報値 (7月 86.7、予想 89.0)
14:00 (日) 8月 景気一致指数(CI)速報値 (7月 78.3、予想 79.4)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 1.2%、予想 1.5%)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -10.0%、予想 -8.7%)
21:10 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
25:30 (欧) ヴィルロワ・ド・ガロー仏中銀総裁、講演

26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC 9月15-16日開催分)議事要旨
27:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
27:15 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
28:00 (米) 8月 消費者信用残高 前月比 (7月 122.5億ドル、予想 140.0億ドル)
29:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演

10/8(木)
休場、中国
未 定 (日) 黒田東彦日銀総裁、支店長会議で挨拶
08:50 (日) 8月 国際収支・経常収支・季調前 (7月 1兆4683億円、予想 2兆600億円)
08:50 (日) 8月 国際収支・経常収支・季調済 (7月 9642億円、予想 1兆5446億円)
08:50 (日) 8月 国際収支・貿易収支 (7月 1373億円、予想 4089億円)
09:00 (NZ) 10月 NBNZ企業信頼感 (9月 -26.0)
10:45 (中) 9月 財新サービス業PMI (8月 54.0、予想 54.3)

14:00 (日) 日銀地域経済報告[さくらリポート)
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI (8月 43.9、予想 45.0)
15:00 (独) 8月 貿易収支 (7月 192億ユーロ、予想 160億ユーロ)
15:00 (独) 8月 経常収支 (7月 200億ユーロ、予想 162億ユーロ)
16:25 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、パネル討論会参加
20:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 83.7万件、予想 82.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1176.7万人)
27:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、同連銀主催イベントで講演
31:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、バーチャル会合参加

注:ポイント要約は編集部

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